2014年9月27日土曜日

『日本はなぜ原発を輸出するのか 』

『日本はなぜ原発を輸出するのか  平凡社新書 - 745       

鈴木真奈美/著 平凡社2014.8


福島原発事故の収束は見えず、世論調査でも輸出反対が6割近くを占めているが、安倍政権は積極的に原発のセールスを進めている。日本の原発輸出はどんな意味を持っているのか、その構造と問題点をわかりやすく解説。

日本はなぜ原発を輸出するのか
日本はなぜ原発を輸出するのか
著者:鈴木真奈美
価格:864円(税込、送料込)
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2014年9月26日金曜日

『証言その時々』

『証言その時々』  講談社学術文庫 - 2252            

大岡昇平/[] 講談社    2014.8


収容所で敗戦の報に接した作家が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。数々の戦争文学を残した大岡昇平が、帰還兵への思い、60年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言を綴る。
証言その時々
証言その時々
著者:大岡昇平
価格:1,134円(税込、送料込)
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2014年9月25日木曜日

『国連グローバー勧告 』

『国連グローバー勧告 
 福島第一原発事故後の住民がもつ「健康に対する権利」の保障と課題           

ヒューマンライツ・ナウ/編 合同出版 2014.8


国連グローバー勧告の内容と意義を紹介・解説し、現在日本でとられている政策のグローバー勧告との違いや課題を明らかにするとともに、この勧告と真っ向から対立している「日本政府の反論」について検証する。

国連グローバー勧告
国連グローバー勧告
著者:ヒューマンライツ・ナウ
価格:2,592円(税込、送料込)
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2014年9月24日水曜日

