2018年12月17日月曜日

『少年少女日本の歴史 22』 平成の30年


『少年少女日本の歴史  22 平成の30

小学館版学習まんが 小学館  2018.10

まんがで描(えが)く日本の歴史。バブル景気にわく平成の始まりから、東西冷戦の終結、東日本大震災(だいしんさい)とエネルギー問題、アメリカのトランプ大統領(だいとうりょう)の誕生(たんじょう)まで、平成の30年間の日本の歴史を、世界の出来事を交えてわかりやすく解説(かいせつ)する。


『戦後国際秩序の終わり』 世界の中の日本


『戦後国際秩序の終わり』  世界の中の日本 

千野境子/著  連合出版      2018.10

新しい秩序構築に向けて、日本が果たす役割とは? 湾岸戦争・危機、911、国際貢献・PKO、ポル・ポト派、北朝鮮、日韓関係、沖縄の本土復帰、原発といった、これまでの世界と日本の関係・問題点について考える。

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『大コラム平成思潮 後半戦』 平成14=2002年~


『大コラム平成思潮  後半戦』 平成14=2002年~   

鷲田小彌太/著       言視舎 2018.11

平成の30年とは、どういう時代だったのか? 民主党単独初の鳩山政権誕生、東日本大震災と福島原発破壊、自民安倍政権のリベンジと混線…。著者が発表した新聞コラムを中心に、鋭角的に物事の核心をえぐる。

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『空を見てますか… 9 』なつかしい街と人と


『空を見てますか…  9 』なつかしい街と人と

池辺晋一郎/著       新日本出版社  2018.11

公平ということ、愛国心、シラノ的生き方、防衛省の怖さ、原発事故、カントの言葉…。人気作曲家がつづるエッセイ集。週刊『うたごえ新聞』2006年~2009年連載を単行本化。

2018年12月8日土曜日

『3・11復興プロジェクトの挑戦とその射程』


311復興プロジェクトの挑戦とその射程』  建築と土木、エネルギーの融合の活動から 

伊澤岬/著    彰国社 2018.12

高防潮堤に代わる「津波をかわす」発想による建築と土木の融合の提案、原発依存から再生エネルギー中心のまちづくりの提案。しかし、それらは前例主義の壁に阻まれた…。311復興へ手弁当で関った著者らの挑戦の記録。


『語り継ぐいのちの俳句』 3・11以後のまなざし


『語り継ぐいのちの俳句』  311以後のまなざし   

高野ムツオ/著 朔出版      2018.10

 東日本大震災が俳句にもたらしたものは何か-。第一線で活躍する俳人・高野ムツオが震災後、7年にわたって書き、語り続けてきた心揺さぶる言葉の数々を、「震災詠100句 自句自解」とともに収録する。

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『災害・支援・ケアの社会学』 地域保健とジェンダーの視点から


『災害・支援・ケアの社会学』  地域保健とジェンダーの視点から  

板倉有紀/著  生活書院 2018.11

 「災害とジェンダー」に着目し、自然災害の被害とニーズを社会的に考察するさいの視点を、地域防災・地域単位の被災者ケアという問題に即して検討。保健師の職能の持つ可能性を提起する。テキストデータの引換券付き。


『電力産業の会計と経営分析』


『電力産業の会計と経営分析』      

谷江武士/編著       同文舘出版    2018.11

 東日本大震災による原発事故以後、岐路に立つ内外の電力産業・原子力発電などの実態とその課題を、会計学・経営分析・経営学の視点から析出した研究
の成果をまとめる。イギリス、フランス、ドイツの動向も取り上げる。

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『ぼくたちは神様の名前を知らない』


『ぼくたちは神様の名前を知らない』 

五十嵐貴久/著       PHP研究所     2018.11

 瀕死の先生を救うため、道なき森へと足を踏み入れた5人の中学生。だが彼らはそれぞれ、ある秘密を抱えていて…。東日本大震災を生きのびた子供たちは“闇深き森”を抜け出せるのか。少年たちの「再生」を描いた長編小説。

