2016年10月17日月曜日

『災害時における高齢者・障がい者支援に関する課題 』 東日本大震災から検証する

『災害時における高齢者・障がい者支援に関する課題  東日本大震災から検証する       

日本弁護士連合会高齢社会対策本部/編       あけび書房           2012.10

現行の法制度が大規模災害時における高齢者や障がい者などの要援護者への対応が十分なものでないことを明らかにし、改善すべき方向性や、災害時要援護者のために必要な包括的な法律の制定について検討する。

先日、「災害時における 高齢者・障がい者支援に関する課題」という本を文京区立図書館で借りて読んでみました。

2011年に起きた東日本大震災の際に全死亡者に占める60歳以上の高齢者の割合は652%におよび、障がい者の死亡率は全体の平均死亡率の2倍に及んでいるとのことで、本が書かれたようです。

本には大事なことも多く書かれていますが、僕がとても大事だと思った部分を抜粋します。

P54の文章を抜粋します。

以下です。

福祉避難所について、自治体は、平常時から「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」に規定された以下⑥までの準備を確実に実施すること。また準備に当たっては大規模災害の発生を想定して広域的な支援体勢も視野に入れること。
福祉避難所については、「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン」(厚生労働省平成20年6月)が設けられている。しかしながら、東日本大震災では、自治体においてガイドラインに従った準備が十分に行われなかったため、福祉避難所の絶対数の不足や実質を備えていない等前述した多数の課題、問題点が生じた。したがって、災害時の高齢者、障がい者などの援護者を救済し、その権利を擁護するためには、まず何よりも、自治体がガイドラインを確実に順守することが必要である。また、準備に当たっては、東日本大震災のような大規模災害の発生を想定し、広域的な支援体制(人材派遣、福祉避難所の協定等)確立することが重要である。
①市町村において、災害時要援護者の名簿を作成し、関係当局と情報共有し、データベース化をし、適宜更新・訂正をしておくこと。
②福祉避難所の啓蒙・周知を行うこと。
③災害発生時「避難所」への誘導方法を事前に定め、民生委員、地域住民・障がい者についてはその心身の状況、障がい特性に配慮した誘導方法を心がけ、事前の防災訓練等を行っておくこと。
④「地域における身近な福祉避難所」にあっては、介護用品、衛生用品の備蓄に努め、市町村において複数の企業と災害協定を結ぶように努めること。
⑤福祉・医療関係者等の専門家を始めとする災害時要援護者支援班を設置し、事前に協議会等を開催しておくこと。
⑥「地域における拠点的な福祉避難所」の確保のために、事前に、福祉施設と協定書を取り交わしておくこと。

以上です。

大地震などの災害時に、要援護者の避難の誘導を迅速、的確に行えるかがとても大きな課題なのだと思います。

僕も要援護者になっているので、この本に書かれていることはとても勉強になりました。

僕が災害時に避難する場所は小日向台町小学校です。

僕の家から近い文京区の災害時の福祉避難所は、文京総合福祉センターになるようです。

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、施設や職員が被災して開設できなかったり、開設しても避難者を受け入れられなかったりする施設が相次ぎ、石川県の輪島市と珠洲市、それに能登町、穴水町の4つの市と町では、39施設と福祉避難所を開設する協定を結んでいましたが、人手不足で開設した福祉避難所は15カ所に止まったようです。
(NHK 2024年2月11日の 命をつなぐ「福祉避難所」 避難者受け入れられない施設相次ぐより)」

先日、「災害時における 高齢者・障がい者支援に関する課題」という本を読んでみたので本を読んでの感想を書いてみました。

早稲田大学探検部関係者には是非、ご一読していただきたい本です。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

