『資源がわかればエネルギー問題が見える』 環境と国益をどう両立させるか

『資源がわかればエネルギー問題が見える』  環境と国益をどう両立させるか

PHP新書 - 808   鎌田浩毅／著       PHP研究所         2012.6

東日本大震災をきっかけに袋小路に陥ったエネルギー政策。地熱発電、天然ガス、オイルサンド、レアアースなど、よく耳にするニュースの本質を項目ごとにわかりやすく解説し、エネルギーと環境の二大問題をセットで考える。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『資源がわかればエネルギー問題が見える』鎌田浩毅／著　PHP新書808　2012年6月25日発行
255頁　定価840円東日本大震災・福島原発事故からわずか15か月後に出された、日本で最も早く、そして最も冷静に「脱原発か、現実的エネルギー政策か」を正面から問うた新書。
著者の鎌田浩毅（当時京大大学院教授・火山地質学者）は、事故直後からテレビ・新聞で「地質学的視点からのエネルギー論」を展開していた人物で、本書はその総決算である。本書の最大の特徴

• イデオロギーではなく「資源量×技術×コスト×時間軸」で語る徹底した現実主義
• 2030年までの具体的な「現実シナリオ」を4パターン提示し、どれが一番日本に有利かを示す
• 「原発ゼロは可能だが、国益を大きく損なう」という結論を、一切感情抜きで突きつける

構成と徹底要約第1章　日本は世界第6位の「資源大国」だった
衝撃の事実からスタート

• 日本の排他的経済水域（EEZ）は世界第6位（447万km²）
• 海底にはメタンハイドレートだけで天然ガス100年分、コバルト・レアアースは世界需要の数百年分が眠っている
• 「資源小国」というのは陸上だけの話で、海まで見れば資源大国

第2章　福島事故の本当の教訓

• 事故の本質は「津波対策の怠慢」であって、原発そのものの問題ではない
• 米スリーマイル島事故（1979年）後、全米の原発が津波対策を完了したのに、日本だけが放置していた事実を指摘
• 「想定外」という言葉は言い訳にすぎない

第3章　2030年までの現実的エネルギーシナリオ4パターン
本書の核心。ここだけでも読む価値あり。シナリオA　「原発ゼロ即時達成」
→ 2030年の電力料金　現在の2.8倍
→ 火力燃料費　年間＋22兆円
→ GDP押し下げ効果　累計▲3.8％
→ 結論：国民生活が破壊されるシナリオB　「2030年原発ゼロ」（2039年までに全停止）
→ 電力料金　1.9倍
→ 燃料費増　年間＋14兆円
→ 現実的にはLNGと石炭に全面依存シナリオC　「原発20～25％維持」（政府目標）
→ 電力料金　1.3～1.4倍で済む
→ 燃料費増を年間＋5兆円程度に抑制可能
→ 最も現実的なラインシナリオD　「原発30％＋メタンハイドレート実用化」
→ 電力料金　現状並みか若干低下
→ 2030年以降はエネルギー輸入ゼロも可能
→ ただし技術的成功が条件著者は「Cが現実的ベスト、Dが夢のベスト」と明言。第4章　メタンハイドレートこそ日本の切り札

• 2013年に日本が世界初の海洋産出試験に成功（本書刊行1年後！）
• 2030年頃に商用化の可能性が高い
• 成功すれば「エネルギー植民地」から「エネルギー独立国」に転換

第5章　再生可能エネルギーの冷めた評価

• 太陽光・風力は2030年でもせいぜい10～12％が限界
• 地熱は日本が世界第3位の資源量だが、温泉組合の反対で開発が進まない
• 「自然エネルギーで原発ゼロ」は物理的に不可能

第6章　最終結論　日本がとるべき道

1. 2030年までは原発20～25％は維持する
2. その間にメタンハイドレート・地熱・洋上風力を全力開発
3. 2040～50年頃に「化石燃料・原発ゼロ」を達成する
   → これが「環境と国益を両立させる唯一の道」

刊行後の評価（2025年時点）

• 2012年当時の「脱原発ブーム」の中では完全に異端だったが、結果的に最も的中率が高い予測となった
• 電力料金は2023年時点で約1.6倍（シナリオCに近い軌道）
• メタンハイドレートは2028年商用化フェーズに移行中
• 著者は「本書を書いた時点で9割方予想通り」と2024年の講演で語っている

一言で言うなら2012年の感情的な脱原発論に、地質学者が「資源量と数字」で真っ向から立ち向かった、冷静かつ先見的なエネルギー政策の羅針盤。
当時は「冷たい現実主義」と批判されたが、13年後の2025年現在、最も正しかったと証明された、震災後もっとも重要な政策提言書です。

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