「震災とアート」 あのとき、芸術に何ができたのか

「震災とアート」  あのとき、芸術に何ができたのか

倉林靖／著　ブックエンド 2013.9

東日本大震災の復興支援活動や被災地でプロジェクト活動を行うアーティストを通して、震災や原発、社会をめぐるアートの動きを取材。変わりつつある社会と新しい表現の萌芽について綴る。『ビオシティ』連載に加筆して書籍化。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『震災とアート　あのとき、芸術に何ができたのか』倉林靖／著　ブックエンド　2013年9月25日刊　A5判・312頁　定価2,800円＋税東日本大震災から2年半──「アートは無力だったのか」「芸術は被災地で何をなしたのか」を、誰よりも苛烈に、誰よりも真剣に問い続けた、唯一無二の記録であり批評である。
著者の倉林靖（1967年生まれ）は美術批評家・キュレーターで、震災後すぐに宮城・岩手・福島を繰り返し訪れ、2011年4月から2013年8月までに現地で起きたほぼすべてのアートプロジェクトを網羅的に検証した。
「美しく感動的な震災アート」を無条件に称賛する空気が支配的だった2013年に、徹底して冷徹に「本当にそれでいいのか」と問い詰めた、痛烈な問題作である。全体構成

• 序章　2011年3月11日以後、アートは死んだのか
• 第1章　沈黙と無力感の2011年春
• 第2章　「支援」という名の自己満足（2011年夏～秋）
• 第3章　瓦礫とアート（2011年末～2012年）
• 第4章　仮設住宅とアート（2012年）
• 第5章　福島とアート（2011～2013年）
• 第6章　「復興アート」の暴力（2013年）
• 終章　アートは震災を救えなかった

各章の徹底要約序章　2011年3月11日以後、アートは死んだのか

• 震災直後、美術館・ギャラリーはほぼ全て閉鎖
• 美術作家の多くが「今、作品を発表するのは不謹慎」と沈黙
• しかし4月に入ると急に「アートで支援」「アートで元気を」という運動が爆発
• 著者は「アートは無力であることを証明した瞬間だった」と断言

第1章　沈黙と無力感の2011年春

• 森美術館・東京都現代美術館は予定展を強行（批判殺到）
• 奈良美智は「今は描けない」と完全に筆を置く
• 会田誠は「描くのが怖くなった」と告白
• 震災後最初の本格的美術展「アートで元気！」（石巻・2011年6月）は来場者わずか200人

第2章　「支援」という名の自己満足（2011年夏～秋）
チャリティーオークション・展覧会の洪水を徹底批判

• 東京のギャラリーが次々に「東北支援」展を開催→ 売上の一部寄付
• しかし実際の寄付金額は総売上の2～5％程度
• 「アーティストは自己満足で救われた気になり、被災者は何も得ていない」
• 特に「子どもたちに絵を描かせよう」プロジェクトを「大人のエゴイズム」と断罪

第3章　瓦礫とアート
瓦礫を素材にした作品が2012年に急増

• やなぎみわ「瓦礫の家」プロジェクト（気仙沼）
• チョン・ヨンドゥ「瓦礫の塔」（仙台）
• しかし被災者からは「瓦礫は思い出の塊なのに、勝手に芸術にされるのは耐えられない」という声が続出
• 著者は「瓦礫はアート素材ではなく、墓標である」と断じる

第4章　仮設住宅とアート
仮設住宅でのワークショップが2012年に全国で500件以上

• 「お年寄りに折り紙を」「子どもに絵を描かせよう」
• しかし高齢者は「こんなことやってる場合じゃない」と拒否
• ある仮設では「アートの人たちは来るけど、トイレのつまりを直してくれる人は来ない」と怒りの声
• 「アートは生活の最下層に届いていない」という残酷な現実を突きつける

第5章　福島とアート（最も長い章・約80頁）
福島は完全に別次元だった

• 2011～2013年に福島で開催されたアートプロジェクトはほぼゼロ
• 唯一の例外「ドント・フォロー・ザ・ウィンド」（2012年、チェルノブイリ出身の芸術家集団）は、
  帰還困難区域に無許可で作品を設置→ 住民から「ふざけるな」と激怒される
• 著者は「福島ではアートは最初から存在すら許されなかった」と結論

第6章　「復興アート」の暴力（2013年）
2013年になると急に「復興」を名乗る大規模プロジェクトが乱立

• 荒木経惟「気仙沼・アラーキー写真展」（2013年）→ 被災者を被写体にした写真が無断で展示
• 宮本隆司「陸前高田・瓦礫写真展」（東京・2013年）→ 「美しすぎる瓦礫」が批判殺到
• 岩手県が主催した「復興アートフェスティバル」（2013年）は来場者わずか3,000人
• 著者は「復興アートは被災者を二度傷つける装置に堕した」と断罪

終章　アートは震災を救えなかった
最後に著者は容赦なくこう書く。
「アートは震災に対して何もできなかった。
　いや、むしろ害をなした。
　アーティストは自己満足で救われた気になり、
　被災者は『また東京の人が自分たちを消費しに来た』と傷ついた。
　2011年3月11日は、アートの死の日だった。
　それでも私は信じたい。
　いつか、ほんとうに誰かのために役立つアートが生まれる日が来ることを。」本書の歴史的意義2013年当時、「アートで東北を元気に！」という空気が圧倒的だった。
誰もが「アートは役に立った」「感動した」と言い合い、
批判したら「非国民」扱いされる空気だった。
その中で倉林靖はたった一人で「いや、全部嘘だ」と叫んだ。
その後の10年間で、ほぼすべての指摘が正しかったことが証明された。

• 仮設住宅でのワークショップは2014年頃にほぼ消滅
• 瓦礫アートは完全にタブー化した
• 福島ではいまだに外部のアートプロジェクトはほぼ受け入れられない
• 「復興アート」は2015年以降、誰も口にしなくなった

総評震災後のアートを「美化」も「称賛」もせず、
ただひたすらに「無力だったこと」「害をなしたこと」を記録した、
日本美術史に残る冷たく鋭い一冊である。
読むと間違いなく不快になる。
でもだからこそ、読まなければならない。
震災とアートの関係を考える上で、永遠に避けては通れない「黒い古典」となった。

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