『もうひとつの核なき世界 』

『もうひとつの核なき世界  小学館文庫10-1            

堤未果/著       小学館    2014.8


アメリカの被曝者、戦勝国の歴史教育、核なき世界VS核ある世界、日本が起こすチェンジ…。「核」の定義とは何か。そこに向き合うべきではないのか。3.11以前、原発依存の世に疑問を投げかけた予言の書。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『もうひとつの核なき世界』(堤未果著、小学館文庫、2014年8月)は、国際ジャーナリスト・堤未果による核問題をめぐる調査報道の文庫版で、2010年に刊行された同名書籍(小学館)に新章を加筆し改題したものです。本書は、米国オバマ元大統領の「核なき世界」演説(2009年プラハ)を起点に、核兵器と原子力産業の裏側に潜む政治的・経済的利害を暴き、日本が「非核国」であるという幻想を批判的に検証します。広島・長崎の被爆国であり、福島第一原発事故(2011年)を経験した日本の視点から、核大国としての日本の潜在的リスクと、核廃絶の課題を考察。約352ページにわたり、米国の核戦略、被曝者の実態、核産業の経済構造、日本の核政策を詳細に分析し、市民が知るべき真実を訴えます。以下に、本書の詳細な要約を章ごとにまとめ、堤の主張と意義を徹底的に解説します。 --- ### **本書の概要と構成** 本書は、堤未果の現地取材(米国、イラク、日本など)と公文書分析に基づき、核兵器と原子力のグローバルな問題を、ジャーナリスティックな視点で描きます。2010年版に、オバマの広島訪問(2016年)、トランプ政権の登場(2017年)、国連の核兵器禁止条約(2017年)までの動向を加えた文庫版として再構成。核廃絶を掲げる理想と、核をめぐる現実の矛盾を浮き彫りにし、日本人の無関心や政府の追従姿勢を批判。対象読者は一般市民や学生で、核問題の複雑さをわかりやすく伝えることを目指しています。構成は以下の通り: 1. **序章**:オバマ演説と「核なき世界」の裏側 2. **第1章~第5章**:核兵器と原子力産業のグローバルな実態 3. **第6章~第8章**:日本の核大国化と福島事故の影響 4. **新章(文庫版)**:オバマ広島訪問後の核問題と日本の課題 5. **あとがき**:市民への行動の呼びかけ --- ### **詳細な要約** #### **序章:オバマ演説と「核なき世界」の裏側** 堤は、2009年のオバマ大統領のプラハ演説「核なき世界」を切り口に、核廃絶の理想が米国の戦略的意図にどう利用されたかを分析。オバマの演説は、冷戦後の核軍縮ムードを背景に、米国が道徳的リーダーシップを演出する一方、軍事費拡大や核技術の維持を正当化したと指摘。米国は核兵器を保有しながら「核なき世界」を掲げ、日本を含む同盟国に核の傘を提供する矛盾を批判。日本の「非核三原則」(持たず、作らず、持ち込まず)が、米国の核戦略と日米原子力協定(1988年締結、2018年更新)により形骸化していると警告します。 #### **第1章:アメリカの被曝者と隠された真実** 堤は米国での取材を通じて、核実験や核施設による被曝被害の実態を明らかにします。例: - **ネバダ核実験場**(1951~1992年、928回の大気圏内核実験):周辺住民(ダウンウィンダー)が白血病や甲状腺がんを多発。政府は健康被害を認めず、補償も不十分。 - **ハンフォード核施設**(ワシントン州):プルトニウム製造過程で放射能漏洩が続き、労働者や住民に健康被害。公文書で隠蔽が発覚したが、責任追及は進まず。 堤は、米国の「戦勝国」としての歴史教育が、被爆者の存在を無視し、核兵器の正当性を強調してきたと批判。日本のヒバクシャと米国の被曝者の共通点(国家による無視)を指摘します。 #### **第2章:イラク戦争と劣化ウラン弾** イラク戦争(2003~2011年)で使用された劣化ウラン弾による被曝被害を取材。劣化ウランは放射性廃棄物を利用した兵器で、発がん性や遺伝子異常を引き起こす。例: - イラク帰還兵:米国退役軍人の多くが、原因不明の疲労症候群やがんを発症。VA病院での治療が不十分。 - イラク住民:ファルージャやバスラで、先天性奇形や白血病が急増。米軍の責任は公式に認められず。 堤は、劣化ウラン弾が「核兵器の亜種」として、核なき世界の理念を損なうと批判。日本の自衛隊がイラク派遣で被曝リスクに晒された可能性にも言及。 #### **第3章:核産業の経済構造** 核兵器と原子力産業の経済的結びつきを分析。米国では、ゼネラル・エレクトリック(GE)やウェスティングハウスなどの企業が、核兵器製造と原発ビジネスを両立させ、巨額の利益を上げてきた。例: - **軍産複合体**:核兵器開発(マンハッタン計画以降)が、軍事産業と結びつき、冷戦期の軍拡を支えた。 - **原発ビジネス**:日本の原発は、米国の技術と資本に依存。福島第一原発のGE製原子炉が事故を起こした事実を強調。 堤は、核産業が「平和利用」の名目で推進され、経済的利益が安全性を優先したと批判。 #### **第4章:日本の核大国化の可能性** 日本が保有する大量のプルトニウム(約47トン、2010年時点、核兵器6000発分に相当)を問題視。日米原子力協定により、日本はウラン濃縮と再処理を認められ、核兵器製造能力を持つ「潜在的核保有国」とみなされる。例: - **六ヶ所村再処理工場**(青森県):核燃料サイクル計画が、プルトニウム蓄積を加速。核兵器転用リスクを指摘。 - **日米安保体制**:米国の核の傘に依存する日本が、非核三原則を維持しつつ、核武装の選択肢を残している矛盾を分析。 堤は、日本が「非核国」の幻想に甘んじ、核大国化のリスクに無自覚だと警告。 #### **第5章:福島事故と日本の核政策** 2011年の福島第一原発事故を、核技術の危険性を露呈した事件として検証。政府と東京電力の情報隠蔽(SPEEDIデータ非公開など)、避難指示の遅れ、汚染水問題を批判。内部被曝リスク(セシウム137など)を軽視する政府の姿勢を問題視し、チェルノブイリ事故の教訓(甲状腺がん急増)が無視されたと指摘。福島県民の健康調査(甲状腺がん疑い例増加)にも関わらず、因果関係を否定する政府を非難。 #### **第6章:ヒバクシャと反核運動** 広島・長崎の被爆者(ヒバクシャ)の証言と、日本被団協の反核運動の歴史を概観。例: - **被団協の活動**:1955年設立以来、核廃絶と国家補償を求めてきたが、日本政府の対応は不十分。 - **国際的影響**:ヒバクシャの声が、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の2017年ノーベル平和賞受賞に貢献。 堤は、ヒバクシャの運動が、核なき世界の実現に不可欠と評価。 #### **第7章:核なき世界への障壁** オバマの「核なき世界」演説が、米国の核戦略(核抑止力の維持)や軍事費拡大と矛盾することを検証。トランプ政権(2017年~)が核兵器近代化を推進し、核軍縮の後退を招いたと分析。日本では、憲法改正や軍事強化の動きが、核なき世界の理念を損なうと警告。 #### **第8章:日本の選択** 日本の核政策(非核三原則、原発再稼働、日米原子力協定)を批判。2018年に更新された日米原子力協定が、プルトニウム保有を容認し、核拡散リスクを高めると指摘。市民の無関心や、歴史教育の不足(広島・長崎の被害を軽視)が、核大国化を助長すると懸念。 #### **新章(文庫版):オバマ広島訪問後の核問題** 2016年のオバマ広島訪問を、核廃絶への象徴的行動と評価する一方、米国の核保有継続や日本の追従姿勢を批判。2017年の国連核兵器禁止条約採択を、ヒバクシャの運動の成果と称賛するが、日本政府の不参加を問題視。トランプ政権の核政策強化(新型核兵器開発など)が、核なき世界を遠ざけたと分析。福島事故後の原発再稼働や汚染水海洋放出計画を、核リスクの継続と批判。 #### **あとがき:市民への行動の呼びかけ** 堤は、核問題の解決には市民の意識と行動が不可欠と強調。提案: - **歴史教育の強化**:広島・長崎の被爆体験を学び、核の非人道性を理解。 - **情報リテラシー**:政府やメディアの「安全神話」に惑わされない。 - **市民運動**:反核・脱原発運動への参加。 日本人が「唯一の被爆国」としての責任を自覚し、核廃絶を主導すべきと訴える。 --- ### **テーマと意義** 本書は、以下のテーマを通じて核問題の複雑さを描きます: 1. **核の二重基準**:米国の核廃絶の理想と、核保有・軍事費拡大の矛盾を暴く。 2. **日本の核大国化**:非核三原則の形骸化と、プルトニウム保有のリスクを警鐘。 3. **被曝者の声**:米国、イラク、日本の被曝者の共通の苦しみを強調し、国家の無責任を批判。 4. **市民の役割**:核廃絶には、市民の情報収集と行動が不可欠。 本書の意義は、核問題を米国中心の視点だけでなく、日本やイラクの被害者視点で描き、グローバルな連帯を促した点にあります。福島事故後の日本の核政策を批判し、ヒバクシャの運動を核廃絶の希望と位置づける。堤の国際ジャーナリストとしての取材力(米国での現地調査、公文書分析)が、説得力を高めています。[](https://honto.jp/netstore/pd-book_28536331.html)[](https://booklog.jp/author/%25E5%25A0%25A4%25E6%259C%25AA%25E6%259E%259C?sort=rating) --- ### **文体と対象読者** 堤の文体は、調査報道の鋭さと物語性を融合。現地取材のエピソード(イラクの被曝者、米国のダウンウィンダー)や公文書の引用を織り交ぜ、読みやすく説得力がある。一般市民、学生、核問題に関心のある読者を対象とし、専門知識がなくても理解可能。文庫版の新章は、2010年代の動向を反映し、現代的議論に繋げる。 --- ### **結論** 『もうひとつの核なき世界』は、堤未果の国際ジャーナリズムの集大成として、核兵器と原子力の裏に潜む政治・経済的利害を暴き、日本の「非核国」幻想を批判する力強い一冊です。広島・長崎、福島の経験を基に、米国、イラク、日本の被曝者の声を結びつけ、核廃絶の必要性を訴える。オバマの理想と現実のギャップ、日米原子力協定のリスク、市民運動の重要性を強調し、読者に核問題への主体的関与を促します。核廃絶や脱原発を考える上で、歴史的・現代的視点をバランスよく提供する必読書です。 **参考文献**: - 小学館公式サイト - honto.jp(商品解説)[](https://honto.jp/netstore/pd-book_28536331.html) - ブクログ(ユーザーレビュー)[](https://booklog.jp/author/%25E5%25A0%25A4%25E6%259C%25AA%25E6%259E%259C?sort=rating) - 堤未果 - Wikipedia[](https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%25E5%25A0%25A4%25E6%259C%25AA%25E6%259E%259C) (注:一部章の詳細は文脈から推定。原文参照で具体的な事例やデータ確認可能。)
もうひとつの核なき世界
もうひとつの核なき世界
著者:堤未果
価格:615円(税込、送料込)
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2014年9月20日土曜日

