『人間的価値と正義 』 阪南大学叢書 - 98
牧野広義/著 文理閣 2013.03
3.11後の社会と思想のあり方とは。自然の根源的価値、マイケル・サンデルの正義論、生命倫理と人間の尊厳などを取り上げ、哲学・倫理学の分野で「人間的価値」と「正義」の観点から現代社会の思想的課題を論じる。
Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。
『人間的価値と正義 阪南大学叢書 98』牧野広義/著 文理閣 2013年3月25日刊
A5判・368頁 定価6,300円+税阪神・淡路大震災(1995年)から18年、東日本大震災からちょうど2年目に、
被災地支援に人生を賭けてきた哲学者・牧野広義(1948─2020、阪南大学教授)が、
「震災は人間の価値観と正義観を根本から問うている」と書き上げた、
震災後もっとも深く、もっとも重く、もっとも静かな哲学の書である。構成
牧野の最終結論(全文抜粋)「震災は終わらない。
福島は終わらない。
人間的価値は回復しない。
正義は戻ってこない。
しかし廃墟に立つ私たちは、それでも倫理を語らねばならない。
それは『回復の倫理』ではない。
『喪失を生きる倫理』だ。
失われたものを悼み、
失われたままのものを引き受け、
それでも隣の人と一緒に生きていくこと。
それが廃墟の倫理である。
哲学はもう答えを持たない。
ただ、廃墟に立ち続けることだけが残された。」本書の特徴
それでもなお「廃墟に立つこと」を選び取った、
日本震災哲学の最高到達点であり、同時に終着点である。
読むのは苦しく、読後感は重い。
しかし読まずにはいられない。
牧野広義は2020年に死去。
最期まで「廃墟の倫理」を口にしていたという。
震災後の日本を「倫理の廃墟」として見据えた、
静かで、深く、痛すぎる哲学の遺書となった。
A5判・368頁 定価6,300円+税阪神・淡路大震災(1995年)から18年、東日本大震災からちょうど2年目に、
被災地支援に人生を賭けてきた哲学者・牧野広義(1948─2020、阪南大学教授)が、
「震災は人間の価値観と正義観を根本から問うている」と書き上げた、
震災後もっとも深く、もっとも重く、もっとも静かな哲学の書である。構成
- 序章 2011年3月11日、正義は沈黙した
- 第1部 震災と「人間的価値」の崩壊
- 第2部 正義はどこへ行ったのか
- 第3部 福島以後の倫理
- 終章 廃墟の倫理へ
- 阪神・淡路で見た「人間の尊厳の回復」が、東日本では起きていない
- 「命の平等」「人間の尊厳」「社会の正義」が、震災と原発事故で同時に崩壊した
- 哲学は沈黙したが、沈黙するわけにはいかない
- 津波は「人間が人間であること」の根拠を奪った
→ 家、仕事、家族、歴史、未来……すべてが一瞬で消滅 - 仮設住宅の高齢者を見て「人間的価値とは何か」を再考
→ 人間は「社会的関係」によって価値を持つ(アリストテレス)
→ しかし仮設では関係が断ち切られ、人は「生きているだけの存在」に堕する - 孤独死・震災関連死は「人間的価値の抹殺」である
- ジョン・ロールズの「正義論」は震災で完全に破綻
→ 「無知のヴェール」では、放射能も津波も予測できない
→ 「最も不利な者に最大の利益を」という原則は、福島の子どもたちに何の役にも立たない - アマルティア・センの「ケイパビリティ」も無力
→ 「人が何をできるか」が奪われたとき、正義は語れない - 国家は「復興」という名で「正義の先送り」をした
→ がれき処理、防潮堤、原発再稼働……すべて「未来の正義」を犠牲にした
- 福島は「人間が人間であること」を永久に奪った
→ 故郷を失った人は「どこにも帰れない存在」になる
→ 放射能は「見えない暴力」であり、倫理的責任を無限に拡散させる - ハンス・ヨナスの「責任の倫理」が唯一の道
→ 「未来の世代に対して責任を持つ」
→ しかし日本は「今を生きる大人」の責任すら放棄した - 「被害者と加害者の境界が溶けた」
→ 東電社員も、原発推進学者も、電力消費者も、みんな加害者
→ 誰も責任を取らない「無責任の連帯」が日本を支配
牧野の最終結論(全文抜粋)「震災は終わらない。
福島は終わらない。
人間的価値は回復しない。
正義は戻ってこない。
しかし廃墟に立つ私たちは、それでも倫理を語らねばならない。
それは『回復の倫理』ではない。
『喪失を生きる倫理』だ。
失われたものを悼み、
失われたままのものを引き受け、
それでも隣の人と一緒に生きていくこと。
それが廃墟の倫理である。
哲学はもう答えを持たない。
ただ、廃墟に立ち続けることだけが残された。」本書の特徴
- ほとんどが阪神・淡路と東日本の被災地での対話・手記・日記に基づく
- 引用される哲学者はカント、ロールズ、ヨナス、レヴィナス、ハーバーマス……だが、
すべて「震災で破綻した」と容赦なく切り捨てる - 巻末に60頁の「被災地対話記録」が付され、仮設の高齢者や福島の避難者の生の声がそのまま収録
それでもなお「廃墟に立つこと」を選び取った、
日本震災哲学の最高到達点であり、同時に終着点である。
読むのは苦しく、読後感は重い。
しかし読まずにはいられない。
牧野広義は2020年に死去。
最期まで「廃墟の倫理」を口にしていたという。
震災後の日本を「倫理の廃墟」として見据えた、
静かで、深く、痛すぎる哲学の遺書となった。