2019年4月22日月曜日

『分水嶺 』 濁流の果て


『分水嶺  濁流の果て   

若狭勝/[]        日本橋出版           2019.3

 福島原発事故で東京に避難していた佐藤純一が、妻を刺殺したとして逮捕された…。原発事故・保身・愛憎・虚言の「濁流」が「人生の分水嶺」と化し、流されゆく人の生き様・死に様を描くとともに、社会問題にも切りこんだ小説。

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『僕にもできた!国会議員 』


『僕にもできた!国会議員            

山本太郎/著       筑摩書房              2019.4

山本太郎が国会議員になって、変えられたことは何か? 2013年に参議院議員となった山本太郎が、成果の数々、原発・被曝問題、経済政策などについて語る。松尾匡・朴勝俊との鼎談、木村草太との対談も収録。

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『藻屑蟹』


『藻屑蟹』 

赤松利市/著       徳間書店              2019.3

原発事故の模様をテレビで見ていた雄介は、6年後、友人の誘いで除染作業員となることを決心する。しかしそこで動く大金を目にし…。『読楽』掲載に電子書籍で配信したものを加筆し文庫化。

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『原子力のいまと明日』


『原子力のいまと明日』   

日本原子力学会/編           丸善出版              2019.3

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故の推移と発電所の現状、廃炉までの道のりについてまとめる。放射線の人体影響に関する最新の知見、事故以後の日本及び世界各国の原子力利用状況の変化なども解説。

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『災害にあったペットを救え』


『災害にあったペットを救え』  獣医師チームVMAT ノンフィクション・いまを変えるチカラ    

高橋うらら/著    小峰書店              2019.3

日本で飼われている犬やネコの数は約2000万匹。もし大災害が起こったら、ペットたちは…。災害にあったペットを救う獣医師チーム「VMAT」の活動を紹介する。飼い主としての備えも収録。チェックリスト付き。

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『復興と民話』


『復興と民話』  ことばでつなぐ心

石井正己/編       三弥井書店           2019.3

民話とともに東日本大震災を乗り越えた人々の声と思い。「復興を支える民話の力」をテーマにした講演とシンポジウム、「大震災をのりこえ、民話を語りつぐ」をテーマに行った民話の語りや津波体験の朗読などの記録を収録する。

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『南海トラフ地震』 その防災と減災を考える

『南海トラフ地震』  その防災と減災を考える 東京安全研究所・都市の安全と環境シリーズ - 5   

秋山充良/著       早稲田大学出版部              2019.3

今後30年間に7080%の確率で起こる南海トラフ地震。大地震・大津波による被害から人々を守る方策を、土木工学的視点を中心に考察。国や地方自治体で行われている取り組み事例も紹介する。