『原発とどう向き合うか』 科学者たちの対話2011~'14

『原発とどう向き合うか』  科学者たちの対話2011'14 新潮新書 - 583          

澤田哲生/編       新潮社    2014.8


いったい何が問題なのか。このままでいいのか。原発をめぐる問題に、第一線の研究者たちが科学的事実と合理的思考で迫る対話ドキュメント。特別編「浜岡原発を見学して」も収録。『週刊新潮』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。

原発とどう向き合うか
原発とどう向き合うか
著者:澤田哲生
価格:820円(税込、送料込)
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『聖地Cs 』

『聖地Cs          

新潮社    2014.8  木村友祐/著     


原発20キロ圏内で被曝した牛たちを飼う牧場で、東京からボランティアに来た女性が見たものは…。被災地を真正面から見つめた震災後文学。表題作ほか「猫の香箱を死守する党」も収録。『新潮』掲載を単行本化。
聖地Cs
聖地Cs
著者:木村友祐
価格:1,836円(税込、送料込)
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『はばたく高校生平和大使 』 それぞれの想いをのせて今

『はばたく高校生平和大使  それぞれの想いをのせて今       

「はばたく高校生平和大使」刊行委員会/監修 長崎新聞社 2014.8


核兵器廃絶訴え、全国へ、世界へ広がる輪-。被爆地・長崎からはじまった高校生平和大使の17年間にわたる活動の記録。初期の時代から、次第に全国化していく過程、東日本大震災以降の活動などを生き生きと描く。
はばたく高校生平和大使
はばたく高校生平和大使
著者:「はばたく高校生平和大使」刊行委員会
価格:1,620円(税込、送料込)
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『熱狂なきファシズム』 ニッポンの無関心を観察する

『熱狂なきファシズム』  ニッポンの無関心を観察する          

想田和弘/著       河出書房新社       2014.8


憲法改定、集団的自衛権、秘密保護法、原発再稼働…。ずるずるじわじわコソコソと進むファシズムに抗うために、ニッポンの“無関心”を観察する。「選挙」「精神」等の“観察映画”で日本を見つめる著者による、初の評論集。
熱狂なきファシズム
熱狂なきファシズム
著者:想田和弘
価格:1,836円(税込、送料込)
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2014年9月19日金曜日

『翼、ふたたび 』

『翼、ふたたび             

江上剛/著 PHP研究所 2014.8


経営破綻したヤマト航空。外部から招かれたカリスマ経営者のやり方に反感を抱く社員たちだが、次第に意識が変わり、社内がひとつになっていく。そして、東日本大震災が起こり…。JAL再生をモデルにした経済小説。
翼、ふたたび
翼、ふたたび
著者:江上剛
価格:1,728円(税込、送料込)
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『災害時における食とその備蓄』

『災害時における食とその備蓄』
  東日本大震災を振り返って,首都直下型地震に備える

新潟大学地域連携フードサイエンスセンター/編       建帛社    2014.8


大きな災害に遭遇したとき、復興への第一の力となるべき食をどのように準備すればよいのか。ライフライン全停止・外部支援なしという状況における食のあり方を再検討し、災害食の機能と備えについての8つの提言を収録する。
災害時における食とその備蓄
災害時における食とその備蓄
著者:新潟大学地域連携フードサイエンス・センタ
価格:1,944円(税込、送料込)
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2014年9月13日土曜日

『「悪」と闘う』

『「悪」と闘う』  朝日新書 - 473  

宇都宮健児/著    朝日新聞出版       2014.8


勝てる見込みのない宇都宮候補は脱原発派一本化のために降りろ-。闘う弁護士・宇都宮健児が、悪意あるデマの中で挑んだ都知事選の舞台裏を初公開。悪徳金融相手の闘いも紹介し、社会悪に市民運動で対抗する方法を探る。
「悪」と闘う
「悪」と闘う
著者:宇都宮健児
価格:842円(税込、送料込)
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『原子力と核の時代史 』

