『雨ニモマケズ』 外国人記者が伝えた東日本大震災
ルーシー・バーミンガム/著 えにし書房 2,016.12
日本在住の外国人記者2人による迫真のルポルタージュ。東日本大震災を生き延びた6人の証言者への震災直後からのインタビューを中心に、綿密な取材をもとに震災の深い悲しみを丁寧に綴る。
外国人のジャーナリストの方が、「東日本大震災」のこと、「福島第一原発事故」のことを取材して書いている本です。
先日、文京区立図書館で借りてこの本を読んでみました。
タイトルの「雨ニモマケズ」は東北の桂冠詩人、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」から取ったものらしいです。
この本では、東北地方の太平洋沿岸に建設されていた防潮堤が、「東日本大震災」時の津波の際には役に立たなかったことが書かれています。
10メートル以上あった釜石市の防潮堤も「東日本大震災」時の津波の前には役に立たなかったことが書かれています。
福島第一原発事故のことに関しても取材して書かれていて、福島第一原発事故の後に、近隣の街から避難した方々が多くいたことも書かれています。
災害対応に当たった方々も、疲労で職を辞めていかれたことも書かれています。
東日本大震災で被災した脱原発を掲げる南相馬市長の桜井勝延市長のことについても書かれています。
桜井勝延市長の愛読書が、宮沢賢治でまさに、「雨ニモマケズ」の詩にあるように、政治家として活動していたことが分かりました。
この本のタイトルの「雨ニモマケズ」も南相馬市長、桜井勝延氏のことも意識してタイトルにしていると思いました。
「原発」の問題に関しては、国政選挙で、原発再稼働を掲げる自民党が政権を取ってしまったことを憂いているような気もしました。
東京に電力を供給するために、福島県に原子力発電所が作られて、その福島第一原発で事故が起きてしまい、福島県は放射能汚染されてしまったことについて多くの矛盾を感じて本を書かれていると思いました。
最後のあとがきで、福島県の方々が、「原発」が出来たから、東京に出稼ぎに行かなくてもよくなったと福島県の方の本音の部分が書かれています。
「原発」の問題を考える際に、その現地における経済効果もあったということもきちんと頭に入れておかなくていけないのだと思いました。
全体的に良くまとまっている本で、取材もきちんとしていて、良い本だと思いました。
「雨ニモマケズ」の英訳が、
“Strong in the rain”
というのも良い英訳だと思いました。
言葉の使い方が良いので、外国人ジャーナリストの方が、日本のことを良く勉強していると思いました。
二度読みましたが、良い本だと思いました。
僕が読んだ「震災本」の中では良い本だと思ったので、本を読んでの感想を書いてみました。
早稲田大学探検部関係者には是非、ご一読していただきたい本です。