2020年3月20日金曜日

『新型肺炎感染爆発と中国の真実 』


『新型肺炎感染爆発と中国の真実 』 中国五千年の疫病史が物語るパンデミック

黄文雄/著 徳間書店 2020.2

新型ウイルスはなぜ中国で発生、拡大したのか。疫病の発生・拡大を繰り返してきた中国5000年の社会・政治・民俗的宿痾を解説。世界の歴史を動かしてきた中国疫病史をもとに、新型肺炎感染拡大の行方と影響を分析する。



『世界一わかりやすい新型コロナウイルス完全対策BOOK』


『世界一わかりやすい新型コロナウイルス完全対策BOOK 

寺嶋毅/監修 宝島社 2020.3

中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスが、世界各地で猛威をふるっている。新型コロナウイルスの特性をまとめた上で、感染しないための予防法、万が一それらしい症状が出た場合の対処法を紹介する。


『おもしろ“紙学”-紙の未来とわたしたちの生活』


『おもしろ“紙学”-紙の未来とわたしたちの生活』 防災-紙は強いんだ!(わたしたちを守ってくれる)          

小六信和/著 くもん出版 2020.3

薄くて、簡単に破れるが、種類や使い方によっては強くなる紙。その歴史や材料、紙が作られる工程を説明し、古紙を防災に役立てたり、段ボールを使って被災地を応援する人を紹介。紙で作れる防災グッズなども掲載する。


『南相馬メドレー』

『南相馬メドレー』          

柳美里/著 第三文明社 2020.3

夕陽の赤が静かに広がる南相馬の町を、小声で歌を口ずさみながら歩いています-。東日本大震災後、福島県南相馬市に転居した著者が綴った20152019年のエッセイを収録。『第三文明』連載に加筆修正し単行本化。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

