『災害時における高齢者・障がい者支援に関する課題 』 東日本大震災から検証する
日本弁護士連合会高齢社会対策本部/編 あけび書房 2012.10
現行の法制度が大規模災害時における高齢者や障がい者などの要援護者への対応が十分なものでないことを明らかにし、改善すべき方向性や、災害時要援護者のために必要な包括的な法律の制定について検討する。
先日、「災害時における 高齢者・障がい者支援に関する課題」という本を文京区立図書館で借りて読んでみました。
2011年に起きた東日本大震災の際に全死亡者に占める60歳以上の高齢者の割合は65.2%におよび、障がい者の死亡率は全体の平均死亡率の2倍に及んでいるとのことで、本が書かれたようです。
本には大事なことも多く書かれていますが、僕がとても大事だと思った部分を抜粋します。
P54の文章を抜粋します。
以下です。
福祉避難所について、自治体は、平常時から「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」に規定された以下①~⑥までの準備を確実に実施すること。また準備に当たっては大規模災害の発生を想定して広域的な支援体勢も視野に入れること。
福祉避難所については、「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」(厚生労働省平成20年6月)が設けられている。しかしながら、東日本大震災では、自治体においてガイドラインに従った準備が十分に行われなかったため、福祉避難所の絶対数の不足や実質を備えていない等前述した多数の課題、問題点が生じた。したがって、災害時の高齢者、障がい者などの援護者を救済し、その権利を擁護するためには、まず何よりも、自治体がガイドラインを確実に順守することが必要である。また、準備に当たっては、東日本大震災のような大規模災害の発生を想定し、広域的な支援体制(人材派遣、福祉避難所の協定等)確立することが重要である。
①市町村において、災害時要援護者の名簿を作成し、関係当局と情報共有し、データベース化をし、適宜更新・訂正をしておくこと。
②福祉避難所の啓蒙・周知を行うこと。
③災害発生時「避難所」への誘導方法を事前に定め、民生委員、地域住民・障がい者についてはその心身の状況、障がい特性に配慮した誘導方法を心がけ、事前の防災訓練等を行っておくこと。
④「地域における身近な福祉避難所」にあっては、介護用品、衛生用品の備蓄に努め、市町村において複数の企業と災害協定を結ぶように努めること。
⑤福祉・医療関係者等の専門家を始めとする災害時要援護者支援班を設置し、事前に協議会等を開催しておくこと。
⑥「地域における拠点的な福祉避難所」の確保のために、事前に、福祉施設と協定書を取り交わしておくこと。
以上です。
大地震などの災害時に、要援護者の避難の誘導を迅速、的確に行えるかがとても大きな課題なのだと思います。
僕も要援護者になっているので、この本に書かれていることはとても勉強になりました。
僕の家から近い文京区の災害時の福祉避難所は、文京総合福祉センターになるようです。
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、施設や職員が被災して開設できなかったり、開設しても避難者を受け入れられなかったりする施設が相次ぎ、石川県の輪島市と珠洲市、それに能登町、穴水町の4つの市と町では、39施設と福祉避難所を開設する協定を結んでいましたが、人手不足で開設した福祉避難所は15カ所に止まったようです。
(NHK 2024年2月11日の 命をつなぐ「福祉避難所」 避難者受け入れられない施設相次ぐより)」
先日、「災害時における 高齢者・障がい者支援に関する課題」という本を読んでみたので本を読んでの感想を書いてみました。
早稲田大学探検部関係者には是非、ご一読していただきたい本です。
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