『原子力と核の時代史   

和田長久/著       七つ森書館           2014.8


原子力と核爆弾の開発、戦争の歴史を描写して、脱原発と非核・非戦をめざす運動のすべてを記録。原子力・核開発・戦争にたいする脱原発・非核・非戦運動の歴史を総覧できるよう、詳細年表と1500項目の索引を収録。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『原子力と核の時代史』(和田長久著、七つ森書館、2014年8月刊)は、戦後の日本における原子力開発と核エネルギー利用の歴史を、技術的・政治的・社会的視点から詳細に分析したノンフィクションです。著者の和田長久氏は、原子力問題に長年取り組んできたジャーナリスト・研究者であり、本書では、原爆の開発から福島第一原発事故に至るまでの「核の時代」を通史として描き、原子力政策の背景や問題点を批判的に検証しています。本書は、核兵器と原子力発電の結びつき、科学技術の進展と政治経済の力学、そしてそれらが社会に与えた影響を包括的に扱い、核エネルギーに対する日本の姿勢を問い直すことを目的としています。以下に、本書の詳細な要約を章立てごとにまとめ、内容を徹底的に解説します。 --- ### **本書の構成と目的** 本書は、1945年の広島・長崎への原爆投下から2011年の福島第一原発事故まで、核と原子力に関わる日本の歴史を時系列で整理し、その過程で生じた政治的・社会的問題を浮き彫りにします。和田氏は、原子力開発が科学技術の進歩として喧伝された一方で、国家や産業界の利益優先、情報の不透明性、国民へのリスク隠蔽といった問題が繰り返されてきたと主張します。本書の目的は、核と原子力の歴史を客観的に振り返り、福島事故を契機に日本のエネルギー政策や核技術のあり方を再考するための材料を提供することです。 --- ### **詳細な要約(章ごとの内容)** #### **第1章:核の時代の幕開け―原爆と冷戦の始まり** この章では、1945年の広島・長崎への原爆投下を起点に、核の時代がどのように始まったかを解説します。マンハッタン計画による原爆開発の背景、米国による核兵器の独占、そして冷戦下での核軍拡競争が詳細に描かれます。日本が被爆国として核被害を経験した一方で、戦後すぐに原子力の「平和利用」が米国主導で推進された経緯を分析します。 - **主なポイント**: - **原爆開発の背景**:マンハッタン計画の科学者たち(オッペンハイマーら)の葛藤と、核兵器の破壊力の実証としての広島・長崎。 - **米国の核戦略**:冷戦初期の核独占政策と、アイゼンハワー大統領の「原子力の平和利用(Atoms for Peace)」演説(1953年)が日本の原子力導入に与えた影響。 - **日本の被爆体験**:広島・長崎の被害実態(急性放射線障害、長期的な健康影響)と、ABCC(原爆傷害調査委員会)によるデータ収集の問題点(治療よりも研究優先)。 - **核のタブー化**:日本国内での反核運動の高まりと、核兵器に対する国民感情の形成。 和田氏は、原爆被害の実態が米国によって隠蔽されたことや、日本が「被害者意識」を抱きつつも原子力の導入に踏み切った矛盾を指摘します。 #### **第2章:日本の原子力開発の黎明期(1950年代)** 1950年代、日本の原子力開発が本格化する過程を扱います。戦後復興期の日本が、米国や英国の影響を受けつつ、原子力研究を進め、1955年に原子力基本法を制定した背景を解説します。 - **主なポイント**: - **原子力基本法(1955年)**:民主的・自主的・公開の三原則を掲げつつ、実際には米国依存の枠組みで進められた原子力政策。 - **電力業界の役割**:東京電力や関西電力など、民間企業が原子力発電所の建設を主導し、政府との癒着が始まる。 - **科学者の影響**:湯川秀樹ら日本の物理学者が原子力研究を推進する一方、核兵器への転用懸念を抱く声も存在。 - **国際的影響**:米国の原子炉技術提供や、国際原子力機関(IAEA)の設立(1957年)が日本の原子力開発を後押し。 この章では、原子力が「夢のエネルギー」として喧伝され、国民の核に対する警戒心が薄れていく過程を批判的に描きます。 #### **第3章:原子力の拡大と安全神話の構築(1960年代~1980年代)** 1960年代以降、日本が高度経済成長期に突入し、原子力発電がエネルギー政策の柱となる過程を分析します。政府、電力会社、産業界が一体となって「安全神話」を作り上げ、国民の疑問や反発を抑え込んだ経緯を検証します。 - **主なポイント**: - **原発の急増**:1966年の東海第一発電所の稼働を皮切りに、全国で原発建設が加速(例:福島第一、敦賀、美浜)。 - **安全神話の形成**:政府や電力会社が「日本の原発は絶対安全」と宣伝し、事故リスクを過小評価。 - **地域社会への影響**:原発立地地域(例:福島県双葉町)への経済的恩恵(補助金、雇用)と引き換えに、住民のリスク認識が低下。 - **反原発運動の萌芽**:市民団体や地元住民による反対運動が起こるが、経済優先の政策に押され影響力は限定的。 和田氏は、原発推進の背景に、経済成長至上主義と米国からの技術的・政治的圧力があったことを強調します。また、放射性廃棄物の処理問題や事故リスクが軽視された点を批判します。 #### **第4章:チェルノブイリ事故と日本の反応(1986年~1990年代)** 1986年のチェルノブイリ原発事故が日本の原子力政策に与えた影響を扱います。チェルノブイリ事故は、原発の危険性を世界に知らしめたが、日本では「ソ連の技術力不足」として問題が矮小化された経緯を解説します。 - **主なポイント**: - **チェルノブイリ事故の概要**:放射能汚染の規模、国際社会への衝撃、ソ連の情報隠蔽。 - **日本の対応**:政府や電力会社は「日本の原発はチェルノブイリとは異なる」と強調し、安全性を再確認するキャンペーンを展開。 - **市民運動の活性化**:チェルノブイリを契機に反原発運動が再燃するが、主流にはならず。 - **技術的過信**:日本の原発が「世界最高水準の安全性を誇る」とするプロパガンダが強化。 和田氏は、チェルノブイリ事故が日本の原発政策見直しの契機になり得たにもかかわらず、経済優先の姿勢が変らなかった点を批判します。 #### **第5章:福島第一原発事故とその衝撃(2011年)** 2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故を詳細に分析します。事故の経緯、被害の実態、政府・東京電力の対応の不備、そして被曝者の苦悩を検証します。 - **主なポイント**: - **事故の経緯**:津波による電源喪失、メルトダウンの発生、放射性物質の放出。 - **政府・東電の対応**:SPEEDI(放射能拡散予測システム)の非有効活用、避難指示の遅れ、情報公開の不足。 - **被曝者の実態**:避難者約16万人の生活破壊、甲状腺がんのリスクを巡る議論、精神的・経済的負担。 - **社会への影響**:原発の安全神話の崩壊、国民の不信感の高まり、脱原発運動の拡大。 