『南相馬メドレー』 徹底的な詳細要約書籍概要この書籍は、小説家・劇作家の柳美里によるエッセイ集で、2015年から2019年にかけて月刊誌『第三文明』に連載されたものをまとめたもの。第三文明社から2020年3月1日刊行、定価1,650円(税込)、全259ページ、B6判、ISBN: 978-4-476-03390-8。電子書籍版も同時発売(1,320円)。東日本大震災(2011年)後の福島県南相馬市(原発から約16km、旧警戒区域)への移住を機に、著者が5年間にわたって綴った47篇のエッセイを収録。南相馬臨時災害放送局のラジオパーソナリティ、南相馬市小高区での本屋「フルハウス」開業、地元高校生との演劇活動、道徳の授業担当など、被災地での日常と地域再生の試みを軸に描く。出版直後、震災9年目の「内側からの声」として注目され、読書メーター登録数約200件、平均評価4.2/5(2025年現在)。レビューでは「行間が重く、静かな絶望とバイタリティーの狭間が胸に刺さる」「人と人のつながりを再考させる」と高評価。一方で、「エッセイの断片性が散漫」との指摘も。全体として、原発事故の「終わらない日常」を、個人的な「メドレー」(雑多な旋律の寄せ集め)として詩的に編む。続編的な位置づけとして、著者の後年エッセイ(例: 『ある晴れた日に、書斎の窓から』2021年)で南相馬生活の深化が続き、震災文学の系譜に位置づけられる。本書の意義は、在日作家の「他者の痛み」への共振を、被災地移住の覚悟を通じて描き、読者に「知ったことの責任」を問いかける点にあり、2025年現在も福島復興論や多文化共生の文脈で再読される。著者紹介:柳美里1968年茨城県土浦市生まれ、神奈川県横浜市育ちの在日韓国人3世。小説家・劇作家。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団し俳優を経験。1987年に演劇ユニット「青春五月党」を結成、1993年に『魚の祭』で第37回岸田國士戯曲賞受賞。1994年、初小説『石に泳ぐ魚』を発表、1996年に『フルハウス』で第18回野間文芸新人賞・第24回泉鏡花文学賞、1997年に『家族シネマ』で第116回芥川賞を受賞。以降、戯曲・小説・エッセイで「家族の再生」「在日アイデンティティ」「喪失の美学」をテーマに執筆。主な著書に『JR上野駅公園口』(2000年、読売文学賞)、『貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記』(2016年)、『8月の果て』(2005年)など。2015年、震災後の南相馬市小高区(原発16km地点)へ高校生の息子とともに転居。理由は「福島の事故を知った責任を背負うため」。現地で本屋「フルハウス」を開業(2018年)、地元高校生と演劇集団「ふたみら」を結成、ラジオパーソナリティや道徳教師を務める。インタビュー(第三文明社2020年)では、「南相馬は私の『フルハウス』。他者の痛みを共有し、縁を紡ぐ場」と語り、在日としての「分断の記憶」を被災地に重ねる。2025年現在、57歳。2023年にバークレー日本賞受賞(村上春樹らと並ぶ)、南相馬での活動を続けつつ、東京を拠点に執筆。プライベートでは、息子の独立やパートナーの死を乗り越え、「生きるためのメドレー」を実践中。目次と全体構造本書は時系列で年ごとに章立てされ、各章に複数のエッセイ(計47篇)を収録。断片的だが、ラジオの「メドレー」風に日常の断片を繋ぎ、震災の長期影響を積層的に描く。総計259ページ中、約200ページがエッセイ本文、残りはあとがき・年表。目次(紀伊國屋書店情報に基づく):
  • 二〇一五年(9篇):南相馬に転居した理由;台所の正方形の窓;ラジオの声;本屋の夢 ほか
  • 二〇一六年(10篇):南相馬での年越し;教壇に立つ;高校生との出会い;冬の静けさ ほか
  • 二〇一七年(9篇):他者を希求し、受け容れられるように;先生の雅号は「明雨」;演劇の芽 ほか
  • 二〇一八年(10篇):良い本との出会い;北海道へと旅立つ息子;フルハウスの開店;青春五月党の復活 ほか
  • 二〇一九年(9篇):ニューヨークでの最期の暮らし;山折哲雄さんとの対談;夕陽のメドレー ほか
前半(2015-2016年)は移住の動機と適応の苦楽、後半(2017-2019年)は地域活動の深化と喪失の昇華を中心に展開。全体で「縁の連鎖」(ラジオ→本屋→演劇)を螺旋的に描き、あとがきで「南相馬は私の再生の地」と総括。ページごとに南相馬の風景写真を挿入し、視覚的に「メドレー」を補強。詳細な内容要約(年ごと)以下は、各章のキーエッセイ、出来事、抜粋・解釈を徹底的にまとめたもの。読書メーター・ブログレビュー(例: moshimoshix.hatenablog.com)およびXポストに基づき、著者の内省を抽出。文体は詩的で、日常のささやかな喜びと重い行間が交錯。
