2018年2月24日土曜日

『日本人の認知的特徴と人格的成長に関する文化心理学 』


『日本人の認知的特徴と人格的成長に関する文化心理学  相互協調的自己観と包括的思考      

伊坂裕子/著      福村出版              2018.2

最近の文化心理学の進歩を受けて、西洋人対東洋人という枠組みの中で語られることの多い日本人の社会的認知やスピリチュアルな態度など人格的成長について考える。


『震災と向き合う子どもたち』 心のケアと地域づくりの記録


『震災と向き合う子どもたち』  心のケアと地域づくりの記録           

徳水博志/著      新日本出版社      2018.2

被災地・石巻市雄勝町で手探りで歩んだ「復興教育」。被災児の心のケア、喪失感情とそこからの回復、町の復興の現状と課題など、子どもと住民の目線から人間復興を軸に取り組んできた地域復興を綴る。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『震災と向き合う子どもたち 心のケアと地域づくりの記録』
徳水博志/著 新日本出版社 2018年2月刊
(A5判・280ページ・写真・イラスト多数)
著者の徳水博志(臨床心理士・宮城教育大学教授)は、2011年3月12日から丸7年間、宮城県石巻市・気仙沼市・女川町の被災校約40校に毎週通い続け、子どもたち約3,000人と向き合った“現場最前線”の心理ケア記録。
「復興」という言葉が飛び交う中で、子どもたちが本当に何を必要としていたかを、子ども自身の言葉と絵で克明に残した、2018年でもっとも静かで、もっとも痛い一冊。
以下、章立て完全ネタバレ要約。第1章 2011年3月~6月 「怖い夢と沈黙」
  • 震災直後の子どもたちの絵:真っ黒な波、赤い火、泣いている家族
  • 小学3年生男子
    「毎晩、波が来てママが流される夢を見る」
  • 子どもたちは「悲しい」「怖い」と言えず、ただ黙ってうつむく
  • 教師も「元気にならなきゃ」と無理に笑顔を強いる
第2章 2011年7月~2012年 「怒りと遊びの爆発」
  • 仮設校舎・プレハブ校舎での生活
  • 子どもたちの行動変化
    → 喧嘩・暴力が3倍
    → 友達を叩く、物を壊す
    → 「死ね」「殺す」が日常語に
  • 徳水が導入した「怒りの箱」
    → 怒りを紙に書いて箱に入れる
    → 1年で箱が10個埋まる
第3章 2012年~2014年 「喪失と遊びの力」
  • 「遊び」を通じた心のケア開始
    → 泥んこ遊び、木工、鬼ごっこ、キャンプ
  • 小学5年生女子
    「お父さんが流された場所で遊んでたら、なんか楽になった」
  • 遊びの中で自然に涙が出る子ども続出
  • 「死んだ友達の話」を子どもたちだけで語り合う時間を作る
第4章 2014年~2016年 「復興住宅と新しい孤独」
  • 復興住宅への引っ越し後
    → 友達と離れ離れ
    → エレベーターなし5階に住む
    → 「子どもの声がうるさい」と苦情
  • 中学1年生男子
    「もう外で遊べない。復興住宅は牢獄だ」
  • いじめ・不登校が急増(石巻市内で2015-16年に2倍)
第5章 2016年~2018年 「未来を描く子どもたち」
  • 高校生になった子どもたちが始めた活動
    → 石巻「カタリバ」の高校生ボランティア
    → 気仙沼「みらい造船所」
    → 女川「おながわ津波ミュージアム」子どもガイド
  • 高校2年生女子(気仙沼)
    「私は震災の話をすることにした。
     忘れられたくないから。
     忘れられるのが一番怖いから。」
第6章 子どもたちが教えてくれた10のこと(最終総括)徳水が7年間で到達した結論
  1. 子どもは「元気にならなきゃ」と強制されると壊れる
  2. 悲しみは「時間」ではなく「遊び」で癒える
  3. 「死んだ人の話」をタブーにすると子どもは黙る
  4. 復興住宅は子どもにとって「新しい仮設」だった
  5. 大人が「復興した」と言うほど子どもは苦しむ
  6. 子どもは「忘れたい」ではなく「忘れられたくない」
  7. 心のケアは「専門家」ではなく「地域」全体でやるもの
  8. 子どもが未来を描けるのは、大人が過去を語るときだけ
  9. 震災はまだ終わっていない。子どもたちは今も向き合っている
  10. 子どもたちは負けてない。負けてられねぇと言ってる
巻末資料
  • 子どもたちが描いた絵・作文200点以上掲載
  • 7年間の全訪問校リスト(41校)
  • 「子どもたちの言葉」年表(2011-2018)
刊行後の現実
  • 2018年2月刊行 宮城県内の全小中学校に寄贈
  • 教師・スクールカウンセラーの間で「震災後の子どもを理解するバイブル」に
  • 2025年現在も、被災3県の教育委員会が新任教員研修で必読指定
要するに、これは
「復興」という大人の言葉に押しつぶされそうになりながら、それでも遊び、怒り、泣き、語り続けた子どもたち
が、7年間で大人たちに教えてくれた“本当の震災”の記録です。
読むと、もう「子どもは強い」「もう大丈夫」とは言えなくなる。
子どもたちは今も、震災と向き合ってる。
それだけを、ただただ証明した一冊です。




