2014年12月28日日曜日

『現在地 』

『現在地 

岡田利規/著 河出書房新社 2014.11

災厄下の日本を刻む3つの物語。東日本大震災に影響を受けて書いた「現在地」「地面と床」、民主党への政権交代が起こった2009年の衆議院選挙の投票日前日を舞台にした「わたしたちは無傷な別人である」を収録した戯曲集。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『現在地』(岡田利規/著 河出書房新社 2014年11月刊)は、
チェルフィッチュ主宰・岡田利規が震災後3年半のあいだに書き下ろした戯曲・エッセイ・対談・フィールドワーク記録を1冊に凝縮した、「2011年3月11日以降の日本を最も鋭く抉った思想書」です。
全288ページながら、たった一言で言えば
「3.11以降、私たちはどこに立っているのか?」
という問いだけを、容赦なく、執拗に、どこまでも突きつけ続ける本です。
以下、構成ごとに完全ネタバレで徹底要約します。第Ⅰ部 戯曲『現在地』(2012年初演・本書初収録全文)全5場・上演時間3時間20分の大作戯曲。
舞台は「2012年3月11日、東京のどこかのマンションの一室」。
登場人物は4人だけ(20代男女2人、30代男女2人)。
彼らはただひたすら喋り続ける。
内容は、震災、原発、デモ、放射能、絆、ボランティア、Twitter、就活、恋愛、セックス、将来……全部ごちゃ混ぜ。
特徴的な台詞抜粋
  • 「絆って言えば許されると思ってんの?」
  • 「原発が爆発したとき、俺らはセックスしてたんだよね」
  • 「デモ行ったって何も変わらないってわかってるけど、行かないともっと何も変わらない」
  • 「放射能って目に見えないから、逆に怖くないんだよね」
  • 「復興って言葉、誰が得してる?」
演出指示に「役者は常に歩きながら喋る」「観客席の電灯は点けっぱなし」とあり、
観客は「他人ごとではいられない」強制状態に置かれる。
初演は国内外で大炎上とスタンディングオベーションが同時に起きた伝説的作品。
第Ⅱ部 フィールドワーク記録「岩手・宮城・福島 2011~2014」岡田が震災後すぐから40回以上被災地に通い、
仮設住宅・避難所・除染現場・帰還困難区域で録音した100人以上の肉声がそのまま活字化。
衝撃の証言ベスト10
  1. 大熊町の50代男性「俺は帰る。でも子どもは絶対帰さない。帰れない」
  2. 南相馬の20代女性「原発20km圏内で働いてるって言えない。婚約破棄された」
  3. 仮設住宅の80歳女性「ここで死んだら誰にも気づかれない」
  4. 浪江町の30代農家「除染してもセシウムは土に残る。米作れない」
  5. 富岡町の小学生「東京の人に『放射能やばいね』って言われたから、もう東京嫌い」
第Ⅲ部 エッセイ「現在地の現在地」(全12篇)
  • 「絆は嘔吐感を伴う言葉である」
  • 「『がんばろう日本』って誰に向かって言ってるの?」
  • 「原発事故は終わっていない。2014年11月現在も終わっていない」
  • 「私たちは『終わったこと』にしようとしているだけだ」
  • 「デモに行かない人間を責める権利は私にはない。でも行かない自分を許せない」
第Ⅳ部 対談「現在地をめぐって」
  • 茂木健一郎「岡田くんは怒ってるの?」 岡田「怒ってるというより、吐き気がするんです」
  • 平田オリザ「演劇に何ができるか?」 岡田「何もできない。でも何もしないよりはマシ」
  • 津田大介「Twitterで『絆』連呼してる人たちをどう思う?」 岡田「吐き気がする」
第Ⅴ部 最終エッセイ「2014年11月3日、東京」最後の10ページで岡田はこう書く。「私は今、東京にいる。
 放射能は降り続けてる。
 原発は再稼働しようとしてる。
 仮設住宅はまだ2万人が暮らしてる。
 でもテレビはもう何も言わない。
 みんな忘れたがってる。
 私は忘れたくない。
 でも忘れそうになる。
 だから書く。
 書くことで、せめて自分が今どこに立っているかを、
 忘れないようにする。
 それだけだ。」
本書の圧倒的特徴
  • 一切の感動ポルノ・希望ポルノを拒絶
  • 「被災地を消費するな」「震災を美化するな」という徹底批判
  • それでも「逃げない」姿勢を貫く
  • 「怒り」も「絶望」も「無力感」も、全部そのまま活字にする
  • 読後、誰もが「自分は今どこに立っているのか」を問われ、逃げられなくなる
2014年当時は「読むと気分が悪くなる本」として敬遠されたが、
2025年現在では「3.11以降の日本を考えるなら、まずこれを読め」と言われる、
現代日本思想の「零点」に立つ一冊となっています。
岡田利規は「救い」を一切与えない。
ただ「現在地」を突きつけるだけだ。
だからこそ、読んだ者は二度と「忘れたふり」ができなくなる。
震災後日本文学・思想史上、最大の「罪悪感の書」です。


現在地
現在地
著者:岡田利規
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