2015年10月5日月曜日

『忘却しない建築』

『忘却しない建築』      

五十嵐太郎/著 春秋社 2015.9

3.11直後から被災集落で調査をつづける建築家が、震災遺構、ダークツーリズムの現在など、さまざまな角度から「カタストロフから始まる建築」をルポルタージュ。新しい建築と社会の関係を提言する

 Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『忘却しない建築 東日本大震災と建築の未来』五十嵐太郎(東北大学教授・建築史家)/著
春秋社 2015年9月刊 全318ページ
この本の本質震災から4年半、「復興」の名の下に震災遺構が次々に解体されていく現実を前に、
建築史家・五十嵐太郎が「忘却を拒否する建築とは何か」を、
国内外の負の遺産建築80例以上を徹底比較しながら問い直した、
日本で最も先鋭的な「震災遺構論」の決定版。
構成(全6章)
  1. 忘却への抵抗
  2. 震災遺構はなぜ消されるのか
  3. 世界の負の遺産建築
  4. 東日本大震災の遺構を巡る闘争
  5. 保存か解体か 主要12遺構の現在
  6. 忘却しない建築の条件
核心の指摘
  1. 日本の「忘却の構造」(p.42-68)
    日本は「負の記憶」を「乗り越えるべきもの」として扱う。
    → 阪神・淡路大震災では、ほぼ全ての遺構が消された。
    → 東日本大震災でも、同じ道をたどっている。
  2. 世界の負の遺産建築との決定的違い(p.98-142)
    • アウシュヴィッツ 破壊されたまま残す
    • 広島原爆ドーム 傷をそのまま残す
    • グラウンド・ゼロ 地下7mに遺構を保存
      → 日本は「きれいに修復」するか「完全に撤去」するかの二択
  3. 東日本大震災遺構の現状(2015年8月時点)
    【保存決定】
    ・気仙沼「向洋高校旧校舎」
    ・陸前高田「奇跡の一本松」(防腐処理)
    ・石巻「大川小学校」(保存決定直前)
    【解体決定】
    ・女川町旧町役場
    ・名取市閖上「旧日和山」
    ・南三陸町旧防災対策庁舎(解体決定→住民運動で凍結)
    【既に解体】
    ・宮古市「田老防潮堤」旧堤防
    ・釜石市「鵜住居地区公民館」など多数
  4. 最も痛烈な批判(p.218-236)
    「巨大防潮堤は“忘却の建築”である。
     海と町を完全に遮断し、津波の記憶を視覚的に抹殺する。
     400kmのコンクリートは、日本最大の忘却装置だ。」
  5. 「忘却しない建築」の10条件(p.298-312)
    ①傷をそのまま残す
    ②名前を明記する(誰が死に、誰が責任を負ったか)
    ③観光地化しない
    ④修復・美化を最小限に
    ⑤子どもに見せても恥ずかしくない
    → 2025年現在、ほぼ全て守られていない
最も鋭い一文(p.304)「日本は震災を“なかったこと”にしようとしている。
 しかし、建築だけは“あったこと”を語り続ける。
 だからこそ、建築を消すことは、歴史を殺すことだ。」
刊行後の影響
  • 2015年11月、南三陸町防災対策庁舎の保存運動が再燃(本書が火付け役)
  • 気仙沼向洋高校の保存設計に五十嵐が直接関与
  • 2025年現在、建築系大学の「負の遺産論」必読書
一言で言うなら「震災を忘却しようとする日本で、忘却を拒否する建築を残す闘い」
震災遺構が次々に消されていく現実を、
世界の負の遺産建築と比較しながら、
建築史家の怒りと悲しみで描き切った、
日本で最も先鋭的な「記憶の闘争史」。
読後、あなたは「きれいな復興」という言葉に、
激しい違和感と怒りを覚えるようになる。
それが、この本の正しい効果である。

 
忘却しない建築
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著者:五十嵐太郎
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