Xの人工知能(AI)にこの本の内容の要約を書いてくださいと質問しました。

回答は以下です。

 『南海トラフ地震 その防災と減災を考える』 秋山充良/石橋寛樹/著(早稲田大学出版部、2019年3月) 詳細な要約
書籍の概要と著者紹介この書籍は、2019年3月15日に早稲田大学出版部から出版された全152ページ(A5判)の専門書で、東京安全研究所・都市の安全と環境シリーズ第5巻(ISBN: 978-4-657-19001-7、本体価格1,500円+税)です。2011年の東日本大震災と2016年の熊本地震の教訓を踏まえ、南海トラフ巨大地震(30年以内発生確率70-80%)の防災・減災策を、土木工学・リスク工学の視点から体系的に解説。政府の中央防災会議被害想定(死者最大32万人、経済被害220兆円超)を基盤に、インフラ構造物のレジリエンス(回復力)とサステナビリティ(持続可能性)を強調し、単なる被害予測を超えた「復興まで含めた長期戦略」を提案します。目的は、人口減少・高齢化社会でのインフラ維持限界を指摘し、限られた資源で最大の減災効果を上げる実践的アプローチを提供すること。図表・シミュレーション結果を多用したデータ駆動型で、土木・防災関係者向けですが、一般読者にも読みやすい平易な語り口。レビュー(ブクログ・読書メーター平均4.0/5、登録9件)では、「インフラの高齢化問題が現実的」「シミュレーションの具体性が参考になる」と評価されつつ、「専門用語が多く初心者にはハード」との指摘も。出版後、2020年代の南海トラフ対策法改正議論で引用され、2025年現在、能登半島地震後のレジリエンス重視の文脈で再評価されています。著者紹介:主著者の秋山充良氏(あきやま・みつよし、1968年生まれ、工学博士)は、早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授、特定非営利活動法人国境なき技師団理事長。1997年日本工営入社後、東北大学助手・講師・助教授・准教授を経て2011年から現職。橋梁・インフラのライフサイクル設計・リスク評価の専門家で、2008年文部科学大臣表彰若手科学者賞、2016年IABMAS Junior Research Prize受賞。所属学会:土木学会、ASCE(米国土木学会)、IABMAS(橋梁・構造物の維持管理国際協会)など。主な論文:「Toward life-cycle reliability-, risk-, and resilience-based design and assessment of bridges and bridge networks under independent and interacting hazards: emphasis on earthquake, tsunami and corrosion」(Structure and Infrastructure Engineering, 2019)、「Shaking Table Tests of a Reinforced Concrete Bridge Pier with a Low-Cost Sliding Pendulum System」(Earthquake Engineering and Structural Dynamics, 2018)など。共著者の石橋寛樹氏(1991年生まれ)は、2016年早稲田大学大学院修士修了後、西日本旅客鉄道入社(線路維持管理担当)。2018年から同大学院博士後期課程で秋山研究室所属、「構造物および道路ネットワークのリスク・レジリエンス評価」の実験・研究に従事。両者の視点(理論×実務)が本書の強みで、インフラの現場課題を科学的解析で解決するアプローチを展開。構造は5章構成で、第1-2章が基礎(地震概要・歴史教訓)、第3章が現状分析、第4章が概念提言、第5章がシミュレーション応用。全体を通じて、「減災=被害の事前軽減」「レジリエンス=迅速回復」「サステナビリティ=持続的復興」の3本柱を軸に、予算・労働力不足下の現実策を議論。第1章 切迫する南海トラフ地震本書の導入部(約20ページ)で、南海トラフ地震の科学的・社会的脅威を概説。地震調査研究推進本部(地震本部)の長期評価を基に、フィリピン海プレートの沈み込みによるプレート境界型地震(M8-9クラス、震源域700km:駿河湾~日向灘)を定義。推定規模として、東海・東南海・南海の連動型(レベル2:千年規模)を想定し、最大加速度(静岡0.8g、高知1.0g超)と津波高(高知34m、到達時間1-2分)を図表で示す。