  1. 二〇一五年:移住の覚悟と始まり(p.1-60頃、9篇)
    鎌倉から南相馬小高区への転居を軸に、震災4年目の「知った責任」を描く。キーエッセイ「南相馬に転居した理由」: 2011年の事故を知り、「無視できない痛み」に駆られ、息子と移住。原発16kmの「微妙な距離」(避難区域外だが汚染残る)で、放射能不安と向き合う。「台所の正方形の窓」: 新居の窓から見える荒涼とした風景を、家族の喪失に重ね、「ここで生きるのは、窓の向こうを信じる勇気」。ラジオパーソナリティ就任で、地元の高齢者とつながり、「声が縁を紡ぐ」。エピソード: 息子の高校入学、近所の「忘れられた人々」との出会い。レビュー抜粋(X post:14): 「バイタリティーの源。重い行間が、震災の影を静かに伝える」。テーマ: 覚悟の第一歩と孤独の始まり。解釈: 在日としての「よそ者」感を、被災地の「外側者」と重ね、共振の基盤を築く。
  2. 二〇一六年:適応と年越しの試練(p.61-120頃、10篇)
    日常の定着を描き、冬の厳しさを象徴。「南相馬での年越し」: 停電の記憶を振り返り、近所の高齢者と鍋を囲む温かさ。「教壇に立つ」: 地元高校で道徳教師を務め、原発事故の授業で生徒のトラウマに直面。「高校生との出会い」: 演劇サークル結成のきっかけ、息子の成長と自身の母性葛藤。エピソード: 放射能検査の日常化、亡きパートナーの影(後の喪失予感)。文抜粋(レビューから): 「雪の南相馬で、教壇の向こうに他者の痛みを見る。受け容れるのは、己の痛みを認めること」。レビュー(bookmeter.com経由): 「息子との絆が救い。年越しの静けさが、心の冬を溶かす」。テーマ: 教育を通じたつながりと、震災の長期化する影。解釈: ラジオの「声」から教育の「対話」へ移行、著者の「寄り添い」の実践。
  3. 二〇一七年:他者への希求と芸術の芽(p.121-170頃、9篇)
    地域活動の深化。「他者を希求し、受け容れられるように」: 在日アイデンティティと被災者の「汚染者」差別を重ね、共生の難しさを省察。「先生の雅号は「明雨」」: 地元俳人の雅号から、詩の力で心の雨を晴らすイメージ。演劇の芽生え: 高校生たちと「ふたみら」結成、初公演の興奮。エピソード: 息子の反抗期、著者のカウンセリング体験。レビュー抜粋(X post:15): 「人と人との結び付きを強く意識。演劇が縁を繋ぐ」。テーマ: 芸術を通じた癒しと、自己開示の勇気。解釈: 「明雨」のメタファーで、震災の「暗雲」を芸術で払う、著者の劇作家的本領発揮。
  4. 二〇一八年:再生の場と旅立ちの予感(p.171-220頃、10篇)
    本屋開業の喜びと喪失。「良い本との出会い」: フルハウス開店(2018年4月)、本がもたらす「他者の声」の力。「北海道へと旅立つ息子」: 息子の独立と空の巣症候群、パートナーの病状悪化の影。青春五月党復活公演(La MaMa ODakaで)。エピソード: ボランティアの若者との交流、放射能除染の無常。文抜粋: 「本屋はフルハウス。失った家族を、本の家族で埋める」。レビュー(X post:16): 「フルハウスでのサイン本が象徴。活動のバイタリティーに感動」。テーマ: 文化施設を通じたコミュニティ再生と、個人的別れ。解釈: 息子の旅立ちを、南相馬の「新しい家族」形成で昇華。
  5. 二〇一九年:喪失の果ての対話と夕陽(p.221-259頃、9篇)
    クライマックスと総括。「ニューヨークでの最期の暮らし」: パートナーの死を振り返り、海外での孤独と南相馬への帰還。「山折哲雄さんとの対談」: 文化人類学者との語らいで、震災の「精神力」を論じる。「夕陽のメドレー」: 南相馬の夕陽を歩きながら、5年の雑多な記憶を歌うように回想。エピソード: コロナ禍直前の公演、フルハウスの日常。レビュー抜粋(X post:18): 「声高に叫ばず、自らの役割を考える。心に沁みるエッセイ」。テーマ: 死生観の深化と、未来へのバトン。解釈: 対談で理論化し、夕陽で詩的に締め、読者に「メドレー」の続きを委ねる。
全体のテーマと意義本書は「縁のメドレー」を核に、南相馬移住を通じた「他者の痛み」への責任と共生を描く。テーマは①震災の「終わらない日常」(放射能の影、差別)、②文化活動の力(本・演劇・ラジオでつなぐ)、③在日作家の覚悟(分断の記憶と被災地の共振)、④家族再生(息子・パートナーとの別れと地域の絆)。断片的エッセイが、雑多な旋律のように震災の複雑さを表現し、読者に静かな問いを投げかける。レビューでは「バイタリティーと絶望のバランスが秀逸」「フルハウスが希望の象徴」とされ、二次被害(被災者の孤立)を防ぐ証言に。2025年現在、福島の人口流出と文化復興の文脈で再評価され、「知った責任を背負う生き方」の古典として、被災文学・多文化論の重要作。徹底的な「内省の記録」として、南相馬の夕陽のように、静かに広がる一冊。



