『福島 生きものの記録』 シリーズ5 ~追跡~
岩崎雅典監督
(早大探検部6期OB、早大探検部OB会第5代会長) 群像舎 2013年
平成25年(2013年)度 文化庁映画賞 文化記録映画優秀賞受賞
発起人 中本信義(早大探検部6期OB)、坂口康、陣内直行、菅野均、矢作和重(早大探検部12期OB)、高橋丈夫(早大探検部13期OB)、中山哲(早大探検部13期OB)、清水光雄(早大探検部13期OB)、丹野慎一(早大探検部15期OB)、太田肇(早大探検部23期OB)、川村一綱
呼びかけ人 飯島博、飯島正広、岩本久則、上幸雄(早大探検部10期OB)、奥島孝康(早大探検部第2代部長)、加藤登紀子、見城美枝子、竹内謙(早大探検部7期OB)、谷村志穂、中村敦夫、中西せつ子、西木正明(早大探検部7期OB)、西田敏行、羽山伸一、船戸与一(早大探検部8期OB)、前田憲男、柳生博、地球生物会議ALIVE
2023年の年賀状に早稲田大学探検部OBからのカンパをと記したところ、早稲田大学探検部34期OGの浅井美香さんより、2023年1月13日に1万円のカンパがありました。
カンパしていただいたお金で、早稲田大学探検部6期OBで早稲田大学探検部OB会第5代会長だった故岩崎雅典さんの映像作品、『福島 生きものの記録』全5巻を購入しました。
『福島 生きものの記録』全5巻をAmazonで見つけていたので、浅井さんからのカンパのお金で、 『福島 生きものの記録』全5巻のDVDを購入しました。
2023年4月1日に 『福島 生きものの記録』 シリーズ5 ~追跡~ を鑑賞しました。
シリーズ5 ~追跡~ では、福島第一原発事故後、5年後の2016年の福島県を訪れ、探検し、福島県のの放射能汚染地域の放射能汚染された生きものたちを追跡しています。
はじめに、福島第一原発に近い、海の海洋汚染を追跡していました。
波打ち際のテトラポットにいる魚介類のイボニシという貝の放射能汚染を調べていました。
イボニシという貝(巻貝)が、有機スズ化合物という人工の化合物が船底の塗料や漁網などに使われていて、有機スズ化合物が溶け出すことにより、海洋汚染され、イボニシが奇形し、メスにオスの生殖器が生えてくるという環境汚染の研究をしている国立環境研究所 室長 堀口敏宏さんのことを取材しています。
堀口敏宏さんは福島第一原発事故による海洋の放射能汚染の影響がイボニシにないかを調査していました。
福島県の海岸の風景が、僕が子供の頃に両親に連れられて帰省していた茨城県高萩の海岸の風景とそっくりで、母の故郷、茨城県高萩の海を思い出しました。
福島県の子供たちの甲状腺検診の映像もありました。
放射能汚染が原因で甲状腺がんに罹ると、半身不随になる可能性もあるらしく、福島県の子供たちも不安そうに甲状腺検診を受けていました。
註 甲状腺がんとは
甲状腺とは喉ぼとけのすぐ下にある。重さが20グラム前後の臓器。ここから出される甲状腺ホルモンは、新陳代謝に関与するホルモンを分泌する。ホルモンの量が不足したり過剰になったりする病気があるが、ここが癌になったものが甲状腺癌でいくつかのタイプがある。放射性ヨウ素による影響を避けるためにヨード剤が使用される。
参考文献 『こういうこと。 終わらない福島原発事故』より
人間も生きものですから、放射能被曝による何らかの体の異常が現れてもおかしくありません。
もし放射能被ばくによる福島県の子供たちの甲状腺ガンが見つかったら、大変なことになると思いました。
甲状腺ガンにより半身不随になったら、東京電力に対する刑法209条の「過失傷害」の罪も問われてくるのではないかと思いました。
ニホンザルの被曝についても追跡していました。
猿が被爆したのは世界でも初めてで、どのような異変が起きているのかと考えると恐ろしくなりました。
飯舘村の猿を追跡していました。人間も猿も霊長類で近い生きものだと思うので、猿の被爆による体の異変には大変興味がわきました。
独立行政法人 森林総合研究所 上席研究員 山田文雄さんへのインタビューでは
「福島第一原発20キロ圏内の地域のアカネズミから17万ベクレル/kgの値が検出されている」
というインタビューもあり、一般食品の放射能汚染基準は100ベクレル/kgだと前作で言っていたので、どれだけひどく放射能汚染されたのかが分かり、驚愕しました。
東京大学名誉教授の生物学者の森敏名誉教授へのインタビューでは
「100ミリシーベルト以上、放射能を浴びたら、どっかの遺伝子が変異を起こしてガン化するというのが放射能汚染のシンプルストーリー」
註 シーベルトとは
放射線が人体に与える影響の度合いを「シーベルト(Sv)」という単位で表現する。放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線を身体の部位などで異なるため、これらを考慮した数値が「○○Sv」と記述される。一般には、1時間あたり(Sv/h)の数値が示されるが、年間被曝量として(Sv/y)と示されることもある。「1マイクロシーベルト」は1000倍すると「1ミリシーベルト」になり、「1ミリシーベルト」を1000倍すると「1シーベルト」になる。たとえば、2000マイクロシーベルトは2ミリシーベルトである。なお、放射性物質が放射線を出す能力をベクレル(Bq)という単位で表現し、各放射線による人体への個別影響を表現する単位の「シーベルト」と区別する。
「エピジェネティックス(DNAの変化がないのに特異的な性質を子孫が受け継ぐこと)という言葉があり、DNAに傷がつかなくても、次の世代に親の放射能障害が子に伝わるというのは常識になってきている」
というインタビューがあり、放射能汚染により放射能汚染障害という障害が出てきてしまう恐れがあると思い、本当に放射能汚染とは人々を恐怖に陥れるもので、事故を起こした東京電力は何らかの法的責任を取らないと放射能汚染された区域に住む福島県民の方々に示しがつかないと思いました。
早稲田大学探検部関係者には是非、きちんと観ていただきたい映画だと思いました。
先日は早稲田大学探検部6期OBで早稲田大学探検部OB会第5代会長だった岩崎雅典さんの作品、『福島 生きものの記録』 シリーズ5 ~追跡~ を鑑賞したので、映画を見ての感想を書いておきます。