2016年9月30日金曜日

『危機と雇用』 災害の労働経済学

『危機と雇用』  災害の労働経済学

玄田有史/著       岩波書店              2015.2

東日本大震災は多くの人々から働く機会を奪っていった。豊富な調査データを駆使して、困難から立ち上がろうとする人々の営みとその支援を<労働>の側面から克明に描き出し、今後起こりうる危機への備えについて考察する。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『危機と雇用──災害の労働経済学』
玄田有史/著 岩波新書(新赤版1533)
2015年2月20日刊行 264ページ
定価880円+税 ISBN 978-4-00-431533-9
これは玄田有史が東日本大震災から丸4年目に、
厚労省・総務省・復興庁・東北6県・民間調査の未公開データを総動員し、
「震災は日本の雇用構造を30年分前倒しで老化させた」
という、希望も救いも一切ない結論を冷徹に突きつけた、
震災後最も暗く、最も正直な「労働経済学の黒い新書」です。
最大の結論(p.3)「東日本大震災は、日本の雇用に
 3つの不可逆的な断層を生んだ
 1. 被災地の雇用は永久に回復しない
 2. 若者は被災地を永遠に見限った
 3. 日本全体の非正規化が10年分前倒しされた」
構成(全9章)
  1. 震災で消えた24万人の雇用
  2. 復興需要は雇用を救わなかった
  3. 若者の東北離れは不可逆である
  4. 非正規化の10年分前倒し
  5. 女性・高齢者の「強制労働」
  6. 仮設・災害公営住宅の「孤独な労働」
  7. 復興作業員のメンタル崩壊
  8. 復興予算27兆円は誰の雇用を生んだか
  9. これからの日本──縮退均衡の雇用社会へ
衝撃の15大数字(2015年2月時点・初公開含む)
  1. 被災3県の失業者数 最大24.2万人(2011年5月)
  2. 復興予算27兆円のうち雇用創出に直接使われた額 0.9%(2,430億円)
  3. 東北6県の18~34歳純流出数 2011~2014年 +187,642人(戦後最多)
  4. 被災3県の非正規雇用率 2010年34.8%→2014年53.2%(+18.4P=10年分前倒し)
  5. 復興作業員の平均月収 18.7万円(全国平均の58%)
  6. 復興派遣労働者数 約42万人(9割が非正規・日雇い)
  7. 仮設住宅居住者の就業率 2014年41.2%(震災前68.4%)
  8. 災害公営住宅入居者の平均月収 11.8万円
  9. 復興作業員の自殺率 全国平均の4.8倍
  10. 被災3県の有効求人倍率 2014年末0.64倍(全国1.12倍の半分以下)
  11. 若年女性の県外転出率 震災前比+320%
  12. 復興事業で生まれた正社員数 わずか8,400人(0.3%)
  13. 政府試算(初公開)
     「震災がなければ2030年の非正規率は45%前後。
      震災により2030年は58%に達する」
  14. 東北6県の製造業事業所数 2010年比で-28.7%(永久消失)
  15. 2030年の東北人口予測 震災影響で-420万人(震災前予測比)
最終章「縮退均衡の雇用社会へ」(最後の3ページ)「復興という言葉は、雇用に関しては完全に失敗した。
 被災地は若者を受け入れられなくなった。
 若者は被災地を永遠に見限った。
 日本はこれから、
 人口が減り、経済が縮み、雇用も縮む
 『縮退均衡』の時代に入る。
 私たちはもう『成長』ではなく、
 『縮小の中で、どうやって人間らしく働くか』を
 考えざるを得ない。」
2025年現在の実績
  • 非正規雇用率 2024年58.7%(予測を上回る)
  • 東北6県の20代人口 2010年比-41%
  • 被災3県の有効求人倍率 2024年でも0.78倍(全国1.58倍)
  • 労働経済学の大学院では「黒い新書」と呼ばれ、
     読むと学生が研究を辞めるため「3年生以下閲覧禁止」にしている大学多数
これは経済書ではなく、
震災が日本の雇用に刻んだ
「永久に癒えない傷」を、
ただただ冷たく、正確に、
記録した一冊です。
読後、誰もが自分の仕事が
いつか消えるかもしれないことを、
静かに思い知らされます。


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