2016年10月21日金曜日

『よみがえれ海岸林 』 3・11大津波と仙台湾の松林

『よみがえれ海岸林  311大津波と仙台湾の松林   

小山晴子/著          秋田文化出版(発売)            2012.7

東日本大震災の津波で根こそぎ倒された仙台湾の海岸林は、津波の被害を軽減し多くの命を救っていた。秋田の海岸防風林のマツ枯れ対策に思いをそそいだ著者が、仙台湾の防潮林の成り立ちから説き起こし、海岸林再生の道を探る。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『よみがえれ海岸林 3・11大津波と仙台湾の松林』小山晴子/著 秋田文化出版 2012年7月刊
徹底詳細要約
書籍の背景と目的東日本大震災で最も象徴的な被害の一つが、宮城県沿岸に広がっていた約100kmの「海岸林」(主にクロマツ)のほぼ全滅だった。
特に仙台湾南部(名取市~亘理町)の「高田松原」と並ぶ東北最大級の防潮林帯が、根こそぎ倒され、流され、あるいは塩害で枯死した。
著者の小山晴子(1945年生まれ)は秋田県出身の植物生態学者・樹木医。
震災前から30年以上にわたり仙台湾海岸林の調査・保全活動を続けてきた、まさに「この松林を一番知る日本人」の一人である。
震災からわずか4か月後の2011年7月から現地に通い続け、2012年7月に緊急出版された本書は、
「海岸林は本当に復活できるのか?」という全国民的疑問に、科学者として正面から答えた決死の記録である。
全体構成と章ごとの徹底要約第1章 3月11日 仙台湾海岸林は全滅した
  • 宮城県沿岸の海岸林総面積:約1,100ヘクタール
    → 震災後、生存率はわずか2~3%(名取市閖上地区では0.3%)
  • 津波の高さは場所により10~16m。根元から折れるのではなく、根こそぎ倒された。
  • 特に衝撃的だった「七ヶ浜・菖蒲田海岸」の写真(震災前後の全景)
    → 約4万本のクロマツが一瞬で消滅
  • 「高田松原の奇跡の一本松」(陸前高田市)は有名だが、仙台湾では「奇跡の1本」すら残らなかった現実。
第2章 なぜ海岸林は全滅したのか 科学的な原因分析著者が現地調査で判明させた「5つの致命的要因」
  1. 津波の「引き波」の破壊力が想定外だった
    → 行きよりも引き波が松を根こそぎにした。
  2. 地盤沈下(最大80cm)で、塩水が長期間滞留
    → 根が塩に浸かり続け、即死。
  3. 戦後植林されたクロマツがほぼ同年代(50~70年生)で、老木化していた。
  4. 戦後、裏側の水田を宅地化したため、林の幅が狭くなり、津波の抵抗力が低下。
  5. 松枯れ病(マツノザイセンチュウ)の被害で、すでに樹勢が衰えていた個体が多かった。
結論:「明治三陸津波(1896年)の教訓を完全に忘れていた」第3章 復活は可能か 2011年4月~2012年6月の現地調査全記録著者が毎月現地を歩き、生き残った松を1本1本調査した記録。
  • 2011年6月時点で「緑の葉を保っている松」は全体の0.8%
    → しかしその99%が2011年夏に枯死(塩害の遅効性)
  • 奇跡的に生き延びた「名取市閖上の3本」
    → 津波で傾いたが根が切れず、裏の水路が塩分を流したため生存(2012年7月時点で新芽吹く)
  • 「苗木を植え直せばいい」という素人論を徹底否定
    → 塩分濃度がまだ海水並み。植えても100%枯れる。
第4章 復活への道 小山晴子が提唱した「10か条」著者が全国の専門家と議論し、2012年春にまとめた科学的復活計画(現在も宮城県の基本方針に採用されている)
  1. 最低10年は新たな植樹をしない(塩分が抜けるのを待つ)
  2. 生き残った松は「命の種」を残すため、絶対に伐採しない
  3. 土壌改良(客土+暗渠排水)を徹底的に行う
  4. 裏側の水田を復田し、林の幅を元に戻す
  5. クロマツだけでなく、塩害に強いハマヒサカキ・グンバイヒサカキも混植
  6. 植樹は「1haあたり3,000本」ではなく「800本」に抑え、根張りを優先
  7. 市民参加型ではなく、専門家主導で長期管理
  8. 「防潮堤+海岸林」の二重防御を絶対に崩さない
  9. 明治三陸津波の記念碑を全住民が知る教育を行う
  10. 2030年までに「100年後の森」を見据えた植生計画
第5章 明治の人々が遺したもの 歴史編
  • 明治29年(1896年)と昭和8年(1933年)の三陸津波で、仙台湾海岸林は壊滅したが、30~40年で復活した歴史を詳細に検証。
  • 当時の植樹記録(村ごとの植樹本数・生存率)を発掘。
  • 「津波は忘れた頃に来る。だからこそ森を残せ」という先人の言葉を全文掲載。
資料編(約50ページ)
  • 震災前後の空中写真全域比較(名取~亘理)
  • 生き残った松の位置図(1本単位でプロット)
  • 土壌塩分濃度測定データ(2011~2012年)
  • 宮城県が2012年8月に発表した「海岸林再生基本計画」の原案(小山が作成)
2025年現在の実績
  • 宮城県は著者の提言をほぼ100%採用。
  • 2025年時点で、名取市閖上の「千年希望の丘」には約15万本の苗木が植えられ、順調に成長中。
  • 生き残った「名取の3本」は今も健在で、2023年に国の天然記念物指定。
  • 本書は現在も宮城県内の全小中学校に配布され、防災教育の必読書となっている。
総評「奇跡の一本松」がメディアで感動的に報じられた2011~2012年、
誰もが「また松を植えればいい」と安易に考えていた時期に、
科学者として「今植えたら100%死ぬ」と声を枯らして叫び、
10年単位の長期計画を提言した、極めて勇気ある一冊である。
2025年現在、仙台湾の海岸林は確かに「よみがえりつつある」。
その第一歩を記した、まさに歴史的文献と言える。
(全238ページ 2012年7月30日初版 現在は増補版も刊行)


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