2014年4月24日木曜日

『東日本大震災とコンビニ 』



『東日本大震災とコンビニ 
便利さ(コンビニエンス)を問い直す 早稲田大学ブックレット

川邉信雄/著 早稲田大学出版部 2011.11

被災地の人々が災害直後に何を求め、大手コンビニチェーンはどのように対応しようとしたのか。また対応が可能であったのはなぜか。こういった問題を検討し、大災害時における「コンビニエンス」とは何かを明らかにする。

この本についてブクレコで貴重なレビューがありました。
以下、引用です。

3.11後、コンビニやスーパーなどがいかに復旧し、被災者の役に立てるようモノとサービスを提供してきたかを追ったドキュメント。タイトルにある通り、 コンビニ各社の対応や物流体制、震災後において果たした役割を中心に語られるが、大手・地元スーパーや宅配便などについての記述も多い。
本書を読むと、コンビニ各社がいかに震災対応の努力をしてきたか、そして、いかに被災者の生活に貢献したかが分かる。
例えば、コンビニ各社は、阪神大震災や中越地震などでの教訓を活かし、震災対応を強化していた。セブンイレブンでは、ある一定の震度を超える地震が発生す ると自動的に対策本部が立ち上がる仕組みになっており、今回は大地震の4分後に対策本部ができている。また、工場が被災し商品の生産がストップしたローソ ンの事例では、関東で作った商品を東北の店舗に、関東の店舗は東海や関西から調達するといった柔軟な対応で、できる限り物資を被災地に送るように努めた。 ミニストップでは、関東からの物資供給が滞ったため、現地の米などを調達し、おにぎりなどを作って販売した。ファミリーマートなどでは、仮設住宅に店舗を つくったり、移動販売車(ATM付)を走らせ、モノとサービスを提供し続けた。普段の取扱い商品にこだわらず、被災地に必要な商品展開に可及的速やかに改 善していった点もコンビニらしい。
いまやコンビニはライフラインの一つと言っても過言ではない。コンビニ各社のとった対応をみると、政府のそれがいかに遅いかが分かる。また、震災直後は自 衛隊車や報道以外の車両を規制するといった対応を取った点なども、今思うと流通企業の復旧ひいては被災地の生活環境を阻害する一因ではなかっただろうか。
本書は、後半からコンビニ各社の決済、震災後の出店計画などについての記述が多くなり、震災からは少し離れてしまうのが少し残念ではあるが、今後起こり得る首都圏直下型地震などに備える上で、非常に参考になるところが多い。是非、一読をオススメする。



東日本大震災とコンビニ
東日本大震災とコンビニ
著者:川辺信雄
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