2014年5月8日木曜日

『次に来る自然災害 』



『次に来る自然災害 』 地震・噴火・異常気象 PHP新書 - 797

鎌田浩毅/著   PHP研究所 2012.5

東日本大震災はいまだ終わっていない。むしろ「巨大災害の世紀」が幕を開けたのだ。巨大地震や活火山の噴火が目前に迫り、自分の身は自分で守るしかない時代に、これだけは知らないと危うい基礎知識と最新情報を紹介する。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

前作と同様に、出版社情報・目次・書評・著者の同時代の著作から内容を再構成します。まず書誌と目次を集めます。本書は、東日本大震災から約1年後の2012年5月に出た、京都大学大学院教授(当時)・鎌田浩毅による一般向け防災・地球科学入門です。PHP新書797、副題は「地震・噴火・異常気象」、シリーズ名は「地球科学入門1」、本文205頁。著者は1955年東京生まれ、東大理学部地学科卒、通産省を経て京大教授。火山学・地球科学が専門で、「科学の伝道師」として一般向け解説を続けてきた人物です。

同じ2012年に出た井田喜明『地震予知と噴火予知』が「予知科学の限界と制度」を内側から点検する本だとすれば、本書は「次に来る四つの災害」を列挙し、市民の自衛(災害リテラシー)を促す啓蒙書です。トーンは警告が強く、日付指定の予知は否定しつつ、「必ず来る/100パーセント噴火する」といった断定表現を多用します。数値や活火山数は2012年時点のものです。


本書の中心主張

3.11は終わりではなく、「巨大災害の世紀」と「大地変動の時代」の始まりである。日本列島には、次の四つが目前に迫っている。

  1. 太平洋沖のM8クラス「余震」(3.11の余波)
  2. 首都圏を直撃しうる直下型地震
  3. 富士山を含む活火山の噴火
  4. 約300年に一度の東海・東南海・南海の三連動による「西日本大震災」

科学は「何月何日」を当てられない。だから行政の救助を待つ前に、自分の身は自分で守るしかない——これが全書を貫く結論です。東洋経済の紹介も、この四点警告と「潮が必ず引く」「ピンポイント予知」への否定を、本書の骨子として挙げています。

著者は同時期の雑誌寄稿でも、9世紀の貞観地震(869)から18年後に仁和の三連動(887)が起きた歴史を引き、東海・東南海・南海の三連動は2030年代、遅くとも2040年までには来る、首都直下はいつ起きてもおかしくない、富士山は火山学的に100パーセント噴火する、と述べています。本書はその主張を新書サイズに整理したものです。


第1章 「地震」は忘れる前にやってくる

全8節。メカニズムより「何が来るか・どう逃げるか」に比重があります。

300年に1度の超弩級、「三連動地震」が太平洋岸で起きる

南海トラフ沿いには、東海・東南海・南海という三つの巨大地震の巣がある。単独でもM8級、三つが同時または短期間に連動すればM9級になりうる。歴史上、1707年宝永地震のように三連動した例があり、著者はこれを「西日本大震災」と呼ぶ。周期はおおむね100〜150年だが、三連動はより稀で、著者は「約300年に一度の超弩級」と位置づけます。1944年東南海・1946年南海のあと、東海セグメントは動いておらず、ひずみが残っている——これが「次は連動の番」という著者の読みです。被害は揺れだけでなく津波と長周期地震動(高層ビルの長い揺れ)が広域に及ぶ、と警告します。

地震が来ない場所のない日本、直下型地震の予測は至難の業

海溝型は場所がある程度見える。内陸の活断層型は、日本中どこでも起きうる。阪神・淡路が示したように、「関西は大丈夫」は神話だった。直下型は震源が浅く、予知も長期評価も海溝型より難しい。3.11後は列島の応力場が変わり、内陸地震が増えやすい、というのが著者の見立てです。

津波が来たら遠くへ逃げるよりも、高い場所へ駆け上がれ

3.11最大の教訓の一つです。「津波の前に必ず潮が引く」は誤りで、引き潮を待って逃げ遅れるな、と明言します。水平方向に遠くへ走るより、近くの高台・高層階へ垂直避難せよ。想定高さの堤防を過信せず、「想定を超える波が来る」前提で動く。車避難の渋滞、リアス式海岸の増幅、 presen t warning の更新にも触れ、判断の主体は本人だと繰り返します。

日本全国の軟弱地盤の下には、未知の活断層が隠れている

沖積平野、埋立地、谷埋め盛土は揺れやすく液状化する。活断層は地表に見えているものだけではない。都市の地下に未知の断層がある可能性を指摘し、ハザードマップと地盤情報を自分で見るよう促します。建物の耐震と家具固定が、直下型では津波以上に生死を分ける、という実務的な話です。

発生確率88パーセント以上の東南海地震に備える

2012年当時、地震調査研究推進本部の長期評価で、東南海地震の30年発生確率は非常に高い数字(本書タイトル通り「88パーセント以上」)として示されていました。著者はこの公式数字を使い、「確率が高い=明日かもしれない」と読み替えます。東海単独の警戒宣言体制だけでなく、東南海・南海を含む連動を想定せよ、浜岡など太平洋岸のインフラ・原発立地にも含みを持たせます。※この確率値は後年の評価で更新されています。

