2016年10月23日日曜日

『bun・ten vol.41(2012March) 飛翔 』東日本大震災復興美術展覧会

bunten  vol.41(2012March) 飛翔 』東日本大震災復興美術展覧会             

フィネス              2012.3

書籍概要『bun・ten vol.41 (2012 March) 飛翔』(正式タイトル:bun-ten 文化展望 VOL.41 飛翔 東日本大震災復興美術展覧会)は、2012年3月にフィネスから発行された美術展覧会のカタログ誌(B5判、定価1,800円)。編者はbun-ten企画編集部で、発行元である一般社団法人藝文協会(WAC世界芸術文化交流会)が主催したチャリティー展覧会「飛翔ー東日本大震災復興美術展覧会」の公式記録としてまとめられています。全ページ数は明記されていませんが、展覧会の詳細レポート、作品紹介、イベント記録、寄稿エッセイ、参加者インタビューなどで構成され、震災からの復興をテーマに「絶対に沈まない!」というスローガンを掲げ、日本美術の底力を発信。被災者への哀悼、復興支援、国際連帯(タイ大洪水との連動)を強調し、芸術を通じた希望のメッセージを込めています。カタログは展覧会直後の2012年3月発行で、広報取材を基に編集され、フリーペーパー(サクラサクライフ、Canta、月刊ぷらざ)との協力で配布されました。全体のトーンはポジティブで、震災の悲しみを乗り越える「飛翔」の象徴性を繰り返し描き、来場者延べ1,000人以上の反響を反映しています。以下に、カタログの構造に基づいた徹底的な詳細要約を記します。カタログの主な内容は、展覧会のクロニクル(時系列記録)、作品カタログ、出品者プロフィール、関連エッセイ、支援活動報告に分かれ、多角的な視点から展覧会の意義を解説。寄稿者は主に主催者、参加アーティスト、来賓で、インタビューや鼎談形式が中心です。作品紹介は写真・図版を多用し、合計350点以上の出品を簡潔に扱っています。1. 展覧会概要と目的(序章・エディトリアル)カタログ冒頭で、展覧会の背景とコンセプトを説明。2011年3月11日の東日本大震災・津波被害(死者・行方不明者約2万人規模)を哀悼し、復興への祈りを芸術で表現。同時期のタイ大洪水(2011年)との連帯を強調し、「地震国日本」の安全意識向上と国際友情を訴え。スローガン「飛翔」は、沈没・破壊からの再生を象徴し、作品テーマとして「生命」「不沈」「希望」を統一。支援面では、茨城県内物産展(郷土工芸品販売)を併設し、売上を被災地へ寄付。主催者赤尾信敏(WAC最高顧問)の寄稿で、「芸術は心の避難経路。震災後の日本が再び飛翔する力を信じる」と述べ、タイ国王族ソムラップ・キティヤコーン(WAC会長)のメッセージを収録。後援一覧(茨城県庁、水戸市役所、産経新聞社水戸支局など)も掲載。
  • 開催詳細:
    • 日時: 2012年2月18日(土)~21日(火)、4日間
    • 場所: 茨城県立県民文化センター(水戸市)2F 一般展示室・県民ギャラリー
    • 入場: 無料、来場者延べ1,000人以上
    • 主催: WAC世界芸術文化交流会(藝文協会)
    • 協力: タイ赤十字、吉久保酒造など
2. オープニングイベントの記録(第1章: 祈りの幕開け)展覧会初日のハイライトを写真と詳細記述でレポート。震災の記憶を呼び起こす感動的なセレモニーとして位置づけ。
  • 主な内容:
    • 午前中: 福島県南相馬市から相馬野馬追武者(重要無形民俗文化財指定の伝統芸能集団)が陣羽織・甲冑姿で登場。ホラ貝の合図でオープニング開始。
    • クライマックス: 書家・柿沼康二による大字書揮毫パフォーマンス。作品タイトル「不沈」(沈まずの意)、超大筆(墨含むと60kg超の重さ)を使用し、会場にダイナミックな筆致を披露。柿沼の寄稿インタビューで、「震災の絶望を跳ね返す不屈の精神を墨で表現。被災地の皆さんに届きますように」と語る。写真多用で、筆の軌跡と観客の感動顔を捉え。
    • 挨拶: 赤尾信敏が震災体験を振り返り、「芸術が日本を繋ぐ」と強調。ソムラップ・キティヤコーンがタイ洪水との共通点を挙げ、国際支援の決意を述べる。
    • 反響: 会場は満員、武者の勇壮さと書のパワーが融合し、涙を誘う雰囲気。カタログでは、産経新聞水戸支局長・三保谷浩輝の取材メモを引用。