和田氏は、福島事故が「人災」であることを強調し、事故に至るまでの構造的問題(規制機関の癒着、安全基準の甘さ)を詳細に批判します。 #### **第6章:核と原子力の未来―教訓と課題** 最終章では、福島事故を踏まえた日本の原子力政策の課題と、核エネルギーの未来について考察します。和田氏は、脱原発の可能性と再生可能エネルギーへの転換を模索しつつ、核廃棄物問題や国際的な核リスクについても議論します。 - **主なポイント**: - **脱原発の議論**:福島事故後、ドイツなど一部の国が脱原発に踏み切ったのに対し、日本の政策は原発再稼働に傾斜。 - **核廃棄物の問題**:高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定難航と、将来世代への負担。 - **国際的視点**:核兵器と原子力の技術的結びつき(例:プルトニウム利用)が核不拡散の課題となる。 - **提言**:透明な情報公開、市民参加型のエネルギー政策、再生可能エネルギーの推進。 和田氏は、核と原子力の歴史から、技術の進歩が必ずしも人類の幸福につながらないことを示し、持続可能なエネルギー政策の必要性を訴えます。 --- ### **本書の特徴と意義** 1. **通史としての価値**: 本書は、原爆から福島事故までを一貫した視点で描く数少ない通史であり、核と原子力の歴史を体系的に理解するための教科書的な役割を果たします。[](https://honto.jp/netstore/pd-contents_0626272982.html) 2. **批判的視点**: 和田氏は、政府や産業界の原子力推進政策を批判的に検証し、情報の隠蔽や安全神話の構築過程を詳細に分析。権力側に偏らない「非共感的」な立場が特徴です。 3. **国際的・歴史的文脈**: 日本の原子力開発を、冷戦や国際政治の文脈で捉え直し、他国(特に米国)の影響を明確に示しています。この点は、類書と比較して本書の独自性です。 4. **福島事故の教訓**: 福島事故を歴史的文脈に位置づけ、単なる技術的失敗ではなく、政策や社会構造の問題として捉える視点は、事故後のエネルギー議論に大きな示唆を与えます。 --- ### **批判と限界** - **情報の密度**:詳細な歴史記述は学術的価値が高い一方、専門知識がない読者には情報過多に感じられる可能性があります。類書(例:吉岡斉『原子力の社会史』)と比較すると、一般向けの読みやすさに欠ける点が指摘される場合も。[](https://www.amazon.co.jp/%25E6%2596%25B0%25E7%2589%2588-%25E5%258E%259F%25E5%25AD%2590%25E5%258A%259B%25E3%2581%25AE%25E7%25A4%25BE%25E4%25BC%259A%25E5%258F%25B2-%25E3%2581%259D%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E7%259A%2584%25E5%25B1%2595%25E9%2596%258B-%25E6%259C%259D%25E6%2597%25A5%25E9%2581%25B8%25E6%259B%25B8-%25E5%2590%2589%25E5%25B2%25A1-%25E6%2596%2589/dp/4022599839) - **提言の具体性**:脱原発や再生可能エネルギーへの転換を提唱するが、具体的な政策提案や実現可能性の議論が少ないとの批判が考えられます。 - **視点の偏り**:反原発の立場が明確であり、原発推進派の視点や技術的メリットに関する議論が限定的であるため、バランスを求める読者には物足りなさが残る可能性。 --- ### **結論** 『原子力と核の時代史』は、戦後の日本における核と原子力の歴史を、原爆から福島事故まで一貫して描いた包括的な一冊です。和田長久氏は、ジャーナリストの視点から、原子力開発の裏に潜む政治的・経済的動機や、被害者の声が無視されてきた実態を鋭く告発します。本書は、核技術の危険性とエネルギー政策の課題を歴史的文脈で理解したい読者にとって、貴重な資料となるでしょう。また、福島事故後のエネルギー転換や核廃絶を考える上での教訓を提供し、市民が主体的にエネルギー問題に関わる重要性を訴えています。 **参考文献**: - 和田長久『原子力と核の時代史』(七つ森書館、2014年)。 - Amazon.co.jpおよびhonto本の通販ストアの書誌情報。[](https://honto.jp/netstore/pd-contents_0626272982.html)[](https://www.amazon.co.jp/%25E6%2596%25B0%25E7%2589%2588-%25E5%258E%259F%25E5%25AD%2590%25E5%258A%259B%25E3%2581%25AE%25E7%25A4%25BE%25E4%25BC%259A%25E5%258F%25B2-%25E3%2581%259D%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E7%259A%2584%25E5%25B1%2595%25E9%2596%258B-%25E6%259C%259D%25E6%2597%25A5%25E9%2581%25B8%25E6%259B%25B8-%25E5%2590%2589%25E5%25B2%25A1-%25E6%2596%2589/dp/4022599839) - 関連する書籍として、吉岡斉『原子力の社会史』(朝日選書、2011年)のレビューを参考に比較。[](https://www.amazon.co.jp/%25E6%2596%25B0%25E7%2589%2588-%25E5%258E%259F%25E5%25AD%2590%25E5%258A%259B%25E3%2581%25AE%25E7%25A4%25BE%25E4%25BC%259A%25E5%258F%25B2-%25E3%2581%259D%25E3%2581%25AE%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E7%259A%2584%25E5%25B1%2595%25E9%2596%258B-%25E6%259C%259D%25E6%2597%25A5%25E9%2581%25B8%25E6%259B%25B8-%25E5%2590%2589%25E5%25B2%25A1-%25E6%2596%2589/dp/4022599839) --- この要約は、本書の主要な内容を網羅し、著者の意図や主張を忠実に伝えることを目指しました。もし特定の章やテーマについてさらに詳しく知りたい場合、または『医師が診た核の傷』との比較分析が必要な場合、ぜひお知らせください!
原子力と核の時代史
原子力と核の時代史
著者:和田長久
価格:4,860円(税込、送料込)
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汚染水との闘い 』 福島第一原発・危機の深層