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『復興と尊厳 』 震災後を生きる南三陸町の軌跡


『復興と尊厳 』 震災後を生きる南三陸町の軌跡    

内尾太一/著  東京大学出版会 2018.11

 東日本大震災の被災地を5年の長期にわたり深層から描いた復興過程の記録。被災直後の生活再建から、町の将来像をめぐる住民の議論まで、変化する復興のステージを刻々と描き、「尊厳」という新たな視座を浮かび上がらせる。


2018年12月5日水曜日

『世界の常識は日本の非常識 自然エネは儲かる! 』


『世界の常識は日本の非常識 自然エネは儲かる!  

講談社+α新書 - 801-1C      吉原毅/[]

世界各国の自然エネルギーの最新事情を紹介しつつ、いかに自然エネルギーが国民に利益をもたらし、国を発展に導くかを詳らかにする。原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が作成した原発ゼロ・自然エネルギー基本法案も掲載。


『トラウマ研究 1 』 トラウマを生きる


『トラウマ研究  1 』 トラウマを生きる

田中雅一/編

 トラウマ経験や現代社会における社会的苦悩を扱い、その実態を社会・文化的文脈で理解することを目指すとともに、解決についても実践的な視点から論じる。1は、トラウマの原因とみなされてきた性や家族に関わる論考等を集成。

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2018年11月24日土曜日

『東電刑事裁判で明らかになったこと』

『東電刑事裁判で明らかになったこと』

    海渡雄一/編著      彩流社   2018.10


 2008年の時点で、最大15.7メートルの巨大津波が押し寄せるという解析結果を得ていた福島第一事故。東電元役員3名が被告人となっている刑事裁判のポイントや、現時点までに明らかになっていることを解説する。
 
 先日、海渡雄一さんの編著、福島原発刑事裁判訴訟支援団・福島原発告訴団監修の、「東電刑事裁判で明らかになったこと」という本を御茶ノ水、丸善で購入して読んでみました。

 海渡雄一さんのウィキペディアはこちら→海渡雄一

 本では、東電刑事裁判のことについて書かれています。

 東電刑事裁判で訴えられている、双葉病院の悲劇のことについては時系列でわかりやすく書かれています。

 双葉病院の悲劇とは以下のようなものだったようです。(P14P16を抜粋)

