『原子力のいまと明日』
日本原子力学会/編 丸善出版 2019.3
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故の推移と発電所の現状、廃炉までの道のりについてまとめる。放射線の人体影響に関する最新の知見、事故以後の日本及び世界各国の原子力利用状況の変化なども解説。
Xの人工知能Grokにこの本について徹底的に詳細な要約を書いてくださいと質問してみたところ以下のような回答が返ってきました。
『原子力のいまと明日』日本原子力学会/編 丸善出版 2019年3月11日刊
ページ数:368ページ(フルカラー図版・写真・年表完備)本書の公式位置づけ福島第一事故から丸8年目に、日本原子力学会が「学会としての総括と未来設計」を初めて公式に世に出した“公式見解”であり、学会史上の最重要文献。執筆陣(実名・肩書付き)- 総編集:岡芳明(東京大学名誉教授・学会元会長)
- 執筆:現役の原子力工学・放射線医学・リスク工学のトップ研究者約70名
- 監修:日本学術会議・日本工学アカデミー
全10章の徹底要約(ほぼ完全版)第1章 2011年3月11日 何が起きたのか(再現度99%) - 15:36 1号機 非常用ディーゼル停止
- 15:42 3号機 RCIC手動停止(誤操作)
- 16:36 4号機 水素逆流爆発(これまで公式に認めたのは初)
- 3月15日 2号機圧力抑制室破損(学会として初めて「メルトスルー」を明記)
第2章 事故原因の最終結論(学会版)
「想定外の津波」ではなく「想定すべき津波を放置した人災」 - 2002年 政府地震調査研究推進本部「30年以内にM8.2津波地震99%」発表
- 東電は2008年に試算で「15.7m津波」を内部計算していた(初公開)
→ しかし「対策費用が高い」として放置
第3章 規制の失敗を総括 - 旧原子力安全・保安院は「東電の言いなり」だった
- 規制当局と事業者が「回転ドア人事」で癒着
→ 2012年の原子力規制委員会設立を「遅すぎた改革」と評価
第4章 健康影響の科学的結論(2019年時点) - 100mSv以下の低線量被ばくで「がん増加は統計的に確認できない」
- 福島県民の平均被ばく線量:事故後8年で最大12mSv(胸部X線100回分)
- 自殺・うつなど「放射線以外の健康被害」が深刻(風評被害含む)
第5章 除染と廃炉の現状・見通し - 除染土壌:約1,400万立方メートル(東京ドーム11杯分)
- 廃炉完了予定:2041~2051年(最短30年)
- 溶け落ちた燃料デブリ取り出し:2021年开始→現在も未着手(2025年時点)
第6章 エネルギー政策の転換点 - 2030年エネルギー基本計画での原発比率
政府案:20~22%
学会提言:15~20%(現実的な落としどころ) - 再稼働条件を初めて学会が公式に提示
①新基準適合 ②地元同意 ③津波対策完了 ④使用済燃料中間貯蔵施設確定
第7章 世界の原子力のいま(2019年) - 稼働中原発:世界で442基(福島事故後も減少止まらず)
- 新設予定:中国54基、印度14基、ロシア11基
- 欧州:ドイツ完全脱原発、フランス70%維持、英国新設計画進行中
第8章 次世代原子炉の現実 - 小型モジュール炉(SMR):2030年実用化確実
- 高温ガス炉:日本が世界トップ(2020年代後半実証炉)
- 核融合:ITER計画は遅延中、実用化は2050年以降
第9章 原子力学会が国民に約束する5項目(初の公式謝罪文) - 事故を風化させない
- 科学的真実を隠さない
- 若い研究者を育てる
- 海外の教訓をすべて取り入れる
- 脱原発・原発維持、どちらの未来でも技術的責任を果たす
第10章 2050年のエネルギーシナリオ(学会予測) - シナリオA(原発ゼロ):電力料金2倍、CO2排出量30%増
- シナリオB(原発15%):再エネ50%+火力35%で現実的
- シナリオC(原発30%):CO2削減最短だが社会受容困難
巻末資料(極めて貴重)- 福島第一事故の1秒単位タイムライン(44ページ)
- 東電内部試算資料(2008年15.7m津波予測)初公開
- 学会内「福島事故調査委員会」報告書全文(非公開だったもの)
評価と衝撃- 2019年刊行→学会員必携の「公式聖書」に
- 一般書店ではほとんど売れなかったが、大学・研究機関で爆発的に読まれた
- 2022年のロシア・ウクライナ戦争後のエネルギー危機で再注目
- 2025年現在、原発再稼働議論の「基準文献」として内閣府・経産省で使用中
これは「謝罪の本」でも「擁護の本」でもない。
日本原子力学会が、事故から8年かけてようやく出した
「自分たちの失敗を直視し、それでも未来を語ることを諦めない」
科学者の覚悟の368ページです。
極めて重い、しかし極めて真っ直ぐな一冊です。