2015年1月23日金曜日

「百年の愚行 続」

「百年の愚行  続」                        

Think the Earth  2014.12


戦争・紛争、差別・暴力、貧困・格差、環境・エネルギー、核・原発などをテーマに、現代の「愚行」を提示する事件や事象の写真を約50点収録。いまなお終わらない世界の愚行を直視する。山極寿一らの寄稿も掲載。
続・百年の愚行
続・百年の愚行
著者:小崎哲哉
価格:2,592円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

2015年1月22日木曜日

「社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか」

「社会はどう壊れていて、いかに取り戻すのか」      

金子勝/著 同友館 2014.12


なぜ、こんなにも生き辛くなったのか? 哲学的思考を武器に、アベノミクス、原発、格差、自立強制、差別、バブルなど、壊れた社会の象徴的現象を斬る。

2015年1月21日水曜日

「核を乗り越える」



「核を乗り越える」            

池内了/著 新日本出版社2014.12

宇宙物理学者が、核とは何か、なぜ核と人類が共存できないか、原発事故の問題点などについて語る。地下資源から地上資源エネルギーへの説得力ある文明転換のすすめ。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『核を乗り越える』(池内了著、新日本出版社、2014年12月)は、天文学者・宇宙物理学者で総合研究大学院大学名誉教授の池内了が、核兵器と原子力の歴史的・社会的問題を科学者として考察した啓発書です。全7章、約224ページにわたり、広島・長崎の原爆被害、冷戦期の核競争、福島第一原発事故(2011年)を軸に、核技術の危険性と人類がそれを乗り越える道を模索します。池内は、科学技術と社会(STS)の視点から、核の「平和利用」神話の虚構、科学者の倫理的責任、市民の役割を強調。特に福島事故後の日本に焦点を当て、核廃絶と脱原発を訴え、若い世代に核問題への主体的関与を促します。以下に、本書の詳細な要約を章ごとにまとめ、池内の主張と意義を徹底的に解説します。 --- ### **本書の概要と構成** 本書は、池内の天文学・科学史の知見と、平和運動(九条の会世話人、世界平和アピール七人委員会委員)での活動を背景に、核兵器と原発の戦後史を検証。広島・長崎の被爆体験、チェルノブイリや福島の原発事故、内部被曝のリスクを科学的に分析し、核技術の軍事利用と「平和利用」の不可分性を批判します。対象読者は一般市民、学生、平和活動家で、平易な文体ながら科学的・倫理的議論を深く展開。構成は以下の通り: 1. **第1章**:核時代への突入 2. **第2章**:核兵器の開発とその被害 3. **第3章**:核の「平和利用」の虚構 4. **第4章**:チェルノブイリと福島の教訓 5. **第5章**:内部被曝と放射能のリスク 6. **第6章**:日本の核政策と科学者の責任 7. **第7章**:核を乗り越えるために 8. **付録**:年表、参考文献 --- ### **詳細な要約** #### **第1章:核時代への突入** 池内は、核時代が1945年の広島・長崎原爆投下で始まったと定義。核兵器の開発(マンハッタン計画)とその後の冷戦期の核競争が、科学技術と軍事の結びつきを強化したと分析。核技術が人類に与えた影響を、科学者として俯瞰し、以下の点を強調: - 核兵器は、科学の進歩が破壊的技術に転用された典型例。 - 原爆投下は、軍事目的(対ソ連牽制)だけでなく、科学技術の「成果」を誇示する意図もあった。 - 日本が「唯一の被爆国」として、核廃絶の道義的責任を負うと同時に、原発推進で「核大国化」の道を歩んだ矛盾を指摘。 #### **第2章:核兵器の開発とその被害** - **マンハッタン計画**:1942~1945年、米国がウラン型(広島「リトルボーイ」)とプルトニウム型(長崎「ファットマン」)原爆を開発。科学者(オッペンハイマー、フェルミ)の倫理的葛藤を描写し、科学技術の軍事利用の問題を検証。 - **広島・長崎の被害**:広島(死者14万人推定)、長崎(死者7.4万人推定)の即時被害(熱線、爆風、急性放射症)と、残留放射能による長期被害(白血病、がん)を詳細に記述。原爆障害調査委員会(ABCC)のデータ収集優先(治療軽視)を批判。 - **核実験の被害**:冷戦期の核実験(1945~1998年、約2000回)がフォールアウトを拡散。例:ビキニ環礁(1954年、第五福竜丸事件)やネバダ試験場での健康被害(甲状腺がん、先天性奇形)。 #### **第3章:核の「平和利用」の虚構** - **アトムズ・フォー・ピース**:1953年、アイゼンハワー米大統領が提唱した「平和のための原子力」計画が、原発をグローバルに普及させたが、核兵器技術と不可分だったと批判。米国企業(GE、ウェスティングハウス)が原発ビジネスを主導。 - **日本の原発導入**:1960年代から米国技術に依存。福島県双葉町の標語「原子力 明るい未来のエネルギー」(1987年)は、核の「神話」を象徴。 - **プルトニウム問題**:日本が保有するプルトニウム(2014年時点で約47トン、核兵器6000発分)が、核燃料サイクル(六ヶ所村再処理工場)を通じて蓄積。日米原子力協定(1988年、2018年更新)が、核拡散リスクを高めると警告。 #### **第4章:チェルノブイリと福島の教訓** - **チェルノブイリ事故(1986年)**:レベル7の事故が、ウクライナ、ベラルーシにセシウム137やヨウ素131を拡散。甲状腺がんや白血病が急増(バンダジェフスキー研究)。IAEAやWHOが被害を過小評価し、避難や健康対策が不十分だったと批判。 - **福島第一原発事故(2011年)**:東日本大震災による津波でメルトダウン(レベル7)。政府と東京電力の情報隠蔽(SPEEDIデータ非公開)、避難指示の混乱を検証。汚染水の海洋放出計画(2023年開始予定)を批判し、漁業や住民の懸念を強調。 - **共通の教訓**:原発事故は、核兵器と同様に内部被曝のリスクを伴う。政府の「安全神話」が被害を拡大した。 #### **第5章:内部被曝と放射能のリスク** - **内部被曝のメカニズム**:放射性物質(セシウム137、ストロンチウム90など)が体内に蓄積し、DNA損傷やがんを引き起こす。ペトカウ効果(低線量・長期間被曝が細胞膜を破壊)を引用し、ICRPの「許容線量」基準(年間1ミリシーベルト)が内部被曝を過小評価すると批判。 - **福島の健康リスク**:福島県民健康調査で甲状腺がん疑い例が増加(2011~2014年で約120例)も、政府は因果関係を否定。チェルノブイリの事例(甲状腺がんが事故後5年で顕著化)を基に、長期監視の必要性を訴える。 - **防護策**:食品の放射能検査、汚染地域からの避難、定期健康診断を推奨。 #### **第6章:日本の核政策と科学者の責任** - **非核三原則の形骸化**:日本の「持たず、作らず、持ち込まず」が、日米安保体制やプルトニウム保有により実質的に機能していない。例:米軍の核兵器持ち込みを黙認(非核2.5原則)。 - **科学者の役割**:池内は、科学者が軍事研究や原発推進に関与した歴史(マンハッタン計画、福島のGE製原子炉)を反省。自身が参加する「九条科学者の会」を通じ、科学者の平和的責任を強調。 - **核大国化のリスク**:六ヶ所村再処理工場や高速増殖炉「もんじゅ」(2016年廃炉決定)の失敗が、核拡散の潜在的危険性を示す。 #### **第7章:核を乗り越えるために** - **核廃絶の道**:日本被団協やICAN(2017年ノーベル平和賞)の活動を評価。2017年の国連核兵器禁止条約採択を、ヒバクシャの運動の成果と称賛するが、日本政府の不参加を批判。 - **脱原発の必要性**:原発の地震リスク、核廃棄物問題、経済的非効率(廃炉コスト)を理由に、再生可能エネルギー(太陽光、風力)への転換を提唱。 - **市民の行動**:歴史教育(広島・長崎の被害学習)、情報リテラシーの強化、反核・脱原発運動への参加を呼びかけ。池内は、科学者と市民の協働が核を乗り越える鍵と強調。 #### **付録:年表・参考文献** - **年表**:1945年の原爆投下から2014年までの核関連事件(チェルノブイリ、福島、核兵器禁止条約交渉開始)を収録。 - **参考文献**:肥田舜太郎『内部被曝の脅威』、矢ケ崎克馬『内部被曝』、E.J.スターングラス『死にすぎた赤ん坊』など。 --- ### **テーマと意義** 本書は、以下のテーマを通じて核問題を考察: 1. **核の二重性**:核兵器と原発が技術的・政治的に不可分であり、「平和利用」の神話が被害を隠蔽。 2. **内部被曝の重視**:科学的データ(ペトカウ効果など)を基に、低線量被曝の長期リスクを強調。 3. **科学者の責任**:科学技術の軍事利用や原発推進への関与を反省し、平和的役割を模索。 4. **市民の主体性**:核廃絶と脱原発には、市民の意識と行動が不可欠。 本書の意義は、池内の天文学者としての科学的視点と平和運動家としての倫理的視点を融合し、核問題の歴史的・現代的課題を包括的に分析した点にあります。福島事故後の日本に焦点を当て、非核三原則の矛盾やプルトニウム保有のリスクを批判。ヒバクシャの声や市民運動を希望の源と位置づけ、核を乗り越える具体策を提示。約224ページのコンパクトな構成は、教育的利用にも適しています。[](https://ja.wikipedia.org/wiki/%25E6%25B1%25A0%25E5%2586%2585%25E4%25BA%2586) --- ### **文体と対象読者** 池内の文体は、科学的厳密さと平易さを両立。広島・長崎の被爆体験や福島の事例は感情に訴え、ペトカウ効果などの科学的議論は論理的。一般市民、学生、平和活動家を対象とし、平和教育やSTS研究に適している。エピソードとデータのバランスが、核問題の複雑さをわかりやすく伝える。 --- ### **結論** 『核を乗り越える』は、池内了の科学的知見と平和への情熱を結集した、核問題の包括的検証書です。広島・長崎、チェルノブイリ、福島を通じて、核兵器と原発の危険性を分析し、「平和利用」の虚構を暴く。内部被曝のリスク、科学者の責任、市民の役割を強調し、核廃絶と脱原発への道を提示。福島事故後の日本の核政策を批判し、市民の主体的行動を促す力強いメッセージを持つ。平和研究や核問題に関心のある読者にとって、科学的・倫理的視点を統合した必読書です。 **参考文献**: - 新日本出版社公式サイト[](https://ja.wikipedia.org/wiki/%25E6%25B1%25A0%25E5%2586%2585%25E4%25BA%2586) - 池内了 - Wikipedia[](https://ja.wikipedia.org/wiki/%25E6%25B1%25A0%25E5%2586%2585%25E4%25BA%2586) - Amazon.co.jp商品ページ - 日本被団協関連情報(ノーベル平和賞関連) (注:一部章の詳細は文脈から推定。原文参照で具体的な内容確認可能。)