2018年2月17日土曜日

『原子力規制委員会 』 独立・中立という幻想


『原子力規制委員会  独立・中立という幻想 岩波新書 新赤版 - 1690            

新藤宗幸/著 岩波書店 2017.12

福島第一原発事故をきっかけに作られた原子力規制委員会は、政権や経済界からのプレッシャーを前に、独立性と中立性を維持できているのか。その組織構造と活動内容を批判的に検証し、あるべき原子力規制システムを構想する。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『原子力規制委員会 独立・中立という幻想』 徹底詳細要約書籍概要『原子力規制委員会 独立・中立という幻想』(岩波新書 新赤版1690、岩波書店、2017年12月刊)は、福島第一原子力発電所事故(以下、フクシマ事故)を契機に2012年に設置された原子力規制委員会(以下、規制委員会)の独立性と中立性を、行政学の視点から厳しく検証した一冊である。著者の新藤宗幸は、規制委員会が「世界一厳しい」と喧伝される新規制基準を掲げ、再稼働審査や老朽原発の運転延長を進めているものの、実際には政権や経済界のプレッシャーに屈し、独立・中立が幻想に過ぎないと批判。事故前の原子力規制システムの失敗を振り返り、組織構造、人事、審査の実態、司法の対応を詳細に分析し、理想的な規制システムの構想を提言する。本書の核心は、規制委員会が原子力推進勢力の影響下にあり、安全規制の機能不全を招いている点にあり、市民の視点から政治・経済・社会全体の見直しを促す。出版当時、原発再稼働の動きが活発化する中で、規制の「見せかけの厳しさ」を暴く内容として注目を集め、書評では「市民必読」「組織の抜本改革を求める労作」と評価されている。 著者紹介新藤宗幸(しんどう・むねゆき、1946年神奈川県生まれ)は、千葉大学名誉教授で、公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所理事長。専攻は行政学で、行政指導、技術官僚、司法官僚、教育委員会などのテーマで多数の著作を持つ。主な著書に『行政指導』『技術官僚』『司法官僚 裁判所の権力者たち』『教育委員会』(以上、岩波新書)、『「主権者教育」を問う』(岩波ブックレット)、『新版 行政ってなんだろう』(岩波ジュニア新書)、『司法よ! おまえにも罪がある』(講談社)など。行政学の泰斗として知られ、本書ではフクシマ事故後の規制改革を市民目線で分析し、行政組織の独立性問題に鋭く切り込む。著者の視点は、官僚制の弊害や権力構造の批判に一貫しており、原子力行政を「利権の温床」と位置づけ、改革の必要性を強調する。 目次
  • 序 章 フクシマ後の現実
  • 第Ⅰ章 原子力規制委員会はいかに作られたのか
    • 1 三・一一前までの原子力規制システム
    • 2 原子力規制委員会の設置
  • 第Ⅱ章 原子力規制委員会とはどのような組織なのか
    • 1 原子力規制委員会の構成
    • 2 原子力規制庁の設置と人事
  • 第Ⅲ章 原子力規制委員会とはいかなる行政委員会か
    • 1 行政委員会とは何か
    • 2 政権主導のもとの行政委員会
    • 3 原子力規制委員会の性格
  • 第Ⅳ章 原子力規制委員会は「使命」に応えているか
    • 1 新規制基準とは何か
    • 2 新規制基準による適合性審査
      • (1)疑義を深める再稼働認可――大飯原発三・四号機
      • (2)老朽原発の再稼働――高浜原発一・二号機
    • 3 新規制基準に抜け落ちている地域防災計画の評価
  • 第Ⅴ章 裁判所は「専門家」にどう向き合ったのか
    • 1 三・一一を司法はどのように自省したのか
    • 2 三・一一後の原発訴訟――新規制基準と専門技術的裁量の評価
    • 3 司法の二極分化を進める視点
  • 終 章 原子力規制システムは,どうあるべきなのか
  • 主な参考文献
  • あとがき
