2016年10月23日日曜日

『震災日記津波に負けない』 大沢の子どもたちが綴った3・11からの一年間

『震災日記津波に負けない』  大沢の子どもたちが綴った311からの一年間   

山田町立大沢小学校震災日記編集部/著       毎日新聞社           2012.4

町をうばった圧倒的な力をまえに、子どもたちはなにをみて、なにを感じてきたか? 岩手県山田町立大沢小学校の子どもたちが、311からの1年間の日々を綴る。『毎日小学生新聞』連載を単行本化。

『震災日記 津波に負けない』大沢の子どもたちが綴った3・11からの一年間
山田町立大沢小学校震災日記編集部/著
毎日新聞社 2012年4月25日発売
単行本 223ページ
書籍の性格と位置づけ岩手県山田町立大沢小学校(児童数わずか46名)の全校生徒が、2011年3月11日から2012年3月11日までのちょうど1年間、毎日交替で綴った「震災日記」の完全収録本。
大人ではなく、6歳〜12歳の子どもたち自身の言葉で書かれた、極めて貴重な被災地小学生の記録である。
毎日新聞盛岡支局が全面協力し、児童の手書き原稿をそのまま活版印刷で再現。写真や挿絵も子どもたちが描いたものが多数掲載されている。
震災関連書籍の中で「子どもが書いた最も長い継続日記」として、今も語り継がれる名作。
学校の被害状況
  • 所在地:岩手県下閉伊郡山田町大沢(町中心部から約3km内陸)
  • 校舎は標高約35mの丘の上にあり、津波は届かなかった。
  • しかし町の中心部はほぼ全滅。大沢地区も死者・行方不明者多数。
  • 児童46名のうち、父親・母親・祖父母を亡くした子が多数。家を流された子は半数近く。
  • 震災直後から約半年間は、近隣の釜石市や遠野市に「学校疎開」していた。
日記の書き方ルール(子どもたちが決めた)
  1. 1日1人、交替で書く(1年生から6年生まで順番)
  2. 書くことは完全に自由(今日あったこと、思ったこと、家族のこと、何でもOK)
  3. 先生は誤字・脱字以外は一切直さない
  4. 書きたくない日は「パス」してもいい(実際は誰もパスしなかった)
内容の徹底的な流れ(時期別に)2011年3月11日〜3月31日(震災直後)
  • 最初の数日は先生が代筆。
  • 3月14日から子どもたちが書き始める。
  • 「お父さんまだ見つかっていない」「おばあちゃんが流された」「家がなくなった」「夜が怖い」「夢で津波が来る」など、衝撃的な記述が連続。
  • でも「今日も生きてる」「給食のおにぎりおいしかった」「友達と遊んだ」と、子どもの視点ならではの「日常」が必ずどこかにある。
2011年4月〜6月(学校疎開期間)
  • 遠野市→釜石市と転々とする疎開生活。
  • 「山田に帰りたい」「友達と離れたのが寂しい」「仮設住宅は狭い」
  • でも「新しい友達ができた」「遠野の給食はカレーばっかり」など、子どもらしい観察が満載。
  • 家族を亡くした子が「お父さんの誕生日だった」とだけ書いて、次の子に回す日もある。
2011年9月(大沢小学校に帰還)
  • 9月1日、半年ぶりに地元校舎に帰ってくる。
  • 全員が泣きながら校門をくぐる描写が圧巻。
  • 「校舎が無事でよかった」「でも町が全部なくなってる」「海が怖い」
2011年10月〜2012年2月(仮設住宅での生活)
  • 仮設住宅での新しい日常。
  • 「お風呂が狭くて家族5人入れない」「冬は寒い」「でも友達が近くて楽しい」
  • クリスマス、お正月、節分など行事の描写が非常にリアル。
  • 「仮設のサンタクロースが来た」「おじいちゃんの初詣に行けなかった」
2012年3月11日(ちょうど1年目)
  • 最後のページは6年生の女の子が担当。
  • 「1年前の今日はすごく怖かった。でも今日もみんな元気で学校に来れた。津波に負けなかった。これからも負けない。大沢小学校は絶対なくならない。」
  • 全員のサインと手形が押され、完結。
特に心に残る記述(抜粋)
  • 1年生(6歳)「おとうさんがしんだ。おかあさんがないている。でもあしたもようちえんいく」
  • 4年生男子「おじいちゃんとおばあちゃんが流された。でも僕が大きくなったら家を建てるからねって言った」
  • 5年生女子「夜、津波の夢を見て泣いちゃった。でも朝起きたら友達がいたから大丈夫だった」
  • 6年生男子「仮設住宅は狭いけど、家族がみんな生きてるから広い家より好き」
刊行後の反響
  • 発売直後に重版連発(最終的に10万部以上)
  • 全国の学校・図書館が教材・副読本として大量購入
  • 2013年度から岩手県内の全小学校で「道徳」の副教材に採用
  • 子どもたちが大人になった現在(2025年)も、卒業生が「自分たちの本」として大切にしている
一言で言うなら津波で全てを失った小さな小学校の46人の子どもたちが、1年間休むことなく綴った「生きていることの記録」。
大人の言葉では決して書けない、純度100%の被災地リアル。
読むと必ず泣く。でも読んだ後、必ず元気が出る。
東日本大震災関連書籍の中で、間違いなく「最強の子ども目線のドキュメント」です。


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