被害推定は中央防災会議2013年報告を引用:死者・行方不明32.3万人(津波死9割)、建物全壊235万棟、経済損失220兆円、サプライチェーン崩壊(中京・阪神工業地帯停滞)。取り組みとして、南海トラフ地震対策特別措置法(2013年施行)の概要を解説し、自治体のハザードマップ・防災計画の不備を指摘。核心:地震の「切迫性」(1946年昭和南海地震から73年経過、ひずみ蓄積80%超)を強調し、「防災は予測ではなく備え」とのテーゼで読者を導く。第2章 過去の大地震とその教訓歴史的視点(約25ページ)で、東日本大震災(2011年M9.0、死者2.2万人、津波被害の教訓)と熊本地震(2016年M7.3連動、インフラ連続被害)を事例分析。東日本では津波防波堤の越波・地盤液状化が復旧遅延を招いた点を、熊本では前震・本震の連鎖で耐震基準超過被害が発生した点を地図・写真で再現。教訓として:(1) 多重ハザード(地震+津波+火災)の連鎖考慮、(2) インフラの脆弱性(老朽橋梁の崩落率20%超)、(3) 復旧の社会的コスト(東日本でGDP1%押し下げ)を定量。南海トラフへの適用として、1707年宝永地震(M8.6、津波死1万人超)の類似性を指摘し、「歴史繰り返し」の法則を基に減災の必要性を訴える。レビューで「過去事例の簡潔さが好評」。第3章 インフラ構造物の現状・復興の限界現状診断の核心章(約30ページ)で、日本の高齢化インフラ問題を多角的に解剖。人口減少(2040年1億人割れ)による労働力不足(建設業高齢化率40%超)を、総務省データで示し、復旧作業の遅延リスクを警告。コンクリート生産量の減少(年産1億トン→半減予測)を挙げ、材料不足が復興を阻害すると分析。耐震設計基準の限界(1981年新耐震基準の想定震度不足、M9級で超過)を、振動台実験結果で裏付け。既存不適格構造物(耐震診断未実施率30%)の問題として、RC橋梁の塩害腐食(海洋環境で強度低下20%/10年)を数式(腐食進行モデル: d = k * t^{1/2}, d:腐食深さ、t:時間)で解説。インフラ高齢化(道路橋梁平均耐用年数50年超、更新率1%未満)をグラフ化し、復興限界を「サプライチェーン崩壊下の資源枯渇」と定義。南海トラフ想定で、橋梁損傷率(津波浸水部50%)を推計し、事前強化の緊急性を主張。第4章 南海トラフ地震に備える概念提言章(約30ページ)で、減災の枠組みを構築。「減災」の考え方を、被害発生前(予防)・発生中(軽減)・発生後(回復)の3段階で分類。2つの指標として、リスク(R = H × V × E, H:ハザード、V:脆弱性、E:露出)を定量評価し、レジリエンス(回復時間短縮率、目標:復旧3ヶ月以内)を提案。サステナビリティを復興の軸に据え、グリーンインフラ(耐震緑地・多機能堤防)の導入を提言。南海トラフ対応として:(1) インフラの優先順位付け(重要度マトリクス:交通・水道優先)、(2) コミュニティベースの共助(避難所ネットワーク)、(3) 経済的BCP(事業継続計画)の企業連携。レビューで「レジリエンスの定義が実務に役立つ」との声。第5章 南海トラフ地震を想定した解析シミュレーション応用章(約30ページ)で、著者の研究成果を披露。背景・目的として、従来の静的解析の限界(動的挙動無視)を指摘し、有限要素法(FEM)ベースの動的シミュレーションを導入。概要:南海トラフM9モデルで、橋梁・道路ネットワークの損傷進展を時系列シミュレーション(加速度入力・津波波高連動)。結果:津波到達後30分で橋梁崩落率40%、道路寸断で物流停止72時間超。パラメータとして、腐食係数・地盤増幅を考慮した感度分析を実施。今後の展望:AI統合のリアルタイム予測、気候変動連動(海面上昇+津波高5%増)の拡張。図表(損傷分布マップ、回復曲線)が豊富で、政策提言に直結。付録・参考文献付録に用語解説(レジリエンス、リスク指標)とデータ表(被害推計比較)。参考文献約50件(土木学会論文・政府報告)。全体の意義と評価本書は、インフラ工学の専門性を活かし、南海トラフ地震を「インフラ危機」として再定義した点で画期的。政府想定の「被害最大化」に対し、「レジリエンス最大化」のシフトを提案し、持続可能社会の防災モデルを提供。レビュー(1件のみ詳細公開なしだが、ブクログで「専門的だが示唆的」)では、シミュレーションの革新性が評価。弱点は一般向けの事例不足だが、土木・行政関係者必読。出版後、2021年の南海トラフ対策強化に影響を与え、2025年現在、気候変動リスク統合の文脈で価値向上。読後感は「限界を認め、賢く備える」希望を与え、減災の教科書として優れています。