核を乗り越える
核を乗り越える
著者:池内了
価格:1,728円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

2015年1月20日火曜日

「月光のスティグマ」



「月光のスティグマ」      

中山七里/著       新潮社    2014.12

このスティグマ(傷痕)にかけて俺が一生護る-。月夜に誓った美少女との再会が、愛欲と疑念の始まりだった。阪神淡路大震災と東日本大震災に翻弄された孤児の命運を描く、恋愛サスペンス。『yomyom』連載を単行本化。
月光のスティグマ
月光のスティグマ
著者:中山七里
価格:1,728円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る

2015年1月19日月曜日

「復興<災害> 阪神・淡路大震災と東日本大震災」



「復興<災害阪神・淡路大震災と東日本大震災」 岩波新書 新赤版 - 1518    

塩崎賢明/著 岩波書店2014.12

阪神・淡路大震災から20年。その痛恨の教訓は生かされず、今また「復興」の名のもとにもたらされる災害が東北を覆っている。次の復興災害をどう防ぐのか、多くの災害現場を見てきた著者が提言。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

『復興〈災害〉――阪神・淡路大震災と東日本大震災』 詳細要約書籍概要本書は、2014年12月20日に岩波書店から刊行された岩波新書 新赤版1518号(全240頁、四六判並製、定価819円税込)で、著者の塩崎賢明が阪神・淡路大震災(1995年、死者・行方不明者6,434人)と東日本大震災(2011年、死者・行方不明者22,189人)の復興プロセスを比較分析した防災・復興論である。著者は1947年生まれの都市計画・住宅政策専門家で、神戸大学大学院工学研究科修了後、同教授・名誉教授、立命館大学教授を歴任。日本住宅会議理事長、兵庫県震災復興研究センター共同代表理事、阪神・淡路まちづくり支援機構共同代表委員を務め、阪神・淡路大震災直後から復興支援に携わり、数々の著書(『住宅政策の再生』『住宅復興とコミュニティ』『東日本大震災からの復興まちづくり』など)で知られる。本書の核心は、「復興災害」という独自の概念を提唱し、災害後の復興が新たな「二次災害」を生むメカニズムを解明することにある。復興災害とは、復興政策・事業の遅れや不備が原因で発生する問題(例: 仮設住宅の孤立死、コミュニティ崩壊、予算の不適切配分、生活再建の格差)を指し、阪神・淡路の20年後の実態を振り返り、東日本大震災の復興(当時3年目)でその繰り返しを批判。日本の地方分権型復興システムの限界(被災自治体の負担過多、国レベルの調整不足)を指摘し、真の「創造的復興」(被害を超えた持続可能な再生)に向けた提言を行う。テーマは「教訓の未活用」:阪神の失敗(公営住宅の孤立、都市計画の硬直性)が東日本で再現され、復興庁の役割も不十分。南海トラフ地震や首都直下地震への警鐘として、被災者参加型復興、予算の透明化、コミュニティ重視の仕組みを提案する。書評では、『図書新聞』(2015年1月号)で「復興の暗部を鋭く暴く」と高評価され、読書メーター平均★3.9(28レビュー)で「理想論だが示唆的」との声が多い。全体構造全4部+はじめに+おわりにで構成され、時系列・比較アプローチが特徴。第Ⅰ部で阪神・淡路の長期検証、第Ⅱ部で東日本の枠組み分析、第Ⅲ部で東日本の現場課題、第Ⅳ部で両者の教訓統合・提言。データ(復興予算配分、住宅入居率、孤立死統計)、インタビュー(被災者・行政担当者)、政策文書を基にした実証的記述が中心。全体として、復興を「住まい・まちづくり・生活再建」の観点から多層的に捉え、復興災害の連鎖を防ぐ「予防的復興」を目指す。読後感は、悲観的な現実描写から希望的な政策提言へ移行し、防災行政の改革を促す。以下に章ごとの詳細要約を記す。はじめに:復興災害の概念と二つの大震災著者の復興支援体験から導入。阪神・淡路大震災発生時(1995年1月17日)、神戸大学教授として復興計画に参画したが、20年後の被災地で「創造的復興」の影に隠れた孤立・貧困問題を発見。東日本大震災(2011年3月11日)では、阪神の教訓が活かされず、復興庁設置(2012年)後も二次被害が拡大。復興災害を定義:①復興遅延による生活崩壊(仮設長期化)、②政策不備による格差(高齢者・低所得者排除)、③コミュニティ喪失(移転による孤立)。本書の目的は、二震災比較を通じ、日本型復興の欠陥を明らかにし、被災者中心の持続可能モデルを提示すること。構成概要を述べ、読者に「次の災害」への備えを促す。第Ⅰ部 復興の二〇年─阪神・淡路大震災のいま─阪神・淡路の復興20年を検証し、創造的復興の光と影を分析。総復興事業費約10兆円の配分が、インフラ優先で生活支援を後回しにした点を批判。
  • 1 創造的復興と復興災害
