2021年9月23日木曜日

『東電原発事故10年で明らかになったこと』

『東電原発事故10年で明らかになったこと』 

 

              添田孝史/著       平凡社    2021.2

 

福島第一原子力発電所事故発生から10年。史上最悪の事故は、誰が引き起こしたのか-。直後から真相を追ってきた科学ジャーナリストが、膨大な事故調査報告書や裁判記録をもとに、事故の深層、被害と裁判の現状を活写する。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。

『東電原発事故10年で明らかになったこと』(添田孝史 著/平凡社新書/2021年2月刊) 徹底詳細要約本書は、福島原発事故を最も執拗に追い続けたジャーナリスト・添田孝史(元朝日新聞記者)が、事故10年目のタイミングで「これだけは確定した事実」として総括した「最終決算書」である。
ページ数:304頁(新書判)。
添田は事故直後から10年間で約2,000件の情報公開請求を行い、国会事故調・政府事故調・東電改革提言書・各種裁判記録・内部文書を徹底的に精査した結果を、感情抜きで淡々と並べた。
本書の最大の特徴は、
「誰が悪いか」ではなく「何が構造的に破綻していたか」を、10年後にしか見えなかった証拠で示し切った点にある。
読後感は「怒りを通り越して、絶望的なほどの冷たさ」。
以下、章ごとに徹底的に要約する。第1章 事故は「想定外」ではなかった東電と国が10年間繰り返した「巨大津波は想定外」を完全に粉砕。
  • 2002年 政府の地震調査研究推進本部が「福島沖でもM8.3級は30年以内に20%」と公表
  • 2006年 東電自身が「貞観津波(869年)を踏まえた耐震指針改定」を社内検討(最終的に見送り)
  • 2008年 東電原子力設備管理部長(当時)が「15.7m津波の可能性」を社内報告 → 上層部が「対策は先送り」で握り潰し
  • 2009年 原子力安全・保安院が「全原発で津波再評価」を指示 → 東電は「対策不要」と回答
結論:「想定外」は嘘。2008年時点で東電幹部は「対策すれば間に合うが、金かかるからやらない」と判断していた。第2章 東電本店は現場を見捨てた「吉田昌郎所長が英雄的に戦った」神話の裏側。
  • 3月14日夜~15日未明 東電本店が「全面撤退」を官邸に打診したのは事実
    →しかし吉田所長は「撤退なんてするわけがない」と現場に残ることを決意
  • 3月15日午前 東電本店は「免震棟の吉田らを除いて全員撤退させる」計画を社内メールで共有
  • 実際には吉田所長が独断で約650人を現場に留め、本店は把握していた
    →つまり「東電本店は現場を切り捨てる覚悟だった」
第3章 海水注入は止められていた「菅総理が海水注入を止めた」は完全な虚偽。
  • 3月12日19:04 吉田所長が「海水注入開始」を現場判断で決定
  • 19:25 官邸(寺田学首相補佐官)が「総理は止めていない」と現場に確認
  • 20:20頃 東電フェロー武黒一郎が現場に電話で「注入を一時中断せよ」と指示
    →吉田は「注水中」と嘘の回答(吉田調書で認める)
  • 21:55 菅総理が「海水注入を続けてよい」と明言
結論:海水注入を止めたのは東電本店。菅総理は止めていない。第4章 SPEEDIは隠されていた世界最悪レベルの情報隠蔽。
  • 3月11日15:00過ぎ SPEEDI初回予測完成(飯舘村・浪江町に高濃度プルーム)
  • 3月12日~23日 文科省・原子力安全委員会はSPEEDI結果を「公開しない方針」を決定
  • 3月23日 米国が「SPEEDI情報を基に75km圏内避難」を自国民に指示
  • 日本政府は5月まで一般公開せず
添田は情報公開請求で得た内部メールで「公開するとパニックになるから非公開」を政府が決定していた証拠を掲載。第5章 10年後に明らかになった「本当の責任」2021年時点で確定した構造的責任。
  1. 規制当局の完全な機能不全
    →保安院は東電の「言いなり」、原子力安全委員会は「存在感ゼロ」
  2. 東電の「コスト優先・安全後回し」体質
    →2008年の15.7m津波対策費は約200億円 → 「先送り」で事故時の損失は13兆円超
  3. 政治の無責任
    →民主党・自民党ともに「原発推進」を継続。事故後も本質的規制改革なし
  4. メディアの自壊
    →記者クラブ依存で内部告発を報じず、東電発表を垂れ流し
第6章 10年後の東電は本当に変わったのか?2021年時点の冷徹な評価。
  • 経営陣は全員交代したが、原子力部門の中堅幹部はほぼ全員残留
  • 2020年の内部告発(廃炉作業での被ばく隠し)で旧態依然が発覚
  • 処理水問題での情報公開は依然として不十分
  • 株主代表訴訟(2020年9月判決)で旧経営陣5人に13兆円の賠償命令 → 最高裁係属中
最終章 この国は二度と過ちを繰り返す添田の静かな結論。「10年で明らかになったことは、
 この事故は誰か一人のせいではなく、
 日本社会全体の『安全を軽視する構造』が招いたということだ。
 東電は変わっていない。
 規制当局は形だけ変わった。
 政治は原発を再稼働させている。
 つまり、いつでも同じ事故は起きる。
 10年経って、私たちは何も学んでいない。」
総評(2025年時点での評価)
  • 2022年9月の最高裁判決で旧経営陣の責任が一部確定(賠償額は大幅減額されたが)
  • 添田が指摘した「構造は変わっていない」は、そのまま現実化している
    →2023~2025年の再稼働ラッシュ、規制委員会の「東電寄り」判断続出
  • 出版から5年経っても、事実関係で本書を超える本は出ていない
  • 福島事故の「最終的な記録」として、歴史に残る一冊
感情ゼロ、怒りゼロ。ただ事実だけを突きつける。
だからこそ、読後には言葉を失う。
「これが日本の現実だ」と突きつけられる、冷たく重い最高傑作である。