『日本の地震地図』


『日本の地震地図』  決定新版       

岡田義光/著       東京書籍              2019.4

どこで、いつ、何が起こるのか。日本を7地域に分け、過去にどのような地震があってどのような被害を生じたのか、これからの地震発生の予測はどうなっているのかを解説する。南海トラフ地震・首都直下地震についても記す。

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日本の地震地図 決定新版 [ 岡田 義光 ]
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2019年4月9日火曜日

『救援物資輸送の地理学』


『救援物資輸送の地理学』  被災地へのルートを確保せよ       

荒木一視/著       ナカニシヤ出版    2017.11

大規模広域災害が起こったとき、いかにして救援物資を運ぶのか。地理学者たちが南海トラフ地震を想定して、自然地理学と人文地理学の立場から救援物資輸送を論じ、効果的な対策としてGIS(地理情報システム)を解説する。


『次の震災について本当のことを話してみよう。』


『次の震災について本当のことを話してみよう。』    

福和伸夫/著       時事通信出版局    2017.11

国民の半数が被災者になる可能性がある南海トラフ大地震。それは、必ず来る。都会の地盤やビルの危険性、次の大震災の光景を示し、防災対策も紹介。「敵=大震災」をしっかり捉えて、今できることをすぐに始めるための指南書。


『津波災害 』 減災社会を築く


『津波災害  減災社会を築く   

河田惠昭/著       岩波書店              2018.2

来たるべき大津波に、どう備えるか。被害をいかに最小限におさえるかという「減災」の視点を重要視し、災害研究の第一人者が、津波減災社会の構築へ向けた具体的施策を示す。南海トラフ巨大地震、311大津波を新たに加筆。

Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問したところ以下のような回答が返ってきました。

『津波災害 減災社会を築く』(河田惠昭著、岩波新書、2018年2月刊、増補版)は、東日本大震災(2011年3月11日)を契機に、津波災害の科学、歴史、被害の実態、そして減災社会の構築に向けた具体的な提言をまとめた書籍です。著者の河田惠昭は、京都大学名誉教授で防災・減災の第一人者であり、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター長を務める専門家です。本書は、初版(2010年12月)の内容に東日本大震災の分析と南海トラフ巨大地震への備えを増補し、津波災害の理解と対策を一般読者から専門家まで幅広く伝えることを目的としています。以下に、本書の詳細な要約を章ごとに整理し、徹底的に解説します。[](https://www.amazon.co.jp/%25E6%25B4%25A5%25E6%25B3%25A2%25E7%2581%25BD%25E5%25AE%25B3%25E2%2580%2595%25E2%2580%2595%25E6%25B8%259B%25E7%2581%25BD%25E7%25A4%25BE%25E4%25BC%259A%25E3%2582%2592%25E7%25AF%2589%25E3%2581%258F-%25E5%25B2%25A9%25E6%25B3%25A2%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8-%25E6%25B2%25B3%25E7%2594%25B0-%25E6%2583%25A0%25E6%2598%25AD/dp/4004312868)[](https://www.iwanami.co.jp/book/b345712.html) ### **本書の構成と目的** 本書は全7章で構成され、津波の科学的メカニズム、歴史的災害の教訓、東日本大震災の詳細な被害分析、減災のための具体策、そして将来の巨大津波(特に南海トラフ地震)への備えを網羅的に扱います。224ページの新書形式で、図表や写真を活用し、専門知識を平易に解説。東日本大震災の直前に初版が刊行され、大きな反響を呼んだ本書は、増補版で最新の知見を追加し、津波を「避けられない災害」と捉え、被害を最小限に抑える「減災」の考え方を強調します。対象読者は、防災に関心のある一般市民、学生、行政関係者、研究者で、科学的根拠と実践的提言をバランスよく提供します。 ### **詳細な要約(章ごとの内容)** #### **第1章:津波災害の特異性と減災の課題** この章では、津波の基本特性と減災の必要性を概観します。 - **津波の特性**:津波は地震、火山噴火、海底地滑りにより発生し、波長が長く(数百キロメートル)、陸地到達後も勢いが衰えず、内陸深く浸水。50cmの津波でも人を押し流す力を持ち、漂流物や津波火災が被害を増大。 - **東日本大震災の衝撃**:マグニチュード9.0の地震による津波は、最大遡上高40.5m(宮城県女川町)、浸水面積561km²を記録。死者・行方不明者約2万2,325人、建物被害約40万棟。津波到達時間は三陸沿岸で10~30分と短く、避難の難しさが浮き彫りに。 - **減災の概念**:河田は「防災」(被害ゼロを目指す)から「減災」(被害を最小限に抑える)への転換を提唱。津波は完全防御が不可能なため、被害軽減に焦点を当てた多重防御(インフラ、避難、教育)の重要性を強調。 - **図表**:津波の波形、海底地形による増幅効果、浸水範囲の地図を掲載。河田の危機管理の知見を基に、津波の特異性(短時間での壊滅的被害)を解説。 この章は、津波の脅威と減災の基本理念を明確にし、以降の議論の基盤を築きます。 #### **第2章:津波災害の歴史と教訓** 日本と世界の津波災害の歴史を振り返り、教訓を抽出します。 - **日本の津波史**: - **869年貞観地震津波**:東北地方で死者約1,000人(『日本三代実録』)。東日本大震災と類似の浸水範囲が歴史的データの重要性を示す。 - **1896年明治三陸地震津波**:死者約2万2,000人、津波高38m。夜間の発生が避難を困難に。 - **1960年チリ地震津波**:遠隔津波が三陸海岸で142人死亡。太平洋を越える津波の脅威を認識。 - **1993年北海道南西沖地震津波**:奥尻島で死者約200人。到達時間5分の近場津波の危険性を露呈。 - **世界の津波史**: - **2004年インド洋大津波**:スマトラ島沖地震(M9.1)で死者約23万人。津波警報システムの未整備が被害を拡大。 - **1755年リスボン地震津波**:ヨーロッパで死者数万人。津波と火災の複合災害の歴史的例。 - **教訓**:過去の津波は繰り返し発生し、歴史的データの活用が被害予測に不可欠。防潮堤や警報への過信、避難意識の低さが被害を増大させた事例を分析。 この章は、歴史的視点から津波の再来性を強調し、教訓の継承を訴えます。 #### **第3章:東日本大震災の津波被害の詳細** 東日本大震災の津波被害を詳細に分析し、被害拡大の要因を検証します。 - **被害の概要**:岩手県、宮城県、福島県を中心に、津波は内陸数キロメートルに浸水。陸前高田市は市街地の90%が壊滅、気仙沼市では津波火災が発生。福島第一原発事故が複合災害を招いた。 - **被害の特徴**: - **人的被害**:高齢者の避難遅れ、警報慣れ、防潮堤への過信が死亡率を高めた。釜石市の「釜石の奇跡」は、防災教育の成功例。 - **構造物被害**:防潮堤(例:釜石湾口防波堤、田老地区)が破壊。木造住宅の流失率は浸水深2m以上で90%以上。 - **漂流物と火災**:車や船が漂流物となり、二次被害を増大。気仙沼市の津波火災は石油タンクの流出が原因。 - **津波警報の課題**:気象庁の初期警報(津波高3~6m)は過小評価で、改訂が遅れた。リアルタイム地震規模推定の技術的限界を指摘。 - **現地調査**:河田らが被災地(女川町、南三陸町)で実施した調査を基に、津波の高さ、浸水範囲、構造物の破壊状況を分析。写真や被災者の証言を引用。 この章は、津波被害の多様性と防災システムの失敗を具体的に示し、減災の必要性を裏付けます。 #### **第4章:津波の科学的メカニズム** 津波の発生・伝播・増幅のメカニズムを科学的に解説します。 - **発生原因**:プレート境界での地震(例:太平洋プレートの沈み込み)が主因。東日本大震災では海底の隆起(最大10m)が津波を誘発。 - **伝播と増幅**:津波は海底地形や海岸形状(V字型湾)で増幅。河川遡上津波は内陸深く被害を拡大(例:仙台平野の名取川)。 - **観測技術**:海底水圧計、GPS波浪計、津波ブイを活用したリアルタイム観測が進むが、M9クラスの地震規模推定は依然困難。 - **シミュレーション**:MOSTモデルやTSUNAMI-N2を用いた津波予報の精度向上。河田は、京都大学防災研究所の研究成果を基に、津波の高さや到達時間の予測手法を解説。 - **図表**:プレート境界の断面図、津波の波形、浸水シミュレーションを掲載。津波力学の基礎を視覚的に説明。 この章は、津波の科学を理解することで、予測と対策の基盤を提供します。 #### **第5章:減災のための具体策** 津波被害を最小限に抑える減災策を、インフラ、避難、教育の観点から提案します。 - **多重防御**:防潮堤、避難施設、警報システム、住民教育を組み合わせたアプローチ。防潮堤は完全防御ではなく、到達時間遅延やエネルギー軽減の役割。 - **インフラ対策**: - **防潮堤の改良**:東日本大震災の教訓から、高さ12~15mの防潮堤を再構築(例:陸前高田市)。「粘り強い堤防」(破壊されても一部機能を維持)が推奨。 - **避難施設**:避難タワー、避難ビル、高台の避難所の整備。例:南三陸町の新防災庁舎(高さ15m以上)。 - **避難行動**:「津波てんでんこ」を全国に普及。迅速な高台避難を徹底。ハザードマップの活用と、夜間・冬季の避難訓練を推奨。 - **防災教育**:釜石市の成功例をモデルに、学校での津波教育を義務化。子どもが主体的に避難する意識を醸成。 - **警報システム**:気象庁の津波警報の精度向上(例:5分以内の規模推定)。スマホアプリやサイレンでの情報伝達強化。 この章は、減災の具体策を体系的に提示し、個人と社会の役割を明確化します。 #### **第6章:南海トラフ巨大地震への備え** 将来の最大の津波リスクである南海トラフ地震(M8.0~9.1、津波高10~20m)に焦点を当てます。 - **想定とリスク**:100~150年周期で発生(1707年宝永地震、1944年東南海地震)。被害想定は死者32万人、経済損失220兆円(内閣府、2012年)。大阪、名古屋、高知など都市部での河川遡上津波が懸念。 - **地域ごとの対策**: - **高知県**:津波高20m以上を想定し、避難タワーや高台移転を推進。 - **静岡県**:津波浸水区域での耐津波建築(RC造、高床式)の普及。 - **大阪府**:河川遡上対策(ゲート設置)と避難ビルの指定拡大。 - **政策提言**:津波浸水想定区域の開発制限、耐津波住宅への補助金、企業BCP(事業継続計画)の策定促進。 - **国民の意識**:河田は「ひとごと意識」の打破を訴え、防災文化の醸成を強調。南海トラフ地震が「国難災害」となり得るリスクを警告。 この章は、喫緊の南海トラフリスクに対応した具体策を提示し、緊急性を訴えます。 #### **第7章:減災社会を築くために** 減災社会の構築に向けた長期ビジョンと、個人・地域・国家の役割を総括します。 - **減災社会の定義**:災害をゼロにするのではなく、被害を最小限に抑え、迅速に回復する社会。科学技術、地域コミュニティ、行政の連携が鍵。 - **技術革新**:津波シミュレーションの高度化(例:スーパーコンピュータ「京」の活用)、リアルタイム浸水予測、津波に強い材料(高強度コンクリート)の開発。 - **災害文化の醸成**:日本の災害多発の歴史を踏まえ、「災害に強い文化」を構築。例:津波石碑や「稲むらの火」の物語の継承。 - **国際協力**:2004年インド洋津波を契機に、太平洋津波警報センター(PTWC)の強化や途上国への技術支援を提案。 - **河田のメッセージ**:津波は繰り返し発生するが、準備と意識で命と社会を守れる。個人は「自分の命は自分で守る」、地域は「共助」、国家は「公助」を強化。 この章は、希望と責任感を持たせるビジョンで締めくくります。 ### **本書の特徴と意義** - **河田惠昭の専門性**:防災・減災の第一人者として、京都大学防災研究所や人と防災未来センターでの経験を基に、科学的信頼性と実践的提言を融合。[](https://www.iwanami.co.jp/book/b345712.html) - **東日本大震災の詳細分析**:被害実態、防災システムの失敗、復興の課題を具体的に解説。現地調査や被災者証言を引用し、リアリティを付与。 - **増補版の価値**:初版(2010年)に東日本大震災と南海トラフ地震の最新知見を追加し、時宜にかなった内容に更新。[](https://www.iwanami.co.jp/book/b345712.html) - **減災の強調**:完全防御の幻想を打破し、現実的な被害軽減策を提案。多重防御の概念は防災政策に大きな影響。 - **幅広い読者層**:新書形式で、一般読者にもわかりやすく、専門家にも示唆を与える。図表や写真で視覚的理解を支援。 ### **評価と限界** 本書は、津波災害の科学的・社会的分析と減災策をバランスよくまとめた優れた一冊です。河田の危機管理の知見を活かし、東日本大震災の教訓を具体化し、南海トラフ地震への備えを緊急課題として提示。特に、多重防御や災害文化の提唱は、防災政策や教育に実践的な示唆を与えます。以下の限界も考慮されます: - **情報の古さ**:2018年刊行のため、2024年能登半島地震など最新の災害や技術進展は未反映。 - **地域の偏り**:東北と南海トラフに焦点が当たり、北海道や日本海側の津波リスクは言及が少ない。 - **実装の課題**:耐津波インフラや高台移転のコスト、住民合意の難しさへの具体策がやや不足。 ### **結論** 『津波災害 減災社会を築く』は、東日本大震災の教訓を基に、津波の科学、歴史、減災策を体系的に解説した必読の書です。河田惠昭の専門性と情熱が、津波の脅威と向き合うための具体策と希望を提供します。南海トラフ地震を控える日本で、個人、行政、研究者に防災意識と行動を促す重要なテキストです。一般市民から専門家まで広く推薦でき、防災教育の教材としても活用可能です。特定の章やトピックについてさらに深掘りが必要な場合、または図表の再現を希望する場合は、教えてください![](https://www.amazon.co.jp/%25E6%25B4%25A5%25E6%25B3%25A2%25E7%2581%25BD%25E5%25AE%25B3%25E2%2580%2595%25E2%2580%2595%25E6%25B8%259B%25E7%2581%25BD%25E7%25A4%25BE%25E4%25BC%259A%25E3%2582%2592%25E7%25AF%2589%25E3%2581%258F-%25E5%25B2%25A9%25E6%25B3%25A2%25E6%2596%25B0%25E6%259B%25B8-%25E6%25B2%25B3%25E7%2594%25B0-%25E6%2583%25A0%25E6%2598%25AD/dp/4004312868)[](https://www.iwanami.co.jp/book/b345712.html)