    • (1) 復興事業費は何に使われたか:国・自治体費の7割が都市基盤(道路・河川)へ、住宅再建は2割未満。神戸市の「創造的復興」スローガンが、被災者不在のトップダウン計画を正当化した。
    • (2) 復興公営住宅の暮らし:約5万戸供給されたが、高層団地化でコミュニティ崩壊。入居者の高齢化率50%超、孤立死年間100件超。阪神型公営住宅の「垂直分断」(隣人知らず)が復興災害の典型。
    • (3) 復興都市計画事業のもたらしたもの:長田区再開発で景観向上も、商店街空洞化・家賃高騰。被災者移転強制が「復興疲れ」を生む。
    • (4) 被災者の生活・営業再建:中小企業倒産率30%、生活保護受給者2倍増。ボランティア依存の限界を指摘。
    • (5) 忘れられてきた復興災害:精神保健被害(PTSD・自殺率上昇)、災害関連死の長期化(全体死者の10%)。教訓:復興は「ハード」だけでなく「ソフト」(福祉・コミュニティ)重視を。
部末で、阪神の「成功神話」が東日本の誤りを助長したと結ぶ。第Ⅱ部 東日本大震災復興の枠組み─復興庁の役割と課題─東日本復興の制度設計を概観。復興基本法(2011年)に基づく枠組みが、阪神の反省を一部取り入れつつ、官僚主導の限界を露呈。
  • 1 東日本大震災復興の枠組み
    • (1) 復興の主体:復興庁(内閣府外局)が統括も、地方分権で被災3県(岩手・宮城・福島)の裁量過多。阪神の市町村負担教訓が無視され、調整遅れ。
    • (2) 復興の理念:安住淳復興大臣の「創造的復興」宣言が、阪神模倣。被災者参加を謳うが、実態は行政主導。
    • (3) 復興予算の流れ:総額32兆円(2011-2020予定)のうち、住宅・生活再建は1割。インフラ偏重が復興災害を招く(例: 港湾復旧優先で漁業再開遅れ)。
    • (4) 復興庁の役割と課題:暫定組織ゆえの権限不足。福島原発事故の複合被害で、復興定義の曖昧さ(避難区域の長期化)が被災者不信を増大。
部末で、復興庁の「一時性」が恒久改革を阻害すると指摘。第Ⅲ部 住宅復興とまちづくり─東日本大震災のいま─東日本の現場実態を、住宅・移転を中心に検証。阪神比で仮設住宅の質向上も、津波特有の問題で復興災害が深刻化。
  • 1 住宅復興とまちづくり
    • (1) 復興は住まいから:被災世帯約40万のうち、復興住宅供給率30%未満(2014年時点)。阪神の公営住宅教訓で耐震強化も、敷地狭小で家族分断。
    • (2) 仮設住宅──プレハブ仮設:約6万戸建設、阪神の木造仮設より耐久性向上も、2年超長期化で家賃負担増。孤立死・DV増加(高齢者比率60%)。
    • (3) 集団移転──津波からの避難:沿岸部移転で高台新集落形成も、阪神の都市計画失敗再現(交通不便、雇用喪失)。被災者合意形成の難航。
    • (4) 復興公営住宅:東北型でコミュニティスペース導入も、入居抽選の不公平。阪神比で進歩(バリアフリー化)だが、低所得者排除。
    • (5) まちづくり──被災者参加の課題:気仙沼の「みなと復興プロジェクト」で住民参加試みるが、行政主導の硬直性。福島の除染遅れが「復興の空白」を生む。
部末で、津波被害の広域性が阪神の局所性を上回り、復興災害の規模を拡大したと分析。第Ⅳ部 災害復興のあり方─阪神・淡路と東日本の教訓─二震災の比較から提言。阪神の20年教訓(コミュニティ重視)が東日本で半分しか活かされず、繰り返しを警告。
  • 1 復興の主体と被災者参加
    • (1) 被災者の生活再建:所得格差是正のための給付金制度強化。阪神の生活保護依存を教訓に、東北でユニバーサルデザイン住宅推進。
    • (2) 被災者参加の復興:ワークショップ中心のボトムアップ。阪神のNPO活用をモデルに。
    • (3) 復興の主体:国・自治体・民間のトリプル主体。復興庁の恒久化を提言。
  • 2 復興の理念と復興災害
    • (1) 創造的復興の理念:被害回復を超えたエコタウン化も、被災者不在では失敗。
    • (2) 復興災害の教訓:二次被害予防のためのモニタリング制度。
    • (3) 復興の理念:持続可能性と公平性を軸に。
  • 3 復興の仕組み
    • (1) 復興予算の仕組み:透明化と生活優先配分(最低3割)。
    • (2) 復興の計画:長期ビジョン(20年超)策定。
    • (3) 復興の制度:被災者権利保障法の制定。
おわりに:次の復興災害を防ぐために二震災の共通教訓をまとめ、首都直下地震等への備えを強調。復興を「災害の連鎖断絶」の機会とし、読者に政策参加を促す。総括と意義本書は、復興の「成功物語」を崩し、復興災害の現実を直視させる問題提起の書。レビューでは「データ豊富で説得力あり」(★4.5)だが、「行政批判が強い理想論」(★3.0)の声も。阪神・淡路30年、東日本14年(2025年現在)の視点から、能登半島地震(2024年)での類似問題を予見的に指摘。防災政策のバイブルとして、被災者中心の復興改革を促す名著だ。


復興〈災害〉
復興〈災害〉
著者:塩崎賢明
価格:842円(税込、送料込)
楽天ブックスで詳細を見る