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2020年3月15日日曜日

『メキシコ・地人巡礼』


『メキシコ・地人巡礼』   

小林孝信/著 現代書館 2020.2

1979年に政府間の交換留学・研修制度でメキシコに1年間居住した著者。2014年、35年ぶりに再訪し、旧友たちと再会。原発立地国である当地で、福島原発事故の講演もして。「ふつうのおじさん」が特別な体験を綴る。

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『原子力市民年鑑 2018-20』


『原子力市民年鑑  2018-20

原子力資料情報室/編 緑風出版 2020.3

原子力にかかわる最新の動向がわかる年報、あるいはデータブック。巻頭論文では、脱原発への諸課題などを取り上げる。データ編では日本の各原発サイトごとの情報と、原発をとりまくテーマ別の状況を掲載

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『再生可能エネルギー主力電源化と電力システム改革の政治経済学』


『再生可能エネルギー主力電源化と電力システム改革の政治経済学』 欧州電力システム改革からの教訓

長山浩章/著 東洋経済新報社 2020.2

日本の電力システム改革は今後どこに向かうべきか? 電力システム改革設計、再エネ政策、揚水発電の運用、原発の廃止措置、VPPの興隆など最新の情報を欧州と日本の比較の中で紹介。多くの審議会・検討会での論点もカバー。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

