2014年5月2日金曜日

『希望の地図 』



『希望の地図  3.11から始まる物語

重松清/著 幻冬舎 2012.3

いわき、石巻、気仙沼、南三陸、釜石、大船渡、福島、飯舘…。東日本大震災の被災地で出会った人、流した涙、そこで見つけた新たな幸福への道すじ。「震災後」の時代の始まりを描いた物語。『日刊ゲンダイ』連載を単行本化。



この本について、ブクレコという本のレビューサイトで、貴重なレビューがありました。



以下、引用です。引用先URLも載せます。


震災の被災に何が出来るか?
これは重松清の2つ目の答。

一つ目は震災から半年経った頃、
自作の短編を男子編、女子編の文庫本を
出版し、その印税を被災者に送るという行為。

もう一つがこれ。
震災から半年を経過した被災地を歩き
それを1種の小説というカタチで描いて読者に紹介している。
1種の小説と書いたが、中身はドキュメンタリー、
いわゆるノンフィクションであるが
とても上手な(こういう言い方は被災者も含めて不遜だと思うが
言葉選びができないので、許してください。)
構成で、読者の物語への参加を促している。

つまり、中学受験で失敗して、不登校になってしまっている
少年を同行させるという方法である。

これは主人公、すなわち重松がストレートに発言するところを
いったん引いて見るような視点をつくっていて
とても効果を発揮している。
被災地の一方の側からの意見であっても、このカタチなら
必ずしも一方的にならないのだ。

さらに不登校の少年という設定は
どうやったら学校に行くことができるのか?
あるいは、なぜ不登校になったのか?
それを考える中で
私たちの生活のいろんな課題を
震災、被災という経験をした人の話を聞くことで
何をしなければならないのかと自分自身に
問いかける効果を生んでいる。
同時に、被災地に対して何も出来なくても
それを思いやり、そこへ心を通じさせることで
被災を語り継ぐ、効果さえも生み出している。

具体的に、
日本には2つだけカタカナで書く街がある。
ヒロシマ、ナガサキだが、
すでにフクシマと呼ぶ人々がいる。
カタカナで書けば「国際的」という主張は判るけれど、
福島はまだ進行形の、いまも被災を受けている地域なのだ。
こんな件がある。
まさに、早く福島から手を引こう、あるいは
ワタシとは関係なくなりつつあると思うのは
間違いだよ、という警告に他ならないと思うのだが・・。
(ここは上手に語れないのが悔しい)

重松の重松らしいとらえ方の作品である。
次は何を語ってくれるのか、それも楽しみである。

最後に、この本は発売されてすぐに
一気に読んだ。
発売日は3月11日なのだが、
今日まで感想が書けなかった。
今日書いたものも奥歯にものの挟まったような
はっきりしないものになった。
もちろん、ワタシの書く能力の不足もある。
それ以上に微妙な心の揺れが今も収まらない。
(従って、後日、書き直すかもしれない)

だから、ぜひ、実際に読んでいただいて
自分なりの感想を持っていただきたい・・。

もう一つ、レビューを載せます。

以下、引用です。引用先URLも載せます。


中学受験に失敗し、学校でいじめにあい、登校拒否になった中学生。父の友人のルポライター(著者)に、震災取材への同行を勧められ同行する。絶望するしか ない状況に直面しながらも、希望について語ってくれる多くの被災者を目の当たりにし、自身の状況を些細な事と恥じ、成長していく姿を描く。
『夢』は無意識のうちに持つものだけど、『希望』は、厳しい状況の中で、苦しみながら持つもの。震災で被災された方々も、震災以外で厳しい状況で苦しむ人たちも、ともに『希望』を持って、頑張りましょう!というメッセージが伝わってきます。
父子物語の第一人者、重松清氏が描く、渾身の震災ドキュメントノベルです。

もう一つレビューがあります。
以下引用です。引用先URLも載せます。


自分にとってとても重いテーマ。押しつぶされそうになるのです。
.0という評価は、今は生々しくて、小説として評価できないけど、誰もが読むべき本じゃないかという意味ですし、帯の『ドキュメントノベル』という、そのままの表現が物語っていると思うのです。

この本は「被災地の今」という、答えの無い問いに、重松さんが挑んだ作品。
私自身は「被災地」に対して、果たしてどんな言葉が紡げるのだろう。この感想さえも嘘っぽいけど、何か形にしなくては、平静でいられないのです。被災地に 行った事も無いし、今の私には、あの震災の何かを、言葉にする事ができない。たぶんいつになっても答えはでないだろうし、そもそも答えは無い。今月末義父 がスポンサーになってくれて、家族みんなで仙台周辺の旅行にいく予定です。被災地にもいってみて、テレビからは伝わって来ない「被災地」を感じてくる予定 です。それがいいのかも、何を観るのか、観てはいけないのか、「分からない事だらけ」です。でも、そこへ行かなければいけないような気がしている。それだ けです。
子供はその風景になにを感じるのでしょうか。
希望の地図
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