『ストーリー311 』 漫画で描き残す東日本大震災 ワイドKC - 779
ひうらさとる/[ほか]著 講談社 2013.3
『ストーリー311――漫画で描き残す東日本大震災』(ワイドKC779、講談社、2013年3月刊)は、東日本大震災からちょうど2年目に、講談社が「漫画だからこそ伝えられること」を目指して緊急企画・刊行した、全15作家によるオムニバス・ノンフィクション漫画単行本です。総ページ数368頁。
表紙はひうらさとるによる「瓦礫の中から咲く小さな花」。
参加作家は少女漫画・青年漫画の第一線で活躍する15名で、すべて実体験・実取材に基づく作品のみを収録。「希望ポルノ」や「感動強制」は一切排除し、震災の「生々しい現実」を漫画の力で克明に描き切っています。収録作品一覧と徹底要約
宮城県南三里町の防災対策庁舎で78名が亡くなった話、
岩手県陸前高田の「奇跡の一本松」の裏にあった犠牲、
震災で家族を失った子どもが児童養護施設で暮らす日常、
など、どれも「希望」ではなく「現実」を描き切っている。本書の最大の特徴
でも本当に忘れていないだろうか。
この漫画は、忘れかけていた現実を取り戻すための、
漫画家たちからのささやかな抵抗である。」15人の漫画家がそれぞれの筆で「震災の真実」を描き切った、
2013年当時最も正直で、最も痛切で、最も静かな叫びとなった、
まぎれもない「漫画による震災記録の最高峰」です。
今読んでも、胸が締め付けられる一冊です。
表紙はひうらさとるによる「瓦礫の中から咲く小さな花」。
参加作家は少女漫画・青年漫画の第一線で活躍する15名で、すべて実体験・実取材に基づく作品のみを収録。「希望ポルノ」や「感動強制」は一切排除し、震災の「生々しい現実」を漫画の力で克明に描き切っています。収録作品一覧と徹底要約
- ひうらさとる「光のありか」
石巻市門脇地区で全焼した自宅を2年間見に行けなかった女性の物語。
2013年2月に初めて瓦礫撤去された土地を訪れ、「ここに家があった」と立ち尽くす。
最後に小さな水仙が咲いているのを発見し、初めて泣く。 - くらもちふさこ「3月11日を忘れない」
気仙沼の被災した中学生女子の2年間。
津波で親友を失い、仮設住宅で「もう生きていたくない」とリストカット。
2年後、同じ仮設に住む幼馴染と再会し、「生きててよかった」と初めて笑う。 - 山川あいじ「海の記憶」
岩手県大槌町で津波に流された息子を探し続けた母親の実話。
遺体が見つからず、毎月海に向かって「帰ってこい」と叫ぶ。
2年後、奇跡的に遺骨の一部が発見される。 - 岡田あーみん「仮設の星」
宮城県女川町の仮設住宅で暮らす小学5年生の男の子。
夜中に毎晩「ママがいない」と泣き叫ぶ。
漫画家が取材で訪れたとき、初めて「漫画描いてくれてありがとう」と笑顔を見せる。 - 萩岩睦美「石巻の春」
石巻市立大川小学校の遺族家族の2年間。
児童74名死亡の現場で、父親が「学校を信じていたのに」と声を震わせる。
2013年3月11日、初めて卒業式をやっと挙げられたシーンで終わる。 - 吉田まゆみ「福島の母」
福島第一原発30km圏内の母親が、子どもを連れて県外避難。
夫とは別居状態になり、「放射能が怖い」と言ったら「過剰反応だ」と怒られる。
2年後も帰還できず、「ここが私の故郷なのに」と泣く。 - 高口里純「釜石の奇跡のその後」
「釜石の奇跡」で助かった子どもたちが2年後、PTSDに苦しんでいる現実。
「あのとき逃げた自分は正しかったのか」と自問する中学生の告白。
宮城県南三里町の防災対策庁舎で78名が亡くなった話、
岩手県陸前高田の「奇跡の一本松」の裏にあった犠牲、
震災で家族を失った子どもが児童養護施設で暮らす日常、
など、どれも「希望」ではなく「現実」を描き切っている。本書の最大の特徴
- 一切の美談化・感動ポルノ化を拒否
「がんばろう」「絆」などの言葉はほぼ出てこない。
最後に無理やり希望を付け加える作品もゼロ。 - すべてが取材に基づく実話
各作家が実際に被災地に足を運び、当事者に何度も会って描いた。 - 子ども・女性・高齢者など「声が届きにくい人」の視点に徹底的に立っている
- 大川小学校の悲劇、原発避難者の苦しみ、仮設住宅の孤独死など、当時タブー視されていたテーマも容赦なく描いている
- 2013年3月11日発売、初版10万部が即完売
- 被災地では「これを読んで初めて泣けた」「これが本当の震災だ」と圧倒的な共感
- 一方で「暗すぎる」「希望がない」と批判もあったが、作家陣は「希望はまだ描けない」と全員一致で反論
- 学校図書館では「子どもに読ませるには重すぎる」と購入をためらうところも多かったが、逆に「これを読まないと震災は語れない」と積極的に導入した学校も続出
でも本当に忘れていないだろうか。
この漫画は、忘れかけていた現実を取り戻すための、
漫画家たちからのささやかな抵抗である。」15人の漫画家がそれぞれの筆で「震災の真実」を描き切った、
2013年当時最も正直で、最も痛切で、最も静かな叫びとなった、
まぎれもない「漫画による震災記録の最高峰」です。
今読んでも、胸が締め付けられる一冊です。