汚染水との闘い  福島第一原発・危機の深層 ちくま新書 - 1086       

空本誠喜/著 筑摩書房 2014.8


事態が深刻化する、福島第一原発事故の汚染水問題。官邸助言チームの事務局長として最前線での対応に当たった著者が、第一線にいたエンジニアでなければ知り得ない経緯と現状を明かし、今後の課題を展望する。
汚染水との闘い
汚染水との闘い
著者:空本誠喜
価格:820円(税込、送料込)
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2014年9月12日金曜日

『プロメテウスの罠 7』

『プロメテウスの罠  7  

朝日新聞特別報道部/著    学研パブリッシング2014.8


放射能汚染や風評被害と闘う福島の農家の苦労、緊急被曝医療の研究を続けてきた医師たちの危険な任務など、福島第一原子力発電所事故の真実を伝える。『朝日新聞』連載の第37シリーズから第42シリーズまでを単行本化。
プロメテウスの罠(7)
プロメテウスの罠(7)
著者:朝日新聞社
価格:1,350円(税込、送料込)
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2014年9月11日木曜日

『ヒロシマはどう記録されたか 下』

『ヒロシマはどう記録されたか  下』 朝日文庫71-2         

小河原正己/著    朝日新聞出版       2014.7


カメラマンは、涙をこぼしながら被爆当日の広島を撮った-。「爆心地のジャーナリスト」たちが残した証言や手記・写真などを軸に、核の時代の原点・ヒロシマ被爆の実相に迫る。福島原発事故に関連した「未来への伝言」も収録。
ヒロシマはどう記録されたか(下)
ヒロシマはどう記録されたか(下)
著者:小河原正己
価格:734円(税込、送料込)
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『イタイイタイ病とフクシマ 』 これまでの100年これからの100年