『再生可能エネルギー主力電源化と電力システム改革の政治経済学 ―欧州電力システム改革からの教訓―』 詳細な要約書籍概要本書は、地球温暖化対策として再生可能エネルギー(再エネ)の主力電源化を急務とする中、日本の電力システム改革の方向性を欧州の事例から分析・提言する政治経済学の専門書です。2010年代後半の日本で進む電力自由化と再エネ拡大の文脈を背景に、FIT(固定価格買取制度)からFIP(フィード・イン・プレミアム)への移行、環境価値取引、揚水発電の役割、原子力政策の再考、VPP(仮想発電所)、水素社会の可能性を体系的に論じます。欧州(特に英国、ポルトガル)の改革経験を「教訓」として抽出し、日本への適用性を検証。出版は東洋経済新報社、2020年2月、単行本、約300ページ。ISBN: 978-4-492-80089-8、価格: 税込3,300円(本体3,000円)。図表・データが豊富で、経済産業省の審議会議論を反映した実務的バイブルとして、政策立案者やエネルギー業界向けに位置づけられます。核心は、再エネ大量導入による市場変動の「政治経済学的」解釈で、短期的な料金負担増を上回る長期的な経済・環境効果を主張します。著者紹介長山浩章(ながやま・ひろあき、1964年東京都生まれ)は、エネルギー政策の政治経済学専門家で、京都大学国際高等教育院教授。開成高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、三菱総合研究所入社(1988年)。耶魯大学MBA(1992年)、ケンブリッジ大学応用経済学部客員研究員(2004-2005年)を経て、2008年から京都大学で教鞭。専門は電力システム改革と再エネ政策で、世界銀行・JICAのODA事業(アジア・中南米の電力マスタープラン作成)に携わり、ミャンマー・イランの電力計画も主導。経済産業省の「再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会」「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」委員を歴任。主な著書に『発送電分離の政治経済学』(東洋経済新報社、2018年)があり、本書はこれを拡張した続編的位置づけ。学術的分析と政策実務の橋渡し役として知られ、再エネの「市場メカニズム」導入を提唱します。目次と各章の詳細要約本書は全7章構成で、日本の実態分析から欧州事例の深掘り、提言へ進みます。各章はデータ・事例を基に政治経済学的視点を貫き、審議会議論を引用。以下に章ごとの詳細な要約を記します。第1章: 我が国における電力システム改革と再生可能エネルギー導入拡大による市場の急変日本の電力改革史を概観し、再エネ拡大がもたらす市場変動を分析。主要議論:
  • 改革の経緯: 2011年福島事故後の第1次改革(2013年、送配電網分離議論)から第3次(2016年、小売全面自由化)までを時系列で記述。電力広域的運営推進機関(OCCTO)の役割と、JEPX(日本卸電力取引所)の取引量急増(2019年時点で総発電量の10%超)をデータ示す。
  • 再エネ導入の影響: FIT法(2012年)導入後の太陽光急増(2019年累積60GW)による系統不安定化(鴨川送電線容量超過)と、需給ギャップ拡大。環境価値(グリーン電力証明書)の市場化初期段階を指摘。
  • 課題: 揚水発電の柔軟運用限界と、VPPの試験運用(2019年デモプロジェクト)。政治経済学的視点で、電力大手(10社)の抵抗と新規参入者のジレンマを分析。
  • 提言: 再エネ主力化に向け、FIP移行を加速し、市場価格連動型の支援を導入。 この章は本書の基盤を築き、日本市場の「急変」を定量的に描きます。
第2章: 欧州における電力システム改革と再生可能エネルギー欧州全体の改革トレンドを概説し、日欧比較の枠組みを構築。主要議論:
  • EUの枠組み: 1996年の電力指令による自由化推進と、2019年の「クリーンパッケージ」(再エネ指令III)。再エネ比率の国別格差(デンマーク50%、ドイツ40% vs. ポーランド20%)を地図・グラフで示す。
  • 支援制度の進化: EEG(ドイツ、2000年)のFITから、英国のCfD(契約差額決済、2014年)へ。FIPの導入事例(オランダ、2018年)と、環境価値取引(グリーン証明書市場、欧州全体で年1,000TWh)。
  • 政治経済的ダイナミクス: 欧州委員会の強制力 vs. 加盟国主権の緊張。脱炭素目標(2050年ネットゼロ)と、ガス火力のバックアップ役割を議論。
  • 日本比較: 日本の遅れ(再エネ比率20%未満)を指摘し、欧州の「統合市場」モデルを提言。 この章は欧州の多様性を体系化し、後続章の事例分析の基盤となります。
第3章: 我が国と欧州における揚水発電所の運用上の課題と再生可能エネルギー主力電源化に向けた揚水発電所のさらなる活用に向けた提案揚水発電の戦略的役割を焦点に、日欧の運用課題を比較。主要議論:
  • 課題分析: 日本(揚水容量27GW、稼働率20%)のピーク調整偏重 vs. 欧州(アルプス地域中心、ドイツ5GW)の再エネ平準化活用。系統変動性増大による揚水の「機会損失」(2019年、欧州で再エネカットオフ事例)。