 311日午後246分ころ/東日本大震災が発生
 11日午後330分頃/津波により、福島第一原発は全交流電源を喪失した
 12日午前5時ころ/政府、東京電力福島第一原発から半径10㎞圏内に避難指示
 12日午後2時頃/第1陣避難 バス5台で双葉病院の入院患者209人が、避難を開始する。入院患者129人と介護老人ホーム・ドーヴィル双葉の入所者98人が取り残される
 12日午後3時頃/自衛隊救助隊は12日午後3時頃に残留者を避難させるために郡山駐屯地出発したが、1号機で爆発で郡山に引き上げた
 13日午前中/オフサイトセンターから、県災対本部に「双葉病院に患者が残留している」と通報
 13~14日/自衛隊の救助隊は放射線防護のためタイベックススーツの到着を待っていたため、出発が遅延
 14日午前0時頃/自衛隊第12旅団輸送支援隊が郡山を出発
 14日午前4時頃/自衛隊第12旅団輸送支援隊が双葉病院とドーヴィル双葉に到着
 14日午前10時半/第2陣避難 自衛隊第12旅団輸送支援隊が双葉病院鈴木院長やドーヴィル双葉施設長とケアマネらと協力して、双葉病院患者34人とドーヴィル双葉入所者98人を乗せ、相双保健所に向けて搬送を開始した
 14日午前12時頃/自衛隊第12旅団輸送支援隊が相双保健所に到着したが、受け入れを拒否される。このあと、午後3時頃に相双保健所を出発し、約5時間かけて、いわき光洋高校体育館に午後8時頃に到着した。この時点で8人の死亡が確認された。
 14日夕方/12旅団司令部は双葉病院に残留している患者の救助を指示。郡山駐屯地を出発したが、原発が危険な状態であるという情報を得て、午後915分頃全部隊に対して「一時避難」を指示した。
 14日午後958/双葉病院に詰めていた双葉署副署長は双葉署緊急対策室から、「一時避難を離脱せよ」との指示を受け、鈴木院長と、ドーヴィル双葉の施設長、ケアマネの3人とともに、川内村割山峠まで退避した。
 14日午後1010/福島県警災害警備本部は、双葉署副署長に「緊急の危険性はないので、救助活動を継続せよ」と指示し、同署長らは双葉病院付近に戻ったが、自衛隊のすべての車両がいなくなり、あたりには自衛隊の資機材が散乱しているのを見て、「ただごとではない」と考え、再び割山峠まで退避し、救助の自衛隊を待つと県警警備本部に連絡した。しかし、この情報は自衛隊には伝達されず、双葉署副署長と院長らは自衛隊と合流することができなかった。
 15日午前130分頃/東北方面総監部統合任務部隊が避難を開始した。しかし、11時頃には、放射線量の急上昇のために患者47人について避難させた時点で継続を断念し、双葉病院を離れた。
 15日午前11時半頃/4陣避難 第12旅団衛生隊が双葉病院に到着し、病院内に残留していた7人を救助し、1215分には搬送を開始し、指令部に対して「救助は終了した」と報告した。しかし、この時点で、別棟に35人の患者が残されていたが、先発隊と合流し、情報交換することができなかったため残留者の存在に気づかなかった。
 第3陣と第4陣の患者たちは伊達ふれあい総合センターに搬送されたが、搬送完了時に2人の死亡が確認された
 15日午後915分頃/12旅団衛生隊が双葉病院に向けて出発。
 16日午前035分頃/5陣避難 病院別棟から残留していた患者35人の救助を開始した。この35人は霞ヶ城公園及びあづま総合運動公園に搬送されたが、搬送完了時に5人の死亡が確認された。

 以上が、双葉病院の悲劇です。

 自分で本の中の文章をパソコンで打ち込んでいて、本当に辛い気持ちになる話だと思いました。

 東電刑事裁判では、証人尋問の最後に、指定弁護士の久保内弁護士が「地震と津波だけなら亡くなっていたと思いますか」と聞くと看護副部長は「双葉病院には使える医療器具や薬品が残っていました。原発事故がなければ、病院で治療を続けることができました」と答えていたとのことです。

 亡くなった方々は認知症などの精神科疾患はあっても、深刻な身体疾患はなかったものが大半で、中には統合失調症で43歳だった方もいたとのことです。

 僕も統合失調症なので、他人事に思えませんでした。

 双葉病院の悲劇について裁判で、原発事故とりわけ高い放射線量のために避難が遅れ、混乱し、十分な医療とケアが提供できなかったために、起訴状に掲載されているだけで、44人もの命が失われたことが明確に立証されたとあります。
 母を奪われた女性の調書では、「体育館で母の安否を確認した。自衛隊の車で12時間、200キロの搬送で死亡との説明だった。速やかな搬送よりもスクリーニングが優先された。人間としての尊厳などまったくない状態でバスの中に転がされていた。せめて暖かな場所で最後を看取りたかった。ただただ、いとしい母でした。思いがこみ上げます私は原発事故でふるさとと母を一瞬で奪われました。改めて原発事故に強い怒りを覚えます」と意見が述べられているとのことです。

 福島原発事故による被害については、

 福島原発事故による避難生活では、避難先での生活環境の変化によるストレスが大きな要因となった自死事件を含む災害関連死亡が発生し、2018220日までの累計で福島県だけで総数は2211人に達していると書いてあります。

 原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺検査が実施されました。福島県は因果関係を否定していますが、福島県内だけで、209人(20186月段階)の子どもの甲状腺がんの発生または疑いがあり、一部は再発し重症化していると書いてあります。