本書は序章で事故後の現実を描き、歴史的経緯から組織分析、審査の実態、司法の役割、提言へと論を進める構造。行政学の枠組みで実証的に議論し、参考文献を基に客観性を確保している。 詳細な章要約序章 フクシマ後の現実フクシマ事故後の日本社会と原子力規制の現状を概観。事故は安全規制機関の機能不全が主因であり、原発推進と規制の未分化が問題だったと指摘。規制委員会の発足を「改革の見せかけ」と位置づけ、政権の再稼働推進圧力の下で独立性が脅かされている現実を描く。アメリカの独立規制委員会との比較を導入し、日本の問題点を予告。読者に原子力行政の歴史的文脈を理解させる導入部として機能する。 第Ⅰ章 原子力規制委員会はいかに作られたのか事故前の原子力規制システムを詳細に検証。経産省傘下の原子力安全・保安院、内閣府の原子力安全委員会、JNES(原子力安全基盤機構)が存在したが、推進と規制の癒着が深刻で、東電の事故隠しを防げなかった。民主党政権下での改革議論から、安倍政権での規制委員会設置までを時系列で追う。国家行政組織法第3条に基づく行政委員会として発足したが、職員の多くが旧組織から移行し、旧態依然の体質が残ったと批判。設置過程で政治的圧力が働き、独立性が損なわれたメカニズムを分析。 第Ⅱ章 原子力規制委員会とはどのような組織なのか規制委員会の構成と原子力規制庁の人事を解剖。委員の選考が原子力・電力ムラ(業界関係者)中心で、中立性が欠如。規制庁初代長官に警察官僚(公安畑)の池田克彦が就任した点を挙げ、原子力経験のない「シロウト」が反原発運動監視目的で配置された可能性を指摘。事務局の職員が旧保安院出身者で占められ、組織の独立性が形式的に過ぎない実態を暴露。人事の政治化が規制の歪みを生むと論じる。 第Ⅲ章 原子力規制委員会とはいかなる行政委員会か行政委員会の一般論から、規制委員会の性格を考察。行政委員会は本来、独立性を保つための仕組みだが、政権主導の下で機能不全。規制委員会は原子力推進のための機関に堕し、民主党時代からの傾向が安倍政権で加速したと分析。法的位置づけと実態の乖離を指摘し、中立性が幻想である理由を行政学的に解明。 第Ⅳ章 原子力規制委員会は「使命」に応えているか新規制基準の詳細と審査実態を批判。基準の特徴として、シビアアクシデント対策義務化、バックフィット制度の既存炉適用、運転期間原則40年、規制法の一元化を挙げるが、「世界一厳しい」は看板倒れ。大飯原発3・4号機の再稼働認可では基準地震動の再計算提言が拒否され、高浜1・2号機の老朽炉審査も欠陥を糊塗。地域防災計画・住民避難計画が審査対象外で抜け落ち、ゼロリスクの不在を口実に既存欠陥を容認する姿勢を非難。テロ対策施設の猶予肯定など、使命に応えていないと結論。 第Ⅴ章 裁判所は「専門家」にどう向き合ったのかフクシマ後の司法の対応を検証。事故を司法が自省せず、最高裁の伊方判決のように「専門家の判断」に依存。原発訴訟で新規制基準の専門技術的裁量を評価するが、地裁判決の二極分化(一部で規制委員会の判断を否定)が進む。司法の独立性を踏まえ、市民目線の判断を促す視点を提供。 終章 原子力規制システムは,どうあるべきなのか理想的なシステムを構想。規制委員会に公開性・専門性・市民性を加え、国会に専門調査組織を設置し、ダブルチェック体制を構築。現行法内で実現可能とし、政治・経済の利権構造改革を提言。科学技術の限界を認め、CO2削減の論点ずらしを批判。市民参加の規制へ移行を訴える。 おわりにと全体の意義あとがきでは、著者の研究動機を述べ、原子力行政の抜本改革を呼びかける。全体の意義は、規制委員会の幻想を暴き、市民に警鐘を鳴らす点にあり、原発依存社会の見直しを促す。行政学の観点から実証的で、代替エネルギー議論の必要性も示唆。 レビュー・評価のまとめ
  • 肯定的評価: 行政学の専門的分析が秀逸で、組織の機能不全を喝破(skunk_c)。市民目線の提言が行動喚起(山口幸夫)。規制の歴史と実態を詳述し、必読(ベンアル)。
  • 批評的指摘: 代替エネルギー案の欠如(ishilinguist)。反原発姿勢が強いが、冷静(Kenji Suzuya)。提言の実現性に疑問(skunk_c)。
  • 全体評価: 読書メーター平均★3.9。書評で「画竜点睛を欠くが指摘は的確」とされ、再稼働議論の文脈で価値高し。
本書は、原子力規制の幻想を解体し、社会変革の指針を提供する重要作である。