緊急地震速報が出たら、自分の身を守るためにまず何をすべきか

緊急地震速報は「地震が起きる予知」ではなく、「すでに始まった破壊の揺れが届く前の数秒〜数十秒」の警報です。机の下、頭部保護、火の元、エレベータ停止、運転中の減速。近い直下型では間に合わないこともある。速報を過信せず、日頃の固定と避難行動を体に覚えさせる、という使い分けです。

地震時の帰宅困難者は数百万人、会社に食料や防災品を備蓄せよ

首都圏で昼に大地震が起きれば、鉄道停止で帰宅困難者が数百万人規模になる(当時の想定)。無理な徒歩帰宅は二次災害を生む。勤務先に水・食料・靴・ラジオを置き、発災当日は職場や近くに留まる判断が必要。家庭の備蓄(最低3日、望ましくは1週間)とセットで論じます。

休日に震災時の「帰宅支援マップ」を手に、自分の足で実際に歩いてみよう

知識だけでは逃げられない。井戸・トイレ・一時滞在施設・高台・帰宅ルートを、平時に歩いて確認せよ。地図を持って歩く、という具体的宿題で第1章を閉じます。著者が繰り返し使う「自分の身は自分で守る」の実践編です。


第2章 「火山」はいつ噴火してもおかしくない

全8節。著者の本業である火山が、地震と結びつけて語られます。

日本列島の地震と火山は、プレートの動きが原因

太平洋プレート・フィリピン海プレートの沈み込みが、海溝型地震と島弧火山の両方を作る。地震と噴火は別現象だが、同じプレート運動の裏表である。巨大地震が応力を変え、マグマ溜まりを刺激して噴火を誘発しうる——後の富士山論の前提です。

火山灰の噴出による損害は、同時多発テロをしのぐ金額

溶岩や火砕流は山麓の局所災害になりやすい。都市を止めるのは広域降灰です。交通、電力、水道、精密機械、航空、農作物が同時に止まる。経済損失の比喩として「同時多発テロを超える」と書き、噴火を山村の話だと思っている都市住民を戒めます。1707年宝永噴火で江戸に灰が降った史実が、この議論の背景にあります。

注意すべき活火山は110個、休火山と死火山はもはや死語

2012年当時の気象庁の活火山数は110(後に111等へ更新)。「休火山」「死火山」は使わない。過去およそ1万年以内に噴火した、または活発な噴気がある山はすべて活火山である。御嶽山のような水蒸気噴火も含め、「静かな山」も対象です。

科学を用いた噴火予知で災害を減らすことは可能

ここは井田本と重なります。マグマ上昇は火山性地震、微動、地殻変動、ガスとして見えやすい。有珠山2000年のように、開始の時期と場所は避難に使える精度が出ることがある。ただし規模・様式・推移は難しい。地震の直前予知より噴火予知の方が実用に近い、という火山学者としての楽観が、この節の核です。

時期は特定できないが、富士山は100パーセント噴火する

本書で最も引用される命題です。富士山は活火山であり、最後の噴火は1707年宝永。300年近い休止は「死んだ」ではなく「溜めている」。火山学的には将来必ず噴火する。日付は分からない。3.11の数日後に富士山直下で地震があり、マグマ溜まりが刺激された可能性に触れ、「スタンバイ」に近い表現で緊急性を上げます。宝永では南海トラフの巨大地震の49日後に噴火した、という歴史が、連動シナリオの根拠です。

「100パーセント」は「活火山である以上、地質学的将来に噴火する」という命題と、「近い将来に必ず宝永級が起きる」という命題が、一般向け文章ではしばしば溶け合う点に注意が必要です。本書の修辞は後者に近づきます。

大きな噴火は、異常気象を引き起こすことがある

巨大噴火の硫酸エアロゾルが日射を遮り、冷夏・凶作を招いた例( Tambora 1815、ピナトゥボ1991、日本では浅間・富士などの歴史)を挙げ、第3章の気象へ橋を架けます。噴火は局地災害であると同時に気候イベントになりうる。

約700年に1回の巨大地震が、「そろそろ」起きても不思議はない

節題は「巨大地震」ですが、火山章に置かれています。貞観(869)級や、より長い再来周期の超巨大イベント、あるいはカルデラ級の破局噴火を含む「低頻度・超巨大」を意識した箇所です。3.11自体が「千年に一度」級だった、という認識と重なります。正確な対象(どの地震/どの噴火か)は本文に当たる必要がありますが、趣旨は「人間の寿命より長い周期でも、今がその窓に入っている」です。

自然災害で命を落とすのは、「自分だけは大丈夫」の思い込み

心理学的な正常性バイアスへの警告で章を閉じます。経験したことのない災害は想像できない。ハザードマップを見ない、避難訓練をしない、灰は都会に来ないと思う——それが犠牲を増やす。科学知識より先に、この認知の歪みを直せ、という著者の教育者的結論です。


第3章 「異常気象」はいつまで続くのか

全9節。地震・火山ほど著者の中核ではなく、当時話題の気象・環境を一通り解説する「地球科学入門」の性格が強い章です。2012年時点の議論を含み、現在の気候科学の主流と一致しない箇所もあります。

偏西風によって気圧の配置が崩れると、異常気象になりうる

偏西風(ジェット)の蛇行がブロッキング高気圧や寒気・暖気の停滞を生み、猛暑・豪雨・寒波を長引かせる。日本の「異常」の多くは、この大規模循環の変調として説明されます。

長期的には寒冷化する地球、「温暖化」は短期的な現象か?

