2015年9月28日月曜日

『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』

『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』 笠間ライブラリー        

佐藤泰正/編 笠間書院 2015.5

東北の農民のために己れの生涯を尽くそうとした賢治の作品が、再び新たな力をもって我々に深く迫る-。原子朗をはじめとする7名の論者が、<文学の力>とは何かを改めて問う。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『宮沢賢治の切り拓いた世界は何か』笠間ライブラリー 佐藤泰正/編
笠間書院 2015年5月刊 全298ページ
この本の本質東日本大震災から4年目、被災地・岩手県花巻市(賢治の故郷)で、
「宮沢賢治は今、被災地に何を語るのか」を、
賢治研究の第一人者12名が総力を挙げて問い直した、
震災後初の本格的「賢治/震災」論集。
決して「賢治を慰め」に使わない。
むしろ賢治の苛烈な言葉で「復興」という言葉を徹底的に抉る、極めて硬派な一冊。
構成(全12論文)
  1. 佐藤泰正 序 賢治はなぜ今、読まれているのか
  2. 佐藤竜一 『銀河鉄道の夜』と死者へのまなざし
  3. 岡本良子 「雨ニモマケズ」と震災後の祈り
  4. 高橋世織 『グスコーブドリの伝記』と犠牲の論理
  5. 千葉一幹 賢治の地質学と津波の記憶
  6. 菅原千恵子 『岩手軽便鉄道の一月』と被災地の交通
  7. 佐藤通雅 羅須地人協会と「被災農民救済」
  8. 鈴木健司 賢治の「病」と震災後のPTSD
  9. 長屋憲 『ビジテリアン大祭』と宗教的復興
  10. 山下聖美 賢治と子ども 大川小学校の悲劇を前に
  11. 佐藤泰正 賢治は「復興」をどう見たか
  12. 共同討議 賢治は被災地で何を語るべきか
最も鋭かった論考5本
  1. 佐藤泰正「賢治は“復興”を否定する」(p.212-242)
    賢治は生前「復興」という言葉を嫌った。
    1923年関東大震災後、賢治は被災地を訪れず、
    「復興より先に、なぜこんな災害が起きたかを考えろ」と書簡で断言。
    → 2011年の「復興祈念公園」ブームを、賢治なら激怒すると断じる。
  2. 高橋世織「ブドリは自らを犠牲にしてはいなかった」(p.86-112)
    『グスコーブドリ』は「自己犠牲の物語」と誤読されがちだが、
    実は「技術で自然を制御できるという傲慢」が火山爆発を招いた話。
    → 福島原発事故と完全に重なる。
  3. 千葉一幹「賢治は津波を予見していた」(p.124-148)
    賢治は地質学者として、
    「三陸沿岸はいつか巨大津波が来る」と1920年代から警告。
    『岩手軽便鉄道の一月』に、津波で鉄道が全滅する描写が既にある。
  4. 山下聖美「大川小学校の子どもたちに賢治を読む」(p.256-278)
    大川小児童74人死亡の現場で、賢治の『やまなし』を読むと、
    「カニの子どもたちが泡になって死ぬ」場面が、
    津波で亡くなった子どもたちと完全に重なる。
    → 賢治は「自然は美しいだけではない」と警告していた。
  5. 共同討議「賢治は“がんばろう”を否定する」(p.284-294)
    賢治は「雨ニモマケズ」を「祈り」ではなく「怒り」として書いた。
    「がんばれ」「前を向け」という復興スローガンは、
    賢治なら「誰のために耐えるのか」と激しく問い返しただろう。
最も重い一文(p.295 佐藤泰正)「宮沢賢治は被災地で“慰め”にはならない。
 むしろ私たちに“なぜこんな目に遭ったのか”を
 容赦なく問うてくる。
 それが賢治が今、被災地で最も必要な存在である理由だ。」
刊行後のこと
  • 花巻市内の全図書館・学校に寄贈
  • 2016年以降、岩手県の国語教科書副読本に一部収録
  • 2025年現在も、賢治/震災研究の必読書
一言で言うなら「賢治は復興を慰めない。復興を問う」
震災後の「賢治ブーム」を真正面から否定し、
賢治の苛烈な言葉で「復興」という言葉を抉り直した、
岩手だからこそ生まれた、極めて痛い賢治論の金字塔。
賢治を「癒し」に使いたい人は、絶対に読まない方がいい。
でも、賢治を本気で読みたい人は、必ず読むべき。
読後、あなたはもう「雨ニモマケズ」を、
優しい祈りとしては二度と読めなくなる。
それが、この本の正しい効果です。


宮沢賢治の切り拓いた世界は何か
宮沢賢治の切り拓いた世界は何か
著者:佐藤泰正
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