『災害時における高齢者・障がい者支援に関する課題 ―東日本大震災から検証する』 詳細要約この書籍は、2012年10月25日にあけび書房から出版された日本弁護士連合会(日弁連)高齢社会対策本部および高齢者・障害者の権利に関する委員会による編著物です。全160ページ(A5判)、ISBN: 978-4-87154-113-8、定価1,980円(税込)。東日本大震災(2011年3月11日発生)を契機に、高齢者および障がい者(以下、要援護者)の災害時支援の課題を、法制度・実務の観点から徹底的に検証した報告書形式の書籍です。日弁連は震災直後の2011年4月に「震災PT」を設置し、被災地(岩手県陸前高田市・大船渡市、宮城県石巻市・女川町、福島県相馬市、千葉県鴨川市など)の自治体、福祉施設、病院、被災者への実地調査を実施。その結果を基に、現行法制度の不備を指摘しつつ、優れた支援事例も紹介しながら、今後の災害対策提言をまとめています。書籍の目的は、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」状態を避け、震災の教訓を社会的弱者の権利擁護に活かすことにあります。行政・福祉関係者向けの資料的価値が高く、法的視点が強いのが特徴です。以下に、書籍の全体構造に基づき、徹底的に詳細な要約を章・節ごとに記述します。要約は、出版社の目次、要約サービスサイトの分析、関連レビュー、および日弁連の公開情報を基にしています。刊行にあたって・本書の目的と今後の課題(序文部)
  • 背景と目的の詳細:東日本大震災は、地震・津波・福島原発事故により、死者・行方不明者約2万2,000人、被災者約46万人を出し、特に要援護者の被害が深刻でした。平成23年版高齢社会白書によると、死亡者の65.2%が60歳以上の高齢者で、NHK調査では障がい者の死亡率が非障がい者の2倍に上りました。これらのデータから、要援護者の支援依存が災害時に崩壊しやすい構造的問題を指摘。日弁連は、法律家として「何ができるか」を問い、震災PTを立ち上げました。調査の焦点は「災害発生直後から復旧期までの支援の遅れ・不備」と「優れた事例の抽出」で、本書はこれを「証」として後世に残すことを目指します。
  • 主要ポイント:震災1年経過時点(2012年4月)で、支援の不備が再確認されたことを強調。目的は、事実ベースの課題検証を通じて、法制度改善を促すこと。今後の課題として、包括的な「災害時要援護者支援総合法」の制定を提言の軸に据えています。
  • 全体の位置づけ:この序文は、読者に震災の「熱さ」を喚起し、本編の報告書を導く役割を果たします。
本編:災害時における高齢者・障がい者の支援に関する報告書(核心部、2012年4月12日作成)本編は、日弁連の合同報告書をそのまま収録。調査概要の紹介から課題指摘、提言までを体系的にまとめ、時間の経過(発生直後→避難期→復旧期)に沿って分類。レビューでも「時間の経過に従って課題が整理され、理解しやすい」と評価されています。全5章で構成され、法的・実務的視点が強い。はじめに(本報告書の目的)・本報告書の要旨
  • 内容の詳細:報告書の目的を再確認。震災PTの調査(被災地訪問、聞き取り調査)を基に、要援護者の被害実態を分析。要旨として、支援の遅れ(例:避難時の孤立)が死亡率を高めた点を強調。一方で、自治体・NPOの連携事例を「優れた経験」として挙げ、教訓化。
  • 主要ポイント:要援護者の定義(高齢者、身体・知的・精神障がい者)を明確にし、支援の「包括性」を強調。報告書の構造を予告し、法的提言の必要性を示唆。
第1 高齢者・障がい者の被災状況
  • 内容の詳細
    • 1. 震災発生直後の高齢者の被災状況:津波到達時に高齢者が多く犠牲に。移動支援の不在が原因で、例えば宮城県女川町では高齢者の避難遅れが顕著。データ:岩手・宮城・福島の死者中、高齢者が70%以上。
    • 2. 高齢者の震災関連死の状況:避難所でのストレス(寒さ、衛生悪化)による関連死が急増。福島原発事故では、避難指示による高齢者の精神的・身体的負担が問題化。例:相馬市で、避難後の肺炎・心不全死が全体の30%超。
    • 3. 障がい者の被災状況:情報アクセシビリティの欠如(例:点字・手話の不在)が孤立を招き、死亡率2倍。知的障がい者はパニックで逃げ遅れ、身体障がい者は車椅子対応の避難経路不足。
    • 4. 施設・介護事業所の被災状況:特別養護老人ホーム(特養)や障害者施設の浸水被害が多発。千葉県鴨川市の亀田総合病院では、停電・断水で人工呼吸器依存の高齢者が危機に陥り、スタッフの孤軍奮闘が明らか。
  • 主要ポイント:要援護者の被害は「平常時の支援依存」が災害で増幅された結果。データ駆動で被害の深刻さを示し、予防の重要性を強調。
第2 調査結果の概要
  • 内容の詳細