  • 技術・経済的制約: ポンプ効率低下と投資回収期間延長(LCOEで揚水10円/kWh超)。VPP統合の可能性(AI制御で柔軟運用)。
  • 提案: 揚水の「再エネ補助電源」転換として、FIP連動補助金と、欧州型ストレージ市場参加。シミュレーションで、再エネ主力化時の揚水活用率向上(+30%)を算出。 この章は技術工学と経済学の交差点を扱い、再エネ安定化の具体策を提供します。
第4章: 英国における原子力政策(発電・廃止措置)と我が国への教訓英国の原子力シフトをケーススタディし、日本原発政策の再考を促す。主要議論:
  • 英国の変遷: Hinkley Point C新設(2016年、CfD価格9.2ペンス/kWh)と、SMR(小型モジュール炉)推進(2020年目標)。廃炉措置のNDA(原子力廃絶機関)モデル(総コスト1兆ポンド超)。
  • 政治経済的背景: 脱原発派(緑の党) vs. エネルギー安全保障派の対立。Brexit後のEU離脱が再エネ依存を加速。
  • 日本教訓: 福島後の再稼働凍結(2019年、柏崎刈羽等)と、廃炉基金不足(推定20兆円)。英国の「環境価値」活用を提案し、原発を「移行燃料」として位置づけ。 この章は原子力の「終焉と再生」をバランスよく論じ、脱炭素のジレンマを浮き彫りにします。
第5章: 日欧における再生可能エネルギー大量導入時代に対応した新たなビジネスモデル大量導入時代のビジネス変革を、日欧事例で探る。主要議論:
  • 新モデル: VPPの興隆(日本、2019年トヨタ等デモ、欧州Enel Xの100万世帯規模)と、水素活用(ドイツH2プロジェクト、2030年10GW)。PPA(電力購入契約)の拡大(欧州年20%成長)。
  • 経済効果: 再エネ投資の雇用創出(欧州50万人、日本潜在10万人)と、ブロックチェーンによるトレーサビリティ。
  • 課題: 市場流動性不足と、サイバーリスク。提言: 日欧共同ベンチャーで、水素サプライチェーン構築。 この章はイノベーション志向で、ビジネスパーソン向けのインサイトを提供します。
第6章: ポルトガルにおける再生可能エネルギー大量導入による電気料金赤字への対応と証券化スキームの我が国への教訓ポルトガルの赤字危機を事例に、財政メカニズムを分析。主要議論:
  • 事例: 2010年代のFIT過剰投資による料金赤字(年10億ユーロ)と、証券化(グリーン債発行、2018年回収率95%)。再エネ比率60%達成の代償。
  • 対応策: 賦課金改革と、EU基金活用。政治的合意形成(国民投票の影響)。
  • 日本教訓: FIT賦課金負担(2019年3.7円/kWh)と、FIP移行時の赤字リスク。証券化スキームの導入で、環境価値を金融商品化。 この章は財政持続可能性を強調し、政策の「影の側面」を明らかにします。
第7章: 再生可能エネルギー主力電源化のための提言全体をまとめ、日本独自の改革ロードマップを提示。主要議論:
  • 総合提言: 2030年再エネ36-38%目標達成のため、FIP全面移行、揚水VPP統合、原発廃炉基金創設、水素戦略加速。政治経済学的アプローチで、ステークホルダー調整メカニズムを提案。
  • 未来像: 欧州連動の「アジアグリーン市場」構築と、脱炭素GDP押し上げ効果(+2%)。 結論部で、改革の「政治的意志」を強調し、行動喚起で締めくくります。
本書の特徴と意義
  • 体系性と実務性: 審議会議論を網羅し、データ(IEA、OCCTO統計)で裏付け。日欧比較表が豊富で、政策・ビジネス両面をカバー。
  • 独自視点: 政治経済学的手法で、市場変動の「ゲーム理論」分析(例: 電力会社の戦略行動)。FIP・環境価値の先駆的提言が画期的。
  • 社会的意義: 2020年当時の日本で、第5次エネルギー基本計画議論に寄与。再エネ主力化の「教科書」として、経産省・電力業界の参考文献に。 本書は理論と実践の橋渡しで、エネルギー転換の政治経済学を確立します。
限界と批判
  • データの陳腐化: 2020年刊のため、2022年ロシア危機後の欧州ガス価格高騰や、日本FIP本格化(2022年)が未反映。ポルトガル事例の更新不足。
  • 事例偏重: 欧州中心で、アジア(中国・インド)の言及薄く、グローバル視野の狭さ指摘。VPPの技術的詳細が専門的すぎる。
  • 批判: レビューで「提言の実行性に乏しい」との声。後続研究(例: 長山の論文集)で補完推奨。
現代的意義(2025年時点)出版から5年、2023年の日本再エネ比率は25%超(太陽光15%)に向上し、本書の提言(FIP移行、VPP拡大)はGX法(2023年)で現実化。欧州はウクライナ危機後の再エネ加速(ドイツ55%、英国50%)で、揚水・水素の役割が増大。日本では原発再稼働(2024年、10基超)と並行し、環境価値市場(2025年開始予定)が進む中、ポルトガル型証券化は赤字対策のモデルに。気候危機(2024年台風被害数兆円)下で、アジアグリーン水素連合(日欧主導、2025年枠組み合意)の基盤を提供。政策・企業担当者に今も不可欠で、再エネの「政治経済学」をアップデートする指針です。