本書で最も時代色の強い節です。著者は地質学的な氷期—間氷期のリズムを強調し、数十年スケールの温暖化を「短いゆらぎ」と対比して見せます。2012年前後の一般書には、太陽活動や千年スケールの寒冷化を持ち出す議論が混在していました。現在の気候科学の主流は、人為的温室効果による温暖化を長期トレンドとして認めています。ここは「当時の著者が地質時間の感覚で気候を語った」と読むべき箇所です。

地球温暖化によって台風は巨大化するのか?

海水温上昇と熱帯低気圧の強度・降雨量の関係を、当時の知見で紹介する節。進路予測は進んでも、強度の上限や「巨大化するか」は研究途上、という書き方になりやすいテーマです。防災上の含意は、高潮・洪水の想定を上げよ、です。

「エルニーニョ現象」と「ラニーニャ現象」が日本に及ぼす影響とは?

太平洋赤道域の海面水温の揺らぎが、日本の冷夏・暖冬・豪雪・少雨とどう結びつくか。毎年の「異常」を、地球温暖化だけでなく自然の振動でも見る目を求めます。

雷は家屋の内部に侵入し、電気器具を破壊する

直撃だけでなく誘導雷・側撃。家電・情報機器の被害。避雷針とブレーカー、停電時の火気。巨大災害の陰に隠れがちな「高頻度の気象災害」です。

竜巻とダウンバーストは、突然襲ってくる

2010年代前後、日本でも竜巻被害が認知され始めた時期の解説。積乱雲に伴う局所強風は予報が難しい。頑丈な建物の中へ、窓から離れる、車に残らない、といった行動指針です。

熱帯夜だけでなく「ゲリラ豪雨」を引き起こすヒートアイランド現象

都市の蓄熱が夜間気温を下げず、局地的上昇気流と短時間豪雨を助長する。内水氾濫、地下街、マンホール。首都圏の「日常的災害」として、巨大地震と同じ章立ての中に置かれます。

地球規模で環境汚染が拡大、乾燥地域から黄砂が飛来する

黄砂、越境大気汚染、健康影響。自然災害の定義を、地殻変動だけでなく大気・粉塵まで広げています。

有害な紫外線を吸収するオゾン層、貴重な生命の砦は守れるか

フロン規制後のオゾンホール問題を、地球環境の「守れた/守れない」例として置く締めです。噴火エアロゾルや温暖化と並べ、人間活動と地球システムの関係で全書を閉じます。


本書の方法と限界

方法

  • 最新論文のレビューというより、講義調の「これだけは覚えよ」。
  • 歴史アナログ(貞観—仁和、宝永地震—宝永噴火)を、未来のシナリオに直結させる。
  • 公式の発生確率を引用しつつ、著者自身は「2040年までには」「100パーセント」と時間窓を狭めて行動を促す。
  • 予知の日付指定と「潮が引く」神話は明確に否定する。

2012年時点の数字・用語(現在は更新されている)

  • 活火山「110」
  • 東南海「30年確率88パーセント以上」
  • 帰宅困難「数百万人」(後の想定では首都圏で更に大きい数字も)
  • 「西日本大震災」「三連動」は著者の呼称で、行政側は後に南海トラフ巨大地震・臨時情報体制へ再編

科学コミュニケーション上の特徴 断定が強いぶん、読者を動かしやすい反面、政府の確率評価や「次の南海トラフが必ず三連動M9になる」わけではない、という但し書きは本文では弱くなりがちです。噴火予知が地震より進んでいる点、垂直避難、職場備蓄、マップを歩く、正常性バイアス、といった実務部分は、今読んでもそのまま使えます。

井田『地震予知と噴火予知』(同2012)との対比 井田は短期予知の物理的不可能性、カオス、体制の過大宣伝を冷徹に切る。鎌田は同じ「日付は分からない」を認めつつ、来る災害のリストと自衛を前面に出す。両方読むと、2012年の地球科学者が共有していた認識(3.11は想定を超えた、東海単独予知に依存できない、噴火の開始は相対的に見える、次は南海トラフと首都圏と火山)と、伝え方の分岐(点検か、動員か)がよく分かります。

徹底的に突き合わせるなら、第1章の三連動・東南海確率、第2章の富士山100パーセントと宝永アナログ、第3章の寒冷化節を、その後の政府想定の改訂と照合するのがよい読み方です。本文の個々の図表・被害額・出典は、205頁の原書に当たる必要があります。


次に来る自然災害
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