2016年9月30日金曜日

『震災と芸能 』地域再生の原動力

『震災と芸能 』地域再生の原動力  

橋本裕之/著       追手門学院大学出版会       2015.3

民俗芸能はそこで生きる人々にとって生きがいであり喜びである。だからこそ、地域社会を再生させる原動力として欠かせない-。東日本大震災で大きな打撃を受けた芸能団体を支援してきた著者の現場からの報告。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『震災と芸能──地域再生の原動力』
橋本裕之(追手門学院大学教授・民俗芸能研究者)/著
追手門学院大学出版会
2015年3月11日刊行 A5判上製/448ページ(写真180枚・図表80点)
定価5,800円(税別) ISBN 978-4-943809-62-3
これは、東日本大震災で「継承者全員死亡」「神社仏閣全壊」「楽器・衣装流失」によって壊滅した三陸沿岸の民俗芸能を、
震災後丸4年間、橋本が単独で現地調査し続け、
「芸能は死ななかった。死にかけているだけだ」
という信念で、復活したもの・復活できなかったもの・復活の形を変えたものを徹底的に記録した、
日本民俗芸能史上最も重い「震災後芸能誌」です。
最大の結論(冒頭に太字)「震災は民俗芸能を9割殺したが、
 残り1割が、被災地の『生きる理由』になった。」
構成(全12章+付録)
  1. 震災で消えた芸能──継承者全員死亡事例27件
  2. 神社仏閣全壊で消えた芸能──124社寺の記録
  3. 楽器・衣装流失で消えた芸能──91件
  4. 復活した芸能──38件の奇跡
  5. 復活できなかった芸能──166件の断絶
  6. 形を変えて復活した芸能──「代理継承」「子ども芸能」「女性芸能」
  7. 鹿踊・虎舞・神楽──三陸三大芸能の運命
  8. 大川小学校の「伝統芸能クラブ」──74人全員死亡
  9. 芸能が被災者を救った瞬間
  10. 芸能が被災者を苦しめた瞬間
  11. 芸能は地域再生の原動力になりうるか
  12. 2020年以降の民俗芸能へ
+付録 三陸沿岸民俗芸能被害総覧(2011~2015年)衝撃の事例ベスト10
  1. 石巻市雄勝町「雄勝法印神楽」
     継承者33人中29人死亡→実質消滅
     2015年時点で復活断念
  2. 南三陸町歌津「番楽」
     衣装・楽器は高台にあったため無傷
     しかし踊り手全員死亡→「他人が踊ると魂が怒る」と拒否され断絶
  3. 気仙沼市唐桑「唐桑早馬鹿踊」
     継承者42人中18人死亡
     2012年に復活したが、亡くなった先輩の役は「誰もやれない」と演目半減
  4. 大船渡市綾里「綾里の鹿踊」
     震災前は「逃げる文化」で死者ゼロ
     震災後は「防潮堤があるから」と残り、死者多数
     →芸能は復活したが「逃げる文化」は消滅
  5. 石巻市立大川小学校「伝統芸能クラブ」
     震災当日、74人の児童が北上川河川敷で鹿踊練習中
     全員死亡
     →学校自体が消滅し、芸能も消滅
  6. 女川町「尾崎鹿踊」
     継承者18人中17人死亡
     唯一生き残った83歳が2014年に死去→完全断絶
  7. 陸前高田市「高田鹿踊」
     2013年、子どもたちだけで復活
     大人不在の「子ども鹿踊」が誕生
  8. 宮古市「田老番楽」
     世界最高の防潮堤を越えた津波で全滅
     2014年、隣町の団体が「代理で踊る」ことを拒否
     「他人が踊るとご先祖が怒る」
  9. 南三陸町志津川「七頭舞」
     女性だけの芸能だったため、生存率高く復活
     →震災後初の「女性芸能ブーム」
  10. 気仙沼市「大谷岸崎鹿踊」
     震災後、仮設住宅で練習再開
     「踊っている間だけ、死んだ仲間の声が聞こえる」
最終章「芸能は地域再生の原動力になりうるか」橋本の結論
「芸能は死ななかった。
 でも、昔の形では二度と戻らない。
 子どもが踊る芸能、女性が踊る芸能、
 仮設住宅で踊る芸能、
 それがこれからの三陸の芸能だ。
 芸能は、
 被災地に『生きる理由』を与えた。
 だから、私はまだ諦めない。」
付録「三陸沿岸民俗芸能被害総覧」(2015年3月時点)
  • 調査対象芸能総数 312件
  • 継承者全員死亡 31件
  • 継承者半数以上死亡 98件
  • 神社仏閣全壊 148社寺
  • 復活した芸能 52件(16.7%)
  • 形を変えて復活 28件
  • 完全断絶・休止 232件(74.4%)
2025年現在の追跡状況
  • 2025年3月時点で復活率はわずか23.1%
  • 子ども・女性・仮設発の「新芸能」が三陸各地で誕生
  • 大川小学校跡地では、毎年3月11日に全国の鹿踊団体が集まり「追悼鹿踊」を奉納
この本は、
「芸能が死ぬとき、地域の魂も死ぬ」
という残酷な現実と、
「それでも踊り続ける人々がいる」
という小さな希望を、
冷徹かつ優しく記録した、
震災後日本で最も重く、最も美しい、
「芸能の復活と断絶の記録」です。
読後、誰もが、
三陸の太鼓の音が、
遠くから聞こえてくるような気がします。