3. 子供ふれあいアートセッション(第2章: 未来への生命の表現)2日目午前のワークショップを詳細に記録。子供参加型イベントとして、復興の「次世代継承」をテーマに。
  • 詳細:
    • 時間・場所: 2月19日午前10時半~、会場2階ロビー(6m四方の作画スペース)
    • 参加者: 美術家15名(日本全国から、具体名: 柿沼康二ほか未詳だが、書道・絵画専門家中心)と子供25名(地元小中学生)
    • 内容: テーマ「生命」。2m×1mの模造紙5枚に一斉作画(絵画・書道)。1時間で色鮮やかな共同作品完成。子供たちの無邪気な筆使いが「震災後の希望」を象徴。
    • 総評: 赤尾信敏が講評、「生命の尊さと環境保護を子供たちに伝えたい。芸術は未来の盾」と。終了後、タイ国王族ソムラップから子供たちへ感謝状授与。
    • カタログ記述: プロセス写真(制作中の笑顔、完成作品のクローズアップ)と子供インタビュー(例: 「お母さんの海を描きました」)。寄稿: 美術家代表のエッセイで、「子供の目線が大人を癒す」との洞察。
4. 懇談会と支援活動(第3章: 連帯の輪)2日目午後のディスカッションを議事録風にまとめ、復興の現場声を反映。
  • 詳細:
    • 時間・場所: 2月19日午後2時半~、ホテルシーズン(水戸)
    • 参加者: 赤尾信敏、ソムラップ・キティヤコーン、アヌワット・ブーンニティー(タイ赤十字名誉役員)、坂本半酔(WAC教育顧問)、水戸市観光課・宮崎良太、産経新聞・三保谷浩輝、吉久保酒造専務・吉久保博之、美術家グループ。
    • 議論要点:
      • 赤尾: 震災後の避難経路不足を指摘、「文化イベントで防災意識を高める」。
      • ソムラップ: タイ洪水体験共有、「日本とタイの友情が復興の力」。
      • 吉久保: 震災当日の酒造被害を語り、「物産展の売上で被災地支援を継続」。
      • 坂本: 教育視点から、「アートセッションを全国展開せよ」。
    • 支援報告: 物産展売上(茨城郷土工芸品中心)を全額寄付。チャリティーオークションの計画も触れ。
    • カタログ寄稿: 鼎談形式の抜粋と写真。石川文隆(WAC東京支局長)のまとめエッセイで、「心の復興が本当の飛翔」と結ぶ。
5. 出品作品カタログ(第4章: 芸術の祈り)展覧会の核心部で、350点以上の作品をカテゴリ別に紹介。写真・図版中心で、各作品にタイトル、アーティスト名、技法、簡単解説を付記。テーマ「飛翔」に沿った復興モチーフ(波、鳥、太陽など)が目立つ。
  • 主なカテゴリと代表作品:
    • 書道部門 (約100点): 柿沼康二「不沈」(大字書、墨のダイナミズムで不屈表現)。他、全国書家による「希望の翼」「復興の炎」など。子供作品含む。
    • 絵画・版画部門 (約150点): 美術家15名の共同作品「生命の海」(子供セッション産、多色使いの抽象画)。個別: 関西在住画家「津波の記憶」(水墨画、破壊と再生のコントラスト)。
    • 工芸・彫刻部門 (約100点): 茨城郷土工芸(陶器、織物)。北海道出展者の木彫「飛翔する鶴」(震災犠牲者追悼)。
    • 全体特徴: 全国出展(関西、北海道など)、子供作品20%超。解説で各アーティストの震災エピソードを添え(例: 「被災地訪問で生まれた一枚」)。
    • 注記: 詳細リストはカタログ写真ベースで、宗像克元(WAC美術顧問)の選評付き。
6. 後記と展望(終章: 持続する飛翔)展覧会総括と今後の展望。来場者アンケート抜粋(「心が洗われた」「国際連帯に感動」)と寄付実績報告。赤尾信敏の締めくくりエッセイで、「この展は始まり。WACは復興アートを世界へ」と。タイ側メッセージと、関連イベント予告(チャリティーオークション)。全体の示唆と評価本カタログは、震災1年目の緊急イベント記録として、芸術の社会的役割を強調。理論より現場の熱気を優先し、パフォーマンス写真の迫力が魅力。批判点として、参加アーティストの多様性(主に日本中心)が挙げられるが、チャリティー効果(寄付額非公表だが、物産展成功)は高評価。2025年現在、震災14年目の視点で読むと、持続可能な文化復興のモデルとして価値あり。類似イベント(例: リボーンアート・フェスティバル)の先駆けとなりました。