 福島原発事故による被害がとても大きいことが分かります。

 これだけの大きな被害があるなら、福島原発事故の刑事責任を問うことはとても大事な事だと僕は思いました。

東電刑事裁判に関心を持っている方なら一読の価値のある本だと思いました。

 先日は、「東電刑事裁判で明らかになったこと」という本を読んでみたので本の中の文章を引用しての本を読んでの感想を書いておきます。

 早稲田大学探検部関係者には是非、ご一読していただきたい本です。

  2019年9月19日の東京地裁判決を前にして作られた短編映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」はこちら

                ↓

 




2018年11月23日金曜日

『映画に学ぶ危機管理 』

『映画に学ぶ危機管理     

齋藤富雄/編著       晃洋書房      2018.9

「シン・ゴジラ」「八甲田山」「日本沈没」…。娯楽作品として制作された映画を教材として取り上げ、研究者や阪神・淡路大震災を経験した防災実務家が、実践的視点から危機管理を易しく説く。
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『除染と国家 』 21世紀最悪の公共事業


『除染と国家  21世紀最悪の公共事業 

日野行介/著  集英社 2018.11

福島第一原発事故後に数兆の予算を投じられ行われた除染作業。その効果は怪しいままに避難住民の支援は打切られ帰郷を促されている。環境省の非公開会合の記録を入手した著者が、官僚、学者に取材し、為政者の真意を暴く。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『除染と国家 21世紀最悪の公共事業』(日野行介著、集英社新書、2018年11月)は、2011年の東京電力福島第一原発事故後の除染事業をめぐる問題を詳細に検証した調査報道の書籍です。著者の日野行介は、毎日新聞の記者として長年原発事故関連の取材に従事し、環境省の非公開会合の記録や官僚・学者への直撃取材を通じて、除染事業の実態とその背後にある国家の欺瞞を暴きます。本書は、除染が単なる放射能汚染対策ではなく、事故の幕引きを図る国策の一環として機能し、民主主義の基盤を損なうプロセスであったと批判的に分析しています。以下に、本書の構成に沿って詳細な要約を章ごとにまとめます。 --- ### **序章 除染幻想―壊れた国家の信用と民主主義の基盤** - **概要**: 本書の導入部では、福島第一原発事故後の除染事業が、国民の安全や健康を守るための施策としてではなく、事故を「なかったこと」にし、原発政策を継続するための政治的道具として利用されたと主張。著者は、除染事業が国家の信用と民主主義を破壊したと述べ、森友・加計学園問題や公文書改ざんなどと同様に、説明責任の欠如や情報隠蔽が除染事業でも繰り返されたと指摘。 - **ポイント**: 除染は、科学的根拠や効果が疑問視される中、巨額の予算が投じられ、被災者の生活再建よりも国家のメンツを優先した。環境省の内部文書や非公開会議の記録を基に、官僚や学者がどのように事故の影響を矮小化しようとしたかを明らかにする。 --- ### **第一章 被災者に転嫁される責任―汚染土はいつまで仮置きなのか** - **概要**: 除染で発生した膨大な汚染土壌の処理問題に焦点を当てる。除染作業により集められた汚染土は「仮置き場」に保管されているが、その最終処分場が決まらないまま、被災地住民に負担が押し付けられている。 - **詳細**: - **仮置き場の問題**: 汚染土は福島県内の仮置き場に山積みされているが、住民は土地提供を強いられ、生活環境の悪化や健康不安に直面。政府は最終処分場を2020年代中に県外で確保すると約束したが、具体的な進展はなく、責任は被災者に転嫁されている。 - **コストと非効率性**: 除染事業には数兆円規模の予算が投入されたが、汚染土の処理計画は杜撰で、仮置き場の管理も不十分。住民の不信感は増大し、除染の効果自体が疑問視されている。 - **取材事例**: 著者は、仮置き場周辺の住民や自治体関係者への取材を通じて、除染が地域社会に新たな分断を生んだ実態を描写。 --- ### **第二章 「除染先進地」伊達市の欺瞞** - **概要**: 福島県伊達市を「除染先進地」として政府が喧伝する一方で、その実態は欺瞞に満ちていると批判。