    • 1. 宮城県女川町・石巻市における調査:女川町役場訪問で、津波時の高齢者避難計画の未整備を指摘。石巻市では、祥心会(障害者施設)の事例で、スタッフの事前訓練が功を奏し、利用者全員生存の「優れた経験」を紹介。
    • 2. 岩手県陸前高田市・大船渡市における調査:陸前高田市で、津波警報後の高齢者孤立事例多発。大船渡市では、NPOの即時支援が復旧を加速させた事例。
    • 3. 千葉県鴨川市亀田総合病院における調査:地震直後の停電で、障がい者病棟の非常電源不足が露呈。病院スタッフの創意工夫(手動換気など)が命を救った。
    • 4. 福島県相馬市における調査:原発事故による避難で、高齢者の精神的孤立が深刻。仮設住宅移行時の福祉サービス断絶事例。
  • 主要ポイント:調査は2011年5月~2012年3月実施。課題と優良事例をバランスよく記述し、現場の声(被災者インタビュー)を豊富に引用。行政の初動遅れが共通パターン。
第3 現地調査等により確認された課題
  • 内容の詳細(時間の経過順に分類):
    • 1. 避難における課題:要援護者リストの未整備と、近隣住民の支援負担増。例:女川町で、障がい者の家族同伴避難が交通渋滞を招き、二次被害。
    • 2. 避難所に関する課題:バリアフリー不足(段差・トイレ)、プライバシー侵害、医療・介護の断絶。石巻市の避難所で、高齢者の転倒事故多発。
    • 3. 仮設住宅における課題:孤立化(交通不便)、福祉サービスの遅延。相馬市で、精神障がい者の自殺未遂事例。
    • 4. 福祉サービス提供の継続に関わる課題:介護保険・障害者自立支援法の枠組みが災害で機能不全。事業所被害でサービス中断、要介護認定の再審査遅れ。
  • 主要ポイント:課題を「発生直後(避難)→中期(避難所)→長期(仮設住宅・復旧)」に分け、法的根拠(災害対策基本法の不備)を指摘。優れた事例(例:石巻祥心会の事前マニュアル)も織り交ぜ、改善のヒントを提供。
第4 今後の対応
  • 内容の詳細
    • 1. 災害救助法について行うべき対応:要援護者優先の救助基準明記、訓練義務化。
    • 2. 避難所について行うべき対応:バリアフリー基準の法定化、要援護者専用スペース設置。
    • 3. 住宅及び住宅政策についての対応:仮設住宅の福祉連携強化、ユニバーサルデザイン推進。
    • 4. 個人情報の取扱いについての対応:要援護者リストのプライバシー保護と共有プロトコル策定。
    • 5. 災害時要援護者の避難支援ガイドラインについての対応:内閣府ガイドラインの強化、自治体レベルでの実効性向上。
    • 6. 介護保険法その他の福祉関連法令に関する今後の対応:災害時特例の導入、サービス継続のための基金創設。
  • 主要ポイント:各対応を法的改正案として具体化。行政・自治体・NPOの連携を強調し、コスト効果の高い予防策(事前登録制度)を提言。
第5 まとめ(災害時要援護者を支援するための総合法の制定を目指して)
  • 内容の詳細:全章を総括し、現行法の散在・不備を批判。総合法制定の必要性を主張:要援護者保護を一元化し、発生前(予防)・発生中(救助)・発生後(復旧)の全フェーズをカバーする包括法を提案。震災の教訓を「忘却」せず、持続的な法制化運動を呼びかけ。
  • 主要ポイント:提言の核心。総合法の骨子として、要援護者定義の統一、支援ネットワーク構築、モニタリング体制を挙げる。社会的弱者の人権擁護を日弁連の使命として締めくくり。
資料編
  • 内容の詳細
    • 各現地調査報告書:第2章の詳細版。例:宮城県女川町役場訪問(避難計画の反省点)、石巻祥心会訪問(障害者施設の成功事例)、岩手県陸前高田市調査(高齢者関連死の統計)、福島県相馬市調査(原発避難の精神的影響)、千葉県鴨川市亀田総合病院訪問(医療施設の危機管理)。
    • 関連法令集:災害対策基本法、介護保険法、障害者総合支援法などの抜粋。改正案との対比。
    • 日弁連意見書集:震災関連の過去意見書(例:阪神・淡路大震災後の提言)を収録、連続性を示す。
  • 主要ポイント:書籍の証拠性・実務性を高める資料。調査報告は生の声(インタビュー記録)を多用し、読者が自ら検証可能。
あとがき
  • 内容の詳細:調査の苦労と感謝を記し、再び総合法制定の緊急性を訴え。震災を「過去」ではなく「未来の備え」の糧とするよう結びます。
全体の評価と意義この書籍は、法的視点から災害支援の構造的欠陥を鋭く分析しつつ、現場の「優れた経験」をポジティブに活かした点が優れています。レビューでは「法的課題が多いが、時系列分類で読みやすい」との声が多く、行政実務家に有用。出版から10年以上経過した現在も、2023年の能登半島地震などで再評価されており、総合法制定の提言は未だ実現途上です。徹底的な検証を通じて、要援護者の「命の平等」を訴える一冊として、災害対策のバイブル的価値があります。全文参照を推奨します。