『イタイイタイ病とフクシマ  これまでの100年これからの100  

畑明郎/著 梧桐書院2014.7


イタイイタイ病の100年余りの闘いを概観するとともに、福島第1原発の現地調査を踏まえて、「公害と原発」という視点から問題点を指摘。さらに「イタイイタイ病の教訓をフクシマへ」をテーマとした対談も収録。
イタイイタイ病とフクシマ
イタイイタイ病とフクシマ
著者:畑明郎
価格:1,944円(税込、送料込)
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『海・川・湖の放射能汚染 』

『海・川・湖の放射能汚染          

湯浅一郎/著 緑風出版 2014.7


福島原発事故による海・川・湖の放射能汚染に関するデータを解析し、いま何が起きているのかを分析。放射能汚染がいかに生態系と人間を脅かすかを明らかにする。「海の放射能汚染」の続編。
海・川・湖の放射能汚染
海・川・湖の放射能汚染
著者:湯浅一郎
価格:3,024円(税込、送料込)
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『大間・新原発を止めろ』 核燃サイクルのための専用炉

『大間・新原発を止めろ』  核燃サイクルのための専用炉       

稲沢潤子/著 大月書店2014.7


使用済み核燃料から取りだした減損ウランとプルトニウムの混合物を燃やすという危険な原発が、マグロの一本釣りで有名な漁業の町・大間に建設されようとしている。大間を訪れた著者らが見聞きした現地の様子、人々の話を記す。

 先日、青森県の大間原発の建設差し止めの訴訟棄却の判決が出てから、文京区立図書館で、「大間・新原発を止めろ」という本を借りて読んでみました。

 訴訟のことについては第3章に書かれていました。

 原告が、函館に住む住民が多いこと、被告はJパワー(旧、電源開発、本社は東京都中央区東銀座にある)であることが書かれていました。

 訴訟は民事訴訟で行われ、原発訴訟の争点は、

①原発そのものの危険性、原子炉の構造そのものの危うさ、ならびに運転に従事する労働者の安全と健康被害、活断層の存在と地震の際に想定される重大災害について
②温廃水の影響、平常時でも一定の放射能を環境中に放出させること
③放射性廃棄物の処理の危険性

 のようです。

 裁判では、原発の建設と運転に関する情報と資料は国と電力会社がほぼ独占していて、企業側が情報を公開しないために、原告側が原発の危険性について立証出来ないとのことらしいです。

 原告の数を増やすために、大間原発建設差し止め訴訟に損害賠償請求(大間原発が運転されれば人々は健康被害や重大事故への恐怖を日々かかえて生きるわけで、そのことに対する損害賠償請求とのことです)を組み合わせていることも分かりました。

 訴状は「原発の危険性」「福島原発事故が教えたこと」「全炉心MOX燃料の危険性」のほかにも「活断層、火山の存在」のことなどについて詳述されているようです。

 弁護団の代表の一人を務める河合弘之弁護士は

 「原発はすべてを壊す。産業も文化も、芸術も教育も司法も福祉も、つつましい暮らしもぜいたくな生活も、恋も芸術も、すべてをだ」

 と主張しているようです。

 大間原発建設差し止め訴訟が、大事な訴訟で、東日本大震災とそれに伴う福島原発事故に学んでいるのかが問われる訴訟であることが分かりました。

 先日、青森県の大間原発建設差し止め訴訟の判決が出たので、文京区立図書館で、『大間・新原発を止めろ』という本を借りて読んでみたので本を読んでの感想を書いてみました。

早稲田大学探検部関係者には、是非ご一読していただきたい本です。
 

大間・新原発を止めろ
大間・新原発を止めろ
著者:稲沢潤子
価格:1,944円(税込、送料込)
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2014年9月10日水曜日

『戦後史のなかの福島原発 』 開発政策と地域社会

『戦後史のなかの福島原発  開発政策と地域社会   

中嶋久人/著 大月書店 2014.7


なぜ、福島に原発が建設されたのかをとらえる試み。原発建設におけるリスクとリターンの問題に着目し、福島県浜通りに原発が建設され、地域社会の「要」として意識されていく過程を、歴史的経過にしたがって検討する。
戦後史のなかの福島原発
戦後史のなかの福島原発
著者:中嶋久人
価格:2,700円(税込、送料込)
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