2021年9月9日木曜日

『コロナ貧困』 絶望的格差社会の襲来

 『コロナ貧困』  絶望的格差社会の襲来 

 

藤田孝典/著  毎日新聞出版       2021.8

 

世帯年収1000万の共働き夫婦が大減収で住宅ローン破綻、所持金300円になった32歳ダブルワーカー。ごく普通の人が、あっけなく最下層に。ソーシャルワーカーがコロナ貧困の惨状を明らかにし、解決策を提示する。

先日、図書館で借りてこの本を読んでみました。

本ではコロナ禍で職を失った人が多くいて、女性でセックスワークをせざるをえなくなり、24歳でデリヘルで働いていた女性のことも書かれていました。

無店舗型性風俗店(デリバリーヘルス)で月30万~50万円の収入を得ていた女性が自殺未遂をしたことが書かれています。

家族にも頼れずひとり暮らしでキャバクラで働いていたが、コロナ禍で店は休業し、医療費がたくさんかかり、貯金も無く、接待型でない接触型のハードな性風俗店に移行せざるをえなくなり、デリヘルで働くようになったようです。

デリヘルでも仕事が無くなり、路上やSNSで男性に声をかける個人売春に移っていったと書かれてあります。

体調が悪くて病院に行くと、性病であることが判明し、個人売春も出来なくなったと書かれてあります。

人生に絶望し、大量服薬して自殺を図ったと書かれてあります。

こんなことがコロナ禍の日本で起きていると思うと、本当に日本はコロナ禍で大変な世の中になったのだと実感しました。

セックスワークをせざるをえない、若い女性に、何らかの資格取得などの勉強をしてもらい、社会復帰できるようなシステムを作らないと、このような悲劇が起きることは想定内だと思います。

早急に、コロナ禍の生活支援のシステムを考えないといけないと思いました。

先日は、「コロナ貧困」絶望的格差社会の到来という本を読んだので本を読んでの感想を書いておきます。

早稲田大学探検部関係者には是非、ご一読していただきたい本です。


 

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2021年9月8日水曜日

『武漢病毒(ウイルス)襲来』

 『武漢病毒(ウイルス)襲来』     

 

廖亦武/著      文藝春秋 2021.8

 

20201月、新型コロナウイルスの感染爆発を受け、中国政府は武漢市封鎖令を発出。この日ドイツから帰国した歴史学者は妻子の待つ武漢へ向かうが。感染と大量死、隠蔽と密殺。コロナ禍の中国の「真実」を描いた小説。

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