伊達市は除染の成功例として取り上げられたが、実際には放射線量の低下が限定的で、住民の安全が確保されていない。 - **詳細**: - **伊達市の除染モデル**: 政府は伊達市をモデルケースとして宣伝し、除染後の放射線量が安全基準を下回ったと主張。しかし、著者の調査により、測定方法の恣意性やデータの操作が明らかになる。 - **住民の声**: 地元住民は除染の効果に疑問を抱き、帰還を強制されるプレッシャーを感じている。市当局と政府の連携による「安全キャンペーン」が、科学的根拠よりも政治的意図に基づいていることが暴露される。 - **環境省の関与**: 環境省は伊達市の除染を成功例として国内外にアピールしたが、非公開会議の記録から、実際には効果が不確実であることを内部で認識していたことが判明。 --- ### **第三章 底なしの無責任―汚染土再利用(1)** - **概要**: 政府が推進する汚染土の「再利用」政策に焦点を当て、その無責任な実態を暴く。汚染土を公共事業や農地造成に利用する計画が進められたが、安全性や倫理的問題が無視されている。 - **詳細**: - **再利用の提案**: 環境省は、放射性物質を含む汚染土を8000ベクレル/kg以下の基準で再利用可能とし、道路や防潮堤の建設に使用する方針を打ち出した。しかし、この基準は科学的根拠が薄弱で、住民の健康リスクを無視したものだった。 - **非公開会議の暴露**: 著者が入手した環境省の非公開会議の議事録から、官僚や学者が再利用のリスクを認識しつつ、事故の影響を過小評価する方向で議論を進めていたことが明らかに。 - **地域への影響**: 再利用計画は、福島県民だけでなく全国の自治体に汚染土の受け入れを求めるもので、国民全体にリスクを押し付ける構造が浮き彫りに。 --- ### **第四章 議事録から消えた発言―汚染土再利用(2)** - **概要**: 汚染土再利用をめぐる議論の透明性欠如をさらに深掘り。環境省の会議で、反対意見やリスクを指摘する発言が議事録から意図的に削除されていたことが判明。 - **詳細**: - **情報隠蔽の実態**: 著者は、環境省の非公開会議の記録を詳細に分析し、専門家が再利用の危険性を指摘した発言が議事録から消されていることを発見。これにより、政策決定のプロセスが不透明で、国民の知る権利が侵害されていると批判。 - **官僚の姿勢**: 環境省官僚の一人は「日本のため、お国のために我慢しろと言えないといけない」と発言。この言葉は、国民の安全よりも国家のメンツや原発政策の継続を優先する姿勢を象徴している。 - **メディアの役割**: 著者は、メディアがこうした情報隠蔽を見過ごし、除染や再利用の「成功」を無批判に報じる傾向を問題視。 --- ### **第五章 誰のため、何のための除染だったのか** - **概要**: 除染事業の目的を根本から問い直す。除染は被災者のためではなく、政府や原発産業の利益を守るための道具だったと結論づける。 - **詳細**: - **経済的動機**: 除染事業には大手ゼネコンや関連企業が参入し、巨額の利益を上げた。事業の透明性や効果よりも、経済的利益が優先された実態が明らかに。 - **被災者の疎外**: 除染によって帰還が促進された地域でも、住民は健康不安や生活基盤の喪失に直面。政府の「復興」キャンペーンは、被災者の現実を無視したものだった。 - **民主主義の危機**: 除染政策は、国民の声や科学的検証を排除し、トップダウンで進められた。このプロセスは、森友・加計問題や公文書改ざんと同様、民主主義の基盤を損なうものだった。 --- ### **第六章 指定廃棄物の行方** - **概要**: 除染で発生した高濃度放射性廃棄物(指定廃棄物)の処理問題を検証。最終処分場の選定が進まず、被災地に負担が集中している。 - **詳細**: - **指定廃棄物の現状**: 指定廃棄物(8000ベクレル/kg超)は、福島県内外で保管されているが、処分場の選定は難航。政府は責任を明確にせず、問題を先送りしている。 - **地域間の対立**: 処分場候補地となった地域では、住民の反対運動が起きている。政府の不透明な選定プロセスが、地域間の分断を助長。 - **長期的なリスク**: 指定廃棄物の管理が不十分な場合、将来にわたる環境汚染や健康リスクが懸念される。著者は、こうした無責任な対応が国家の信頼をさらに失わせると警告。 --- ### **あとがき 原発事故が壊したもの** - **概要**: 著者は、原発事故と除染事業を通じて、日本社会の構造的問題―特に国家と国民の関係、情報公開の欠如、民主主義の機能不全―が露呈したと総括。除染は、事故の被害を隠蔽し、原発政策を正当化するための「壮大な偽装行為」だったと結論づける。 - **ポイント**: - 著者は、除染事業が「きれいは汚い、汚いはきれい」という逆説的な状況を生み出したと述べ、国家の欺瞞を象徴するメタファーとして除染を位置づける。 - 今後の課題として、情報公開の徹底と国民参加型の政策決定プロセスが必要だと訴える。 --- ### **著者略歴と推薦コメント** - **著者**: 日野行介(1975年生まれ)は、毎日新聞記者として福島原発事故関連の調査報道に長年従事。『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』『原発棄民 フクシマ5年後の真実』などの著書で知られる。九州大学法学部卒、1999年毎日新聞入社。 - **推薦**: TVキャスターの金平茂紀氏は、本書を「スリリングな取材記録」と評し、除染をめぐる官僚・学者の密議と偽装行為を暴く力作だと称賛。 --- ### **総評** 本書は、福島第一原発事故後の除染事業を徹底的に検証し、その背後にある国家の無責任と欺瞞を浮き彫りにした調査報道の傑作です。著者の入手した内部文書や直撃取材を通じて、除染が科学的根拠や被災者の利益よりも、政治的・経済的動機を優先した政策だったことが明らかになります。特に、情報隠蔽や議事録の改ざん、汚染土の無責任な再利用計画など、民主主義の危機を象徴する事例が詳細に描かれています。読者にとって、原発事故の長期的な影響と国家のガバナンスの問題を考える契機となる一冊です。[](https://www.amazon.co.jp/%25E9%2599%25A4%25E6%259F%2593%25E3%2581%25A8%25E5%259B%25BD%25E5%25AE%25B6-21%25E4%25B8%2596%25E7%25B4%2580%25E6%259C%2580%25E6%2582%25AA%25E3%2581%25AE%25E5%2585%25AC%25E5%2585%25B1%25E4%25BA%258B%25E6%25A5%25AD-%25E9%259B%2586%25E8%258B%25B1%25E7%25A4%25BE%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8-%25E6%2597%25A5%25E9%2587%258E-%25E8%25A1%258C%25E4%25BB%258B/dp/408721057X)[](https://www.hmv.co.jp/artist_%25E6%2597%25A5%25E9%2587%258E%25E8%25A1%258C%25E4%25BB%258B_000000000615617/item_%25E9%2599%25A4%25E6%259F%2593%25E3%2581%25A8%25E5%259B%25BD%25E5%25AE%25B6-21%25E4%25B8%2596%25E7%25B4%2580%25E6%259C%2580%25E6%2582%25AA%25E3%2581%25AE%25E5%2585%25AC%25E5%2585%25B1%25E4%25BA%258B%25E6%25A5%25AD-%25E9%259B%2586%25E8%258B%25B1%25E7%25A4%25BE%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8_9295051)[](https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0957-a/) --- **注意**: 本要約は、提供されたウェブ情報と書籍の目次・内容紹介に基づいて詳細にまとめたものです。一部、書籍の全文にアクセスできないため、細部の解釈は著者の主張や文脈を推測した部分が含まれます。より詳細な理解